日ハ堕チ双月ハ昇ル-1
この話の投稿に伴い、前話を修正しました。
どうも皆さんこんにちは。ニーヴィスという者です。
只今、無人の街に蔓延る鉄人形を只管斬りまくっています。。
どう見てもゲームが変わっていますね。ジャンルが無双ゲームになってますよ。
こうなった理由を手短に説明しますね。
あの後、ルナリア様に私が散々愛でられた後に……。
・私がチュートリアルの世界に行きたいと懇願
・ルナリア様に転移させて貰った
・設定を一定時間毎に魔物が湧くように変えて貰った
・ルナリア様が、黒いオーラを出していたオフェリア様にお仕事だと連れて行かれる
・ボッチでひたすら無双中←今ここ
ルナリア様に聞きたいことも聞けませんでした……。例のクエストについて。
オフェリア様が有無を言わせず引き摺って行きましたからね。
後で聞けますかね……? 最悪、念を送れば飛んで来そう。
因みに、リアル三時間から四時間程、ずっと鉄人形をぶった斬っています。つまり、ゲーム内時間で半日以上。ゲーム廃人を舐めないで下さいね?
鉄人形から獲ることができる経験値の量はそこまで多くないのですが、レベルも67まで上がっています。
まあ、この世界にて戦っている理由は、レベル上げというよりは、新装備の能力の検証と使い方に早く慣れる為、といったところです。
ずっとハイヒールで戦っていたのですから、この独特な足の感覚にも慣れました。地面は石畳なので、擦り減っていてもおかしくはないですが、流石は不壊のユニーク装備。
ゲームのキャラクターのキツさを、身を持って知ることができました……。
ハイヒールのキャラクターさんは労災に申請して良いと思いますよ?
この世界での戦闘のおかげで分かったこともあります。
先ず、星雪の姫神子装束の【天霙】、及び【薄氷】の気温の低下に伴うバフについてですが、浮遊盤君に現在の居場所の気象情報等が表示されるようで、その気温の所を注視することで、どの程度の強化か割り出せました。
そもそも私の体温が低すぎるせいで、周囲の気温が零下四十度以下となっているので……。
それで常に効果は1.3倍になるようです。因みに進化前の周囲の気温は零度くらいでした。
更に、雪華剣フリースヴェルグを抜くと、ギリギリ三桁に届かないレベルの極寒になり、強化倍率が2倍を超えます。
駄目押しに、【アイスエンチャント】に【一点集中付与】、【威力増幅付与】をかけて【四重詠唱】で重ね掛けをするという悪魔のような凝縮を行うと、一ヶ所のみですが、余裕で零下三百度を下回り、約四倍というぶっ壊れた強化値となります。
いや、はい。頭おかしいですね。《成長共有》もあるので、まだまだ強化値は上がります。
本当にバグじゃないですよね………?
一応運営にはお問い合わせしました。秘書さんが『仕様です。まあ、NPC最強格に頼むとは思っていませんでしたが、それもプレイの一つなので』と淡々と答えられました。あ、良いんですね。世論への免罪符獲得。
その他、繃黒剣ヴェルズフェルニルや【雪影の灯】も練習しました。この世界は現在、高い煉瓦造りの建物が密集した、区画整理に失敗したかのような薄暗い路地が張り巡らされた無人の都。繃黒剣の練習にはもってこいです。
頭がかなーり痛くなりましたがね。
【雪影の灯】についてはお披露目はまだです。こちらもぶっ壊れていた、とだけ言っておきましょう。
さて、背後にいる三体の鉄人形を、予め壁に仕込んでおいた繃黒剣の影刃で鉄塊に変えます。
その隙に、【アイスエンチャント】付きの雪華剣の冷気で凍りついた鉄人形を斬り殺す。
罠として撒いておいた冷気。暗いのでよく見なければ見分けが付かず、思考の単純な魔物なら簡単に掛かってくれます。一応人工知能積んでるらしいですけど、ゴーレムは漢字にすると、そのまま人形。つまりは、所詮動き方を入力されているに過ぎません。それを、人工知能で再現……意味あります?これ。
……それにしてもこの温度、生身の敵だったら凍死してますよ。
急に僅かに差し込む日光が遮られ、私の視界に影が落とされます。
屋根の上から落下してくる鉄人形の群れ。上にポップしたのでしょうかね?
