第十四話 逆襲のソールワン族
謀略の計略を練る回。
ダヘリアンも動きますけど、本人は何も知らないという。
軍駐屯地で、フィレア達と合流したヨゾラとカトレア。
「ああ、お疲れヨゾラ達。よくやってくれた。」
「……ボス、作戦についてなんだが……」
「ソールワン族を使うって言ってたけどさ、具体的にはどうするんだ?」
ヨゾラはカトレアに説明させた方が理解するだろう、と感じ、顔で催促して説明させる。
カトレアはヨゾラの作戦を話した。
「ここに来る前にソールワン族の酋長殿には事情は説明しております故。……今の帝国はソールワン族の武力に対抗できるような強さを備えている、その話はヨゾラ様や、バミューダ殿から話を聞いております。それはキリア殿がダヘリアン将軍に討ち取られたことがそれを証明しています。ですが、あくまでそれは一対一の場合。ソールワン族の最大の武器は連携して攻撃を仕掛けることが得意だということ。ただ武力が強い、という情報だけが帝国に行き渡っていたが故、意外にも帝兵の統率は取れていません。つまり……」
といい、デバイスを起動し、フィレア達に自分が書き記したデータを見せた。
「ソールワン族の連携が壊されることは先ずありません。私はその弱点を見抜いてヨゾラ様に仕留めさせましたが……懸念材料はダヘリアン将軍の実力が未知数であるということ。バミューダ殿からお話を聞いたところ、武力が強いのは間違いない、しかしまだ隠し持っている『何か』があるということ、これだけが私でも読み切れないんです。」
「確かに私も将軍として内戦を戦っていた時に……その強さを目の当たりにした。私は大怪我で済んだが、私は部下を何人も失った。……今考えたら連携や統率が取れていた、そこを利用すると言うことだね? カトレア。」
「ええ。彼らが主攻、つまり囮になる。しかも門に軍が入った瞬間に挟撃になります。ボス、総指揮はお任せします。ソールワン族とヨゾラ様……そしてゾル殿が中心になって兵を斬り刻むという形で攻めたいと思っております。私とライド殿は櫓から援護射撃致しますので。」
「了解した。じゃあそれで行こう。ソールワン族全員を呼び集めてくれ。ただ……子供は戦わせることはできない。子供に戦争を教えれば……後々に影響してくるからな。」
フィレアは難しい顔になった。
ではどうするか……
「子供達は司令室で匿います。酋長殿の護衛の方が子供達を守るということで調整しておりますので。」
カトレアはそこも準備をしていたようだった。
本当にデキる秘書だ。
「分かった。それなら安心だな。ヨゾラ、ゾル、ライド。それでいいか?」
3人はこれに頷く。
「私がカトレアの策を疑ったことは一度もない。事前に2人で話し合ったし、そこは大丈夫だ。」
「任せなよ、ボス。兄貴達の援護はやっとくから。」
「……キリアの弔い合戦でもあるんだ。必ず仇は討つ。」
これを見たフィレアはニッと笑い、こう指示する。
「よし……ダヘリアンの軍が来る前に食料と人員を集める!! 短期決戦を想定しているとはいえ、練習時間は要る。連携して戦えるように調整期間に入るぞ!!」
「「「「了解!!」」」」
フィレアはソールワン族を集め、ヨゾラ、ゾルを交えて実践訓練を行っていったのだった。
3日後、トルメイアに進軍したダヘリアンの軍はというと。
奇しくも軍駐屯地へ向けて出陣していた。
ソールワン族滅亡のために軍と合流する予定でいたため、何も知らなかったのだ。
やがて門に到着し、門番に迎え入れられる。
「お待ちしておりました、ダヘリアン将軍。」
「やあやあ、ご苦労。……門を開けたまえ。」
「司令官殿がお待ちしております。では、どうぞ。」
ダヘリアン軍は、ノコノコと駐屯地に入城していった。
全軍が入り終わったのを確認した門番2人は、門を鎖付きの鍵で脱出できないよう、完全ロックした。
そして2人の門番は、櫓へ向かって走り出して行った。
「上手く行ったな、カトレア。」
「……いい演技でしたよ、ライド殿。」
援護射撃の2人が門番を務め、密室状態を作り上げていたのだった。
2人は褒め称え合いながら、櫓に入って行ったのだった。
全軍入城を確認したフィレアは。
スタンバイしていたソールワン族5万2000人、そしてヨゾラとゾルに指示を送る。
「お前達の憎っくき相手……シンバラエキア帝国軍が侵入してきた! 彼奴は君たちソールワン族を滅亡させる気でいる!! 未来をここで軍を討ち!! 繋げてみせろ!! ……全軍挟撃でかかれーーーーーーー!!!!!」
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
一斉に挟み撃ちでダヘリアン軍に襲いかかるソールワン族。
こうしてトルメイア防衛戦が幕を開けたのだった。
ソールワン族の存続と威信を賭けた戦いの火蓋が切って落とされたのだった。
戦い自体はあと二話で終結です。
来週もお楽しみに。




