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第三十三話 死の匂い

この回はヨゾラとコージオが邂逅します。

 ヨゾラは尚も突き進んでいく。


出逢う敵が居れば斬り倒し、城の中の女性の悲鳴も物ともしない。


とにかく螺旋階段を登っていきながら、次々と敵を斬り捨てて駆け抜けていきながらコージオのいる部屋を目指した。


兵士も近接戦闘より銃撃戦の方がいいとそれで応戦するも、ヨゾラには近接も銃撃も関係がなかった。


何故ならそこにいるのは嘗ての英雄・「屍のヨゾラ」なのだから。


神がかりな動体視力で銃弾を躱し続け、一気に踏み込んで何人もの兵士を斬り捨ててみせるヨゾラ。


だが肝心のコージオが見当たらない。


もう逃げたのか、とは思ったヨゾラだが、ここから出られる道は限られているし、マップを見ても螺旋階段は一本しかなかった。


だがマップを確認すると、違和感を憶える箇所があることに気づく。


(そういえば……最上階に一個だけ他の階の柱の上にあるような部屋があった……!! もしかしたらそこがコージオの……!!)


確かにエレンが言った通り、コージオの部屋らしき記載はなかったが、この状況下なら逃げていてもなんらおかしくはない。


だからこそヨゾラは100%に近い確信をその部屋に持てていた。


そこがコージオの居所だと。


(リスクは高いが……ギリギリワイヤーもいける……やるしかない!! ここを逃せばゾルとカトレアが危ない!! 絶対に仕留める!!)


ヨゾラは思い切り最上階までワイヤーを伸ばし、収縮させると同時に一気に飛び上がった。


最大まで伸ばしているため、その分のスピードも早い。


これでは兵士の銃撃も追い付くわけがなく、最上階までヨゾラは易々と到達できたのであった。


そしてその勢いのまま、コージオがいるであろう部屋のドアを蹴破った。




 コージオと思わしき人物がいた。


白い髭を蓄えた風貌で、大剣を構えている。


「……意外だな……まさか逃げないとはな……コージオ……」


「ヌハハハハハ……誰が逃げると思ったのかね? 自分の家の家主が簡単に逃げるとでも?」


「……それでこそ将軍の名に相応しいと言える……所業に目を瞑ればなァァ!!」


ヨゾラは右の刀で思い切り斬りかかる。


コージオは余裕を持って大剣でこれを受け止めた。


「ただの暗殺者風情が……私を簡単に倒せるとでも思うなよ?」


「臨むところだ、コージオ。私とて貴様如きに斬られるつもりなどない。」


ヨゾラとコージオの戦いの火蓋が切られた瞬間であり、外にいた兵士はただ固唾を飲んで見守ることしかできないのであった。

次回はバトル。

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