第十七話 次のターゲット
この回はアレです。
閑話休題みたいなやつです。
新章一発目なんで、そんなダラダラやりません。
ダヘリアン軍を討ち倒し、ゲバラ一行はソールワン族達と旧軍駐屯基地で宴を開いていた。
皆が楽しんでいる最中、ヨゾラはこっそり抜け出して、カトレアの方へ歩み寄った。
「カトレア……ゾルはどうした?」
これまた宴の輪を離れていたカトレアにゾルの様子を聞いた。
「疲れて眠りこくっております。明日の朝には目が覚めている頃でしょう。」
カトレアは相変わらず淡々と喋り、ゾルの状態を答える。
ゾルとしても相当な死力を尽くして戦った結果なのだろう。
「そうかー……そんな気合いを入れて戦っていたんだな、アイツは。ともかく勝ててよかったよ。」
「そうですね……私も貢献できて良かったと思っておりますよ。」
主従関係兼親友の2人が笑い合う。
ヨゾラは戦闘面や普段ではクールな印象を受けるが、カトレアの知るヨゾラは天真爛漫で朗らかな、年相応の少女なのだ。
今のヨゾラはリラックスしていて、その「もう一つの顔」が出てしまっている。
キャラ崩壊、というよりかは「多重人格者」なのがヨゾラなのだ。
「……こんなものでは彼らへの償いにはまだ足りないのかもしれないとは思うが……最低限の彼らへの仕事は出来た。これからは彼らを裏切らせないようにするだけだな。」
「ですね……。」
「ところで……パフェがなかったが、作らせてないのか?」
「……あのさ、ヨゾラ……今はもう無礼講だから言うけどさ……」
カトレアは「ヨゾラの親友」に戻り、ため息を吐く。
「いくら貴女の大好物とはいえさ……持ち運びにくいものを宴で提供できると思う……?」
「え〜〜〜〜………まあしょうがないか……エディアに帰ったら一人で食べに行くか……」
「そうしてください。」
ヨゾラは宴会の場で大好物が食べられないことを嘆いていた。
こうして燃え上がる火柱が落ち着いた頃、宴は終了した。
翌朝、ゾルも起き、ゲバラのメンバーはソールワン族と同盟を結ぶことに成功し、トルメイアを出立し、エディアのアジトへ帰還した。
フィレアはヨゾラの朝の仕事を終えた後、全員を集めて次の標的の話をした。
「……次の標的なんだが……もう私たちは悪徳領主達を削るのは止めようと思う。そんなところを削ってもそこまで意味はないからな。革命当日に民に暴動を起こさせて討ち取る算段でいる。だから次のターゲットは……『将軍』に手を付ける。」
「将軍にか? ボス。」
「ああ。実際ダヘリアンを斃して確信した。今の私たちなら彼らをも討ち取れると。だからまずは帝国の中枢から遠い将軍から手を付けようと思う。」
カトレアはすぐさまデバイスのマップを開き、帝国の中心から遠い地域を調べる。
「ここから北方にある『ブレーキニスト』の……『シルバー』少将ですね。民の評価は紳士的な将軍だという風に聞いておりますが……」
「そう、その『紳士的な』、というところがカギだ。帝国から多額の賄賂を貰っては金を女に使っているということだ。領民のことはあくまでもそういうフリで接しているだけだ。だからその化けの皮を剥がすんだ。ここから大体200キロはあるから時間は掛かるが……それでもやろう。日帰りで帰ればエディアの領民にもヨゾラに対しての不満は起こらないだろうからな。」
「「「「オウ!!」」」」
一行はシルバー暗殺のために動き出した。
ヨゾラはワイヤーを使い、ひとっ飛びするための準備を整えていた。
まあ、敵方の戦力を削るには効果的なやり口だとは思うんですけどね。
次回はブレーキニストの実態を掴む回です。




