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ムーンゲーム・リインカーネーション  作者: 剣葉
第一章 混沌ノ拍動ト蓋世ノ血巫女
42/50

二進数謳ウハ月ノ理-2

 昨日はすみません!外出してました!

 運営側。第三者視点です。










「あはは〜、やっぱりこの子、面白いねぇ」

「ルナリアがここまで好感度上がる子がいるのはちょっと予想外だったな……」





 株式会社EastCloudの本社の会議室。

 現在そこは