第十三話 反逆の狼煙
今回から水曜日投稿となります。
ご了承ください。
この回はタイトル通り、奇襲です。
軍駐屯地へ到着したゲバラ一行だったが、門番が非常に多く集まっていたのを見つけた。
開けた場所にテントが数個並んでいるだけの場所だったにも関わらず、コレほどまでに守りが堅固であることは予想外だったからだ。
ここでグルッと視察を終えたヨゾラが戻ってきた。
「ボス、ここは監視カメラが多い。迂闊に飛び込むのは危険だ。少人数で行った方が安全だ。」
これを聞いたフィレアは唸る。
「成る程ね。それだけ帝国にとって重要な情報を握っている、ってワケだな。そうなると……通信局を叩くことも必要になるからな……」
一行は頭を悩ませている。
だが、今までと違うのは、頭脳明晰なカトレアが、ゲバラ陣営内にいること。
カトレアが作戦の全貌を話した。
「まず、この作戦は……初動のライド殿が全てのカギを握っています。ライド殿の武器は弓、つまり……遠距離攻撃が出来るわけです。ライド殿がまず弓を放って奇襲を仕掛け、ボスとゾル殿で切り込みます。そうこうしている間に私とヨゾラ様は通信局を襲撃し、帝国への通信手段を絶ちます。」
「成る程ね、カトレア。それ、やろうぜ!」
カトレアの献策に軽いノリで返すライド。
「オイオイ、ライド……これは遊びじゃねえんだぞ。そんな気持ちじゃ、命を落とす。」
「大丈夫だって、アニキ! だって……これが俺たちの『反逆の狼煙』ってなるわけだろ? ワクワクしねえのか?」
「ハア……まあなんでもいいけどよ。その代わり、しっかりやれよ。」
「わーってるって!」
ゾルがライドを諌めるが、ライドのノリの軽さは変わることがなかった。
「決まったな? じゃあヨゾラとカトレアの方も頼む。」
「ああ。任せてくれ。」
そういって二人は、ここから東にある通信局へと向かっていった。
襲撃の準備をするライド、ゾル、フィレアの3人。
「ライド、奇襲後も……通信局に連絡しようとしている奴を撃て。いいな?」
「りょーかい。」
「じゃ……お前が矢を撃ったタイミングで切り込むぞ、ボス。」
「分かってるよ、ゾル。……元帝国軍将軍を舐めるなよ?」
3人は配置に入る。
「脳天ぶちかましてやらあ……!」
弓の弦を引くライド。
強烈な豪弓が門番目掛けて発射された。
ズドン! と、兜ごと撃ち抜かれる。
穿ち抜かれた兵士は仰向けになって倒れた。
「な……!! 侵入者か!?」
もう一人の門番は慌てて伝令を出そうとしたが、背後を取られている。
「ぐわぁ!!」
切り込んでいったゾルに背中を斬られ、うつ伏せに倒れ伏した。
「よし。上々だな、ライド。」
「じゃ……ボス、二手に分かれるぞ。」
二人は別々の方向から、ゾルは刀で、フィレアは槍で、敵兵をバッタバッタと斬り倒し、刺し倒していった。
時折ライドの、遠くからの弓のアシストがありながらも、戦闘力の差は歴然。
1時間半もしないうちに制圧していったのだった。
無論、通信局への連絡手段も断ち切っており、残っている通信手段はダヘリアンとの連絡用デバイスだけとなっていた。
「ボス、これでいいんだな?」
「それはいいんだが……どう説明するか、この状況を。」
「それはヨゾラの部下たちを使えばいいんじゃねえか?」
「うーん……あの二人のことだ、何か考えてはいるんだろうけど……」
「だといいがな……」
3人は、ヨゾラとカトレアからの連絡を待つことにした。
一方通信局の二人は。
ヨゾラが囮となって暴れている隙に、カトレアがコントロールルームへ侵入し、監視カメラの電源を次々と絶っていく。
なにしろカトレアには戦闘力がない。
混乱に乗じている隙に帝国へ情報を流さないようにするのが彼女の役目だ。
何人もの職員をヨゾラが斬り倒している間に開けっ放しの室内へと侵入していったのだった。
やがて通信局長の元へ辿り着き、ヨゾラは目にも留まらぬ速さでその首を一閃し、刎ね飛ばした。
カトレアは悠々と、しかし迅速に機械をタイピング操作し、帝国に繋がる情報を断ち切ってみせた。
全滅させたヨゾラは、フィレアに連絡を取った。
「ボス、そっちはどうだ?」
『ああ。こっちも無事終わった。少なくともこの国の将軍よりは幾らか弱かったぞ。』
ヨゾラの問いかけに、フィレアも無事だと答えた。
「今からそっちに行く。これはソールワン族全員が必要になるんだ。」
『……? ああ、分かった。早めに頼む。』
電話を切り、ヨゾラとカトレアは軍駐屯地へ出発していった。
まあざっくりですけど、無双っぷりが伝わればいいかな、と。
格が違いすぎますね、一般の兵卒と元将軍では。
次回は一網打尽に向けての作戦会議です。
そしてダヘリアンも動き出します。




