第一話 シンバラエキアに反逆せし者達
一気に2話投稿、行っちゃいます。
この回ではもう、展開早め早めで行きます。
組織に入るところまでを鮮明に描きたいと思っています。
登場人物紹介、もうやっていこうかと思います。今回は主人公のヨゾラです。
ヨゾラ
18歳
暗殺者
165センチ
42キロ
3サイズ
B85
W55
H84
好きな食べ物:パフェ
趣味:狩り
今作の主人公。
銀色のスーパーストレートロングヘアー、黄色の虹彩が特徴で、二刀流を武器にする。
6年前、「ソールワン大戦」をたった1人で終わらせ、一躍英雄視され、また「屍のヨゾラ」として恐れられた少女。
しかし、時と共に記憶から薄れつつあった。
普段は甘いものが好きな、普通の年相応の18歳。
正常時は天真爛漫な性格で、何処か享楽的な部分がある。
戦闘になると、途端クールになり、冷静且つ迅速に敵を仕留める暗殺の腕を持っている。
12歳で軍の全てを葬るほどの実力で、今も戦闘能力は洗練されている。
フリーの暗殺者として、裏で暗殺業務を行い国の腐敗を正そうとしている。
その時のコードネームは「マド」。
皇帝から公爵の地位は貰っているが、密かに裏切りを画策しており、裏業務をしているのもそのため。
ちなみに11歳の時に孤児となっているため一人暮らし。
シンバラエキア暦1902年、「ソールワン大戦」から6年が経過し、帝国はもう、元通りに街並みも復興していたのだった。
だが、その一方で貧富の差の拡大、政治的な腐敗が問題視されていた。
そして、嘗て「英雄」と帝国民から持て囃された少女「ヨゾラ」は18歳となり、今、レストランにて……
「ん〜〜〜〜〜♡♡♡やっぱここのパフェ、美味しい〜〜〜〜〜!!!」
……このように、パフェに舌鼓を打っていたのだった。
こうも見てみると、本当に何処にでもいるような18歳の美少女だ。
銀髪の、尻まであろうかという長い髪に、黄色くまるで琥珀のような眼を持った少女。
ヨゾラはあの戦いの後、「公爵」の地位を取得しているのだが、ある日帝国の腐敗を知り、帝国を裏切ろうと密かに画策していたのだった。
ヨゾラはパフェ用のスプーンを右手に、そして最近普及してきたデバイスを左手に持ち、何やら画面を見ていた。
「今日の依頼は………ここ、か。名門貴族『ラスティア・コンドル』の一家、ってあるね……。」
そう、彼女は今、裏で暗殺業務をやっているのだ。
それもフリーで。
パフェを口に含みながら依頼の詳細を見た。
「なになに……?? 『多額の賄賂』に……? 『魚の密漁及び市場での販売』……『領民に重税を課して苦しめている』……か。……悪辣極まりないね。で、場所が……ここから北西の港町の『コーエス』、か。」
ヨゾラは依頼承認の欄をタップし、依頼主とメールで報酬を聞く。
すると、「200万バラキ」でどうか、と来た。
この重税が庶民に課されるご時世で、200万は相当高い。
ヨゾラは別に金にはあまり興味はないのだが、その話に乗り、依頼を受けることにした。
まあ、余程の金持ちが競争相手を潰すために画策していることだろうな、ということで話の流れを整理した。
パフェは食べ続けながら、でいたのだが。
「よし……じゃあ夜に決行するか!」
ヨゾラはそう思い立ち、パフェを高速で口に運び、席を立って店を後にした。
夜9時。
彼女は裏の顔「マド」としてコーエスに到着した。
「まーた豪勢な屋敷だこと……これだから成金は……」
ヨゾラはため息をついた。
コンドル家の屋敷を見て、まず最初に思ったのがとにかく広いということ。
何処から片付けていくか……密漁の現場を叩いたとしても、あの手の人間は位もあるため、言い逃れは効く。
こんな政治的に腐ったご時世だ、正直者が一番バカを見る。
「……あの手の輩は現場で密漁の指示をすることはない。まず密漁の現場を叩いて……そこから即座にラスティアを葬る、か。」
とヨゾラは一言呟き、口元を「ペスト対策用マスク」で隠し、髪はポニーテールに結う。
下がっている長い髪は、肌着と服の間に隠して、犯人が「ヨゾラ公爵」だとバレないように徹底した。
それに閑静な街だ、こんな夜に密漁が行われているなんて、ここの住民は想像がつかないだろう。
ましてや、今宵起こる領主殺害事件という惨劇も。
「……さて、先ずはアンティル港から叩くか。」
こうしてヨゾラは闇夜を駆けていくのだった。
アンティル港に到着したヨゾラは波止場に立っている。
その目に映るは船影。
ビンゴだった。
密漁現場を取り押さえた。
「よし……乗り込むか。」
そういって、刀の柄の先に仕込んでいたワイヤーを使って、船の碇に引っ掛けてそのままひとっ飛びしていったのだった。
船の会話にて、大収穫だった、だの、伯爵様がお喜びになるぞ、だの、そんな下衆い会話が聞こえてきた。