「上からですかっ……では」
私は瞬時に繃黒剣を地面……いや、影に突き刺します。
影に潜った影刃を、そのまま壁に沿って走らせる。
「ふふふ。楽しいですね」
グシャッという、ドラム缶が凹む時のような音を立てて、ボロボロになって落ちて行く鉄人形達。
私が行ったのは、周囲の壁、色んな方向から枝分かれした影を突き刺して串刺しにしただけ。
直接、繃黒剣を媒介にして影刃を出現させた為、複数本の精密操作も可能です。
更にその影刃を分岐、屈曲させて、針のように細い影刃を音速を超える射出速度で上で屯している鉄人形の弱点に正確に突く。
【看破】と【直感】、そして、数時間の経験から弱点を一撃で倒します。同時に複数体を。
鉄人形の最重要区画は、ゴーレムお約束の『核』。その部分の装甲もかなり分厚く、各個体、微妙に位置がズレているので頭の処理が多いです。
鉄人形が相手でなくとも、この技はいつにも増して脳の負担が大きいです。
例えるならば、目隠しをして逆さまのコントローラーを用いて、ロボットに針の穴に糸を通させているような感覚です。
陽の光に晒されていて威力が弱まっていても、これなら暗殺できます。普通に凶悪。
………敵の襲来が止みましたね。何ウェーブ連続でやってましたっけ?
この辺りで『中断』しますか。
ルナリア様に『中断』『再開』は、念じれば試行されるように設定して貰っていたので、数時間振りの休息を取ります。ふぅ……疲れました。
そういえば、さっきからレベルアップの効果音に紛れて、チャットの通知音が鳴っていましたね。フレンド達からの模様。全員揃っていて賑やかですね。
共通アカウントの方で紫乃達とはフレンドになっていたので、そこからこのゲームに引っ張り出して来ました。所謂グループチャットで会話が続いているようです。
『モーヴ:全員ログインしたみたいだねー』
『プルミエ:まだリアルで十一時ちょっと前だけど集まっちゃう?』
『ファウンテン:もう少しで日没だしいいと思うよー』
『デルニエ:おっけ〜』
『モーヴ:おk』
『ヴァルヨ:了解』
『プルミエ:ニーヴィスはどう?』
『モーヴ』が紫乃、『プルミエ』が千弦、『デルニエ』が奏恵、『ファウンテン』が結伊、『ヴァルヨ』が爽香です。『モーヴ』以外は外国語が由来ですね。月原姉妹が仏語で結伊が英語、爽香が芬語でしたっけ……流石にそこまでマイナーな言語は覚えていません。
話が振られましたが、ここまでの流れを見た通り、もう集まるようです。
時間的にはリアル正午=こちらの午前零時ですから、こちらで日没まで残り四半刻程のこの時間帯に集合するのは、丁度良いかもしれません。
間食とか用意していましたが、まあ、食べなくても良いでしょう。
SNSで配信の前倒しがある可能性についても示唆しておかなけければ。
つまりはそういうことなので、了承の意を伝えますか。
『ニーヴィス:構いませんよ。何処まで迎えに行けば良いですか?』
『モーヴ:おぉぅ……この口調……やっぱり新鮮……』
『プルミエ:白雪姫の姿と相俟って、リアルよりも更に清楚な感じがするわね』
『ファウンテン:まるで別人みたいね〜』
『ヴァルヨ:ちょっと他人行儀な感じもするけど』
『デルニエ:私はこっちの方が好きかなー?素、みたいな感じがするし』
デルニエの返答にビクッとして慄く。この子勘良過ぎませんか……?
