第二十九話 闇暴き
今回は突入です。
ゾル、カトレアサイドとヨゾラサイドを書きますが、今回はゾル方面です。
屋敷へと突入した3人。
まずヨゾラがワイヤー付きの刀でシャーーーっと、屋敷の扉まで突撃して、門番を一瞬で斬り伏せた。
その隙を突いて、ゾルとカトレアは時間差で中に入ることに成功した。
カトレアがデバイスを開く。
エレンから貰ったコージオの屋敷のマップだった。
「じゃあ……俺たちはアイツの地図を信じていくぜ。ヨゾラ、コージオをぶっ殺してこい。」
「任せておけ。私が簡単にやられたりするものか。」
ヨゾラはそう告げて、一気に飛び出していった。
「よし……じゃあ俺らも行くか、カトレア。」
「ええ……。必ず闇を暴きましょう。」
2人も地下牢へと向かっていくことにしたのであった。
薄暗い牢の房。
看守も多く、迂闊に進みづらいのはあった。
「……どうしますか?」
「……俺が斬り込む。だからその隙に牢屋の鍵を見つけてくれないか? ソールワンは戦闘民族なのは分かってるはず、あの中にはガキもいた……だからまずは男を優先して解放……女子供を扇動してカトレアは別ルートから一旦退避してくれ。ソールワンの男は戦力になるからな。」
「……わかりました。」
騒乱に応じて解放し、暴動を扇動するという作戦に出た。
そのためにヨゾラを分けたのだから。
ゾルは看守の目の前に立ち、居合抜きで一刀両断した。
他の看守も異変に気付き、ゾルを捕らえようと一斉に向かったが、この程度、ゾルはものともしない。
次々と斬り伏せていき、カトレアはその隙に看守室へと向かっていった。
隠れながらもなんとか看守室へと到着したカトレア。
彼女自身に戦闘力があるというわけではないが、秘策は用意していた。
毒針だった。
速効性の毒で、相手を意識混濁まで追い込むほどの強烈な毒だ。
おそらく空いているだろうと踏み、ゆっくりとドアを開け、侵入に成功した。
「侵入者はまだ捕まえられないのか!!」
看守の1人がアナウンスしている声を聞いたカトレア。
マイクの通信から答えが返ってくる。
『申し訳ありません……!! 賊が想像以上に強いもので……!!』
「なんでもいいから捕らえろ!! クソッ……!! もう1人の女も表で暴れていて手が付けられないというのに……!!」
これにカトレアがピクッと反応した。
近くのロッカーに上手いこと隠れてこれを聞いていたからだ。
(ヨゾラ様のこともバレてる……でもこれは想定内、向こうは隙だらけ……今なら司令室を乗っ取れる!!)
カトレアは毒針を取り出し、看守に接近し、一瞬で2つの針を2人の看守の大静脈に突き刺した。
看守はマリオネットの糸が切れたように意識を失い、ガタン!! とその場で倒れ伏せ、その口からは泡を噴いている。
鍵が入っているであろう電子錠。
が、心当たりはあった。
皇帝の直属下、と考える。
つまり数字は……。
「『9083』……だと思うんですけど……」
素早くそこにパスワードを打ち込む。
ガチャッ!!
開く音が聞こえた。
「やっぱりね……本当にバカの一つ覚えみたいに悉く同じ番号ですよね……皇帝支持者というのは……」
皮肉にも、カトレアの左腕にも「9083」という数字が記されている。
カトレアは鍵庫を開け、鍵を片っ端からポケットに入れる。
「忌々しい番号ですね……現すは粛清の意……いつか消したいものですね……この刺青は。」
カトレアは看守室を出て、牢屋に再び向かい、片っ端から牢屋を開けていくのであった。
次回もゾルサイドです。
乞うご期待くださいませ。