しかし、そんなガヤガヤした中だ、ヨゾラ1人が乗り込んでいても気付かれないだろう。
ヨゾラは木箱に隠れてじっと待つ。
今帰還中なのだ、シケでもない限り順調に帰れるはず、ましてや今日は凪。
船舶の腕がよほどでない限り沈没することなどまずない。
こうして無事、密漁船はアンティル港へ帰還した。
積荷を下ろしていく船員達。
ヨゾラはその瞬間を待っていた。
そして、箱に入った魚を運ぶ船員の1人に斬りかかる。
一瞬でその船員の生首が吹き飛び、積荷を下ろしていた船員の眼前に転がっている。
大きな悲鳴をあげて腰を抜かした船員。
閑静な街の中でこの大声はよく目立つ。
「な、何が起きている!! 侵入者か!!」
「ですが……! す、姿が……アボぁぁ!!」
状況報告している間にもヨゾラは次々と斬っていく。
目にも留まらぬスピードで、バッタバッタと斬り倒し、僅か1分で密漁船員を全滅、皆殺しにしたのだった。
問題は不法に採られた魚達の処遇をどうするか、だった。
後で市場の業者も殺しておこうか、とも考えたが、今するべきことではない。
ヨゾラは木箱の蓋を開け、まだ跳ねている魚の入った木箱に蹴りを入れ、海へと逃していったのだった。
しかし、いかんせん数が多く、しかも幾ら鍛え上げているヨゾラとはいえど、5分も掛かってしまったのだった。
「さっさとラスティアを葬らなければ……」
ヨゾラはそう呟き、またもワイヤーを使ってラスティアの屋敷へ音もなく侵入した。
警備の者を一瞬で葬り去り、一族郎党も皆等しく殺した後、コンドル家当主ラスティアの寝ている部屋に辿り着いた。
のだが。
もう既にラスティアの首は何者かによって持ち去られていた後だった。
まるでヨゾラを挑発するかのように。
マスクを外し、血の匂いを確認する。
「……まだ近いな。方角通り行けば会えそうだ。ソイツらに。」
全員死亡し、血生臭くなったコンドル家の屋敷の中を音もなく駆け抜けて行ったヨゾラなのであった。
一方その頃。
ラスティアを殺した「犯人」はというと。
もう既に屋敷を抜けた2人の男がいた。
「いやー……ラスティアを探している間に一族郎党が全員死んでるなんて笑いもんっすよね、アニキ!」
高い声でもう1人の長身の男に声を掛けた少年のような男。
アニキ、とその男が呼んだ長身の青髪の男は訝しげな顔をしていた。
「……他にいるんだろ……俺たちと同じ目的のヤツが……油断しないで帰るぞ、ライド。」
「ハイハイ、ボスの命令っすもんね!」
と、門まで駆け出している2人。
突然、2人の目の前に現れた女が1人いた。
正真正銘、ヨゾラだった。
「……お前達か。ラスティアを討ったのは。」
剣を構えて2人に尋問をするヨゾラ。
「……如何にも。」
青髪の男はそう答えた。
「ならばお前達に問う。それは組織で動いているものか? 言っておくが私はお前達と同業者だ。名を『マド』という。」
敢えてコードネームで名乗り、2人に問うたヨゾラ。
その質問に青髪の男は答えた。
「そうだな、俺たちはボスの命を受けてここに来た。結果的にマドとおんなじだったってわけさ。」
なるほど、と一つ感嘆したヨゾラ。
「……私はお前達を殺したりはしない。私も依頼を受けてここにいる。……お前たちの名と……組織名を教えてくれ。……単純に興味が湧いてきた。」
ここで逃げれば手柄を横取りされると思ったのか、2人は名を名乗った。
「俺は革命戦線組織『ゲバラ』隊員の『ゾル』だ。」
青髪の男もとい「ゾル」はゲバラ、という組織の隊員なのだという。
「同じくライド! よろしく!」
ライドは高めの声でそう答えた。
「……私はフリーでこの仕事をしていて……密かに今、国に対して謀反を企んでいる。報酬はそちらに半額山分けしよう。200万バラキだ。その条件を飲んでくれるなら……私をゲバラの一員にして欲しい。」
ライドはこのヨゾラの申し出に、ニシシ、と無邪気に笑った。
「いいぜ! アンタ強そうだしな!!」
ゾルは一方でため息を吐いている。
「……悪いな、ウチのボスの意向もあるからな……すぐに入隊とは行かねえ。報酬の件についてもそこは話しておこう。……とりあえず今から帰るのだが、アジトへ来るか? 言っておくが俺はアンタをまだ、信用しているわけじゃねえ。」
ヨゾラはこのゾルの言葉に冷静に答えた。
「今はそれで構わない。同業者に仲間に入れて欲しい、などという言葉ほど……信用できないものはないからな。……勿論付いて行くよ。案内してくれ。……手出しは一切しない。」
「ああ。案内しよう。東の『トリア港』に俺たちの船を泊めてあるから乗っていけ。」
「助かる。」
こうして3人はトリア港に泊めてある船を使い、「ゲバラ」のアジトへと向かって行ったのだった。
脳が……脳が震えるッ!!!
はい、失礼いたしました。
次回はアジトに着いて、また任務という形です。
登場人物紹介はゾルとなります。ご容赦願います。