いや、ぽやっとしているように見えて、実は確信を持って気付いていたりするのではないでしょうか……? 何気にデルニエが一番怖い。日常生活でも何度ヒヤッとしたことでしょうか。まあ、下手に触れてボロを出すよりは無視で良いですかね。
『ニーヴィス:一応、今すぐにでも向かうことができますが……』
『プルミエ:待って。カーメルの噴水付近は無理ね。《HERO SWORD》が出張ってる』
『モーヴ:え、危な。今私、カーメルの冒険者ギルド』
『ファウンテン:遠くから見てるけど人集りが凄いわね〜』
『デルニエ:最近カーメル付近でレアドロップを落とすモンスターが出てるからねー。その所為で大通りも結構人いるよ』
『ヴァルヨ:場所が街の外か、人の少ない路地ぐらいしかない』
『プルミエ:もしかして全員中に居るの?』
『ファウンテン:ヴァルヨと合流したわよ〜』
『ニーヴィス:あ、ということは私以外は全員中に居るんですね』
『モーヴ:あー……門の所にも人が居る……外は無理だね。これ』
『プルミエ:じゃあ、何処かの路地で集合しましょうか。決めるのに時間がかかりそうなので、私達が居る場所で。位置情報書いとくわね[位置情報]……聞いておくけど、路地に入らないような人外種族の人は居ないわよね?』
『ヴァルヨ:ん、問題ない』
そういえば、あの【霏刻の氷鍵】で出て来た扉よりも大きいものを通す時は、どうなるのですかね? それに応じて巨大化するのでしょうか? 今度確かめてみましょうかね。
通知音が響き、カーメルの街の地図の画像が送られて来ました。一等地と呼ばれるような、立派な建物だらけ土地の間の路地。……これ大丈夫なんですかね。場所が場所だけに、衛兵でなくとも私兵に捕まりそうな気もしますが。貧民街がありそうな治安が悪い処よりはましですけどね。何であれ、さっさと回収しましょう。
『ニーヴィス:では、今から向かいます。ちょっと待ってて下さいね』
『プルミエ:ありがとう。ニーヴィス』
『モーヴ:サンキュー!』
【霏刻の氷鍵】を発動し、純白の扉を創り出します。そして、頭の中で座標指定を行いながら、鍵を突き刺し、取手を捻って扉を前に引き出す。すると目の前には、西に沈みつつある太陽と、雄大な蒼穹が広がっていました。
私は、カーメルにはチュートリアル終了後のあの短時間しか行くことができていません。ピンポイントで集合場所に扉を開かせることが出来ないので、必然的にその上空に移動することになります。粘着質な勧誘からの逃避行の際に空には行きましたからね。
「この辺りに……あ、見えましたね」
無駄に豪華な装飾が施された建物の間にいる、五つの人影を急降下しながら発見します。
地面も近くなったので、速度を落としてふわりと着地しました。
私の姿を見て、破顔しながらも驚く五人。
「あ、ニーヴィス来たよ! というかちょっと待って、ドレス⁉︎」
「へぇ……やっぱり似合ってますね」
「可愛いー!可愛いよー!」
「ん。似合ってる」
「素敵ですねぇ〜」
十人十色な反応を返す、カラフルな髪と瞳の色をした少女達。
他のゲームで散々見慣れた姿です。
「こっちで会うのは初めてですね。まあ、挨拶を行う前に、移動しましょうか」
隣に扉を出現させて、見様見真似で令嬢然としてドレスの端を掴み、優雅に淑女の礼を行いながらそう微笑みかけました。
◇・・・ --- ・・・ ・・・ --- ・・・ ・・・ --- ・・・ ・・・ --- ・・・ ・・・ --- ・・・◇
現実世界。
少女達が邂逅する僅かに前の時のこと。
ベットに寝転がる少女の傍に置かれた携帯電話から、微かな通知音が流れる。
光る画面。何故だろうか。精一杯主張するかのような煌々とした光を惨めに思うのは。
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件名:ごめんね
差出人:⬜︎⬜︎(光の反射によって見えない)
宛先:吹雪
本文:ごめんね
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たった四文字の哀愁に満ちた言葉。
これをもっと早く少女が覗いていたならば。
それすらも考慮して、この便りの主は送信したのだろう。
彼女ならその意図に辿り着けるだろうと鑑みて。
少女が現実世界に覚醒するのか、定かでは無い時に。
反応がないことを確認した液晶画面がふっと暗くなる。
少女は気付かず眠り続ける。差出主は気付いて欲しかったのだろうか。止めて欲しかったのだろうか。何も分からない。
仮想世界での惨劇は確定事項と化した。
嗚呼─────
──────再び……三度……幾度目かも知れない、血に満ちた狂えし夜が訪れる。
誤字修正:2021/02/28
加筆:2021/03/06
途中で執筆を切り上げた為、上の部分を前話から移動させました。
『モーヴ』英語[紫色の合成染料]【Mavue】
『プルミエ』フランス語で『前者』【Premier】《le premier quartier》で『上弦の月』
『デルニエ』フランス語で『後者』【Dernier】《le dernier quartier》で『下弦の月』
『ファウンテン』英語で『噴水』【Fountain】
『ヴァルヨ』フィンランド語で『影』【Varjo】
皆さんお久しぶりです。剣葉です……。
三週間程更新出来なくてすみません……。
作者は先週のテストに引き続き、十日で学校のPV作れ(作者一人で)と言われ、四苦八苦しています。
来週からなら高頻度で投稿出来る筈……!
改稿の件についてですが、ちょくちょくやっております。
気紛れでやっているのでバラバラにやってますが……。
特に一話後半はガラッと変わっています。前の方が良かったですか……?
掲示板も改稿して加筆しようかな、と思っておりますので暫くお待ち下さい。
面白い、毎秒投稿しろ、『遅過ぎません?(圧』、という方は、評価、感想、ブックマーク、レビュー等、是非お願いします……!(懇願)




