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第十五話 鬱憤

ソールワン族を本気にさせたらヤバいのはキリアでご存知かと思います。

それが集団になると……ってところですね。

 ダヘリアンの軍に一斉に襲いかかるソールワン族。


予測がしづらい軌道から、次々と軍団に飛びかかって剣を振り下ろして行った。


「怯むな!! よく見て対処しろ!!」


ダヘリアンが兵卒に指示を送るが、想定外の事態の軍に統制は取りにくかった。


その間にヨゾラ、ゾルもソールワン族が主攻になるように斬っていく。


目にも留まらぬスピードで敵兵の首を刎ねていくヨゾラ、一人一人を確実に高速の剣技で腹をかっさいていくゾルとでは、威力は数段違っているのだが、敵兵を減らせることには変わりない。


「……こうも止まらぬとはな。やはりソールワン族は甘くないか。……平時の時ならまだしも……戦闘時は強力そのものだ。陛下が()()()()()と命じていたのもわかる……」


ダヘリアンはこう呟き、鉤爪状の剣を取り出した。


ダヘリアンは戦線に向かって馬を走らせて行った。



 「ダヘリアンが出てきたぞ!!」


「殺せェェェェェ!!!!」


ダヘリアンを確認したソールワン族が一斉に飛びかかった。


もうダヘリアンの軍は、半数近くの兵が討ち死にしていた。


それだけソールワン族の(プラスアルファ)は強大だった。



 のだが。



 ダヘリアンは鞍を踏むと、一気に跳び上がり、横に一回転して剣を振るった。


襲いかかってきたソールワン族の身体は、一瞬にして真っ二つに裂かれたのだった。


櫓で戦局を見ていたライドは、


(マジかよ……!! これがシンバラエキアの将軍の実力かよ……!!! ヨゾラはともかくアニキで行けんのかよ、これ……!!)


弓を構えながら畏怖の念を覚えていたのだった。


これを見ていたヨゾラは二振りの刀を納める。


そして、後方に待機していたソールワン族に命じた。


「お前達は()()()()()()()()!! ここは私がどうにかする!!」


「オウ!!!」


右翼側のゾルを助けに行くように命じ、ヨゾラはこの軍勢を1人でどうにかするべく再び刀を鞘から抜いた。


「……蹴散らす!!」


ヨゾラは一瞬で遠い距離を踏み込み、ダヘリアンを囲っている兵を斬り倒しては退避を繰り返して少しずつ、少しずつダヘリアンの周囲を削る作業を取っていったのだった。



 

 一方、ゾルサイドは。


「いきなりダヘリアンを襲うな! まずは兵を削れ!! 壁も利用して戦場を撹乱しろ!!」


ゾルはソールワン族にチマチマ行かせる戦法を取った。


1人に出来れば討つのは容易い。


そもそもこの戦は()()()()()()()()()()()()勝ちなのだ。


ライドとカトレアに援護をさせながらゾルはソールワン族と共に兵を斬り、ダヘリアンの元を目指す。


(畜生……思ったより兵が多いな……! マジでバミューダがいなくて良かったぜ……!! だとしたら斬っていたかもしれねえからな……!)


そして、こんなことも思っていた。


(ダヘリアンは必ず俺が倒す……!! キリアは()()「ゲバラ」に()()()()()、仇は絶対取ってやる……!!)


ダヘリアンを絶対に討ち取るという想いで、気を昂らせながらゾルは次々と敵兵を華麗に斬り刻んでいったのだった。




 「押せ! 者ども!! 前身させろ!!」


ダヘリアンも焦っているのか、進軍も雑になっている。


(門も頑丈な鎖で繋がれているな……私だけではアレは難しいし、壁を登って撤退するにしろ、ソールワン族が登っていて不可能に等しい……だとすれば正面突破だ。左翼を単騎突破する!)


ハァッ!! と声を上げて、馬を走らせるダヘリアン。


向かってくるソールワン族を大振りな動きで斬っていき、前身させた。


(何処だ……! 命じている将は近くにいる筈だ……!! 何処にいる……!!)


将を討てばこの戦を勝てると思っていたダヘリアンの顔色は焦りを隠せない。


それが大振りの剣筋に現れていた。


と、ここで、1人の男が飛び込んできた。


「自分からノコノコ来るとはなぁ……!!!」


「なっ!?」


ゾルだった。


一瞬反応が遅れたダヘリアンは、咄嗟に剣を構え、居合い抜かれたゾルの剣をガードした。


だが、バランスを崩し、ダヘリアンは落馬した。


「……誰だ、貴様は……!」


「俺は『革命組織』の戦士・ゾルだ。シンバラエキア帝国将軍『ダヘリアン・シーファイ』……貴様を討つ!!」


剣を勢いよく振り抜き、ダヘリアンに斬りかかったゾル。


ダヘリアンはガードし、鍔迫り合いになった。


(この男……強いな……あのソールワンの女と同等か……それ以上の……!!)


ダヘリアンは、どの道ゾルを倒せなければ勝機はないと判断し、剣を構えたのだった。



 一方、ヨゾラ側。


ライドから戦局の連絡を受けていたヨゾラはというと。


「ライド。どうしても、という時だけ援護しろ。それ以外はいい。」


『それはわかったけどさ、ヨゾラ! アイツはバケモンだぞ!? アンタはともかく、アニキで敵うか分かんねえ相手なのに!!』


「……大丈夫だ、ライド。……()()()()()()。」


ゾルを信頼するヨゾラ、自身は周囲の敵を薙ぐだけだと奮い立たせ、周囲の兵の命を狩っていったのだった。

次回はゾルとダヘリアンの一騎討ちとなります。

どのような結末を迎えるのか、お楽しみに。

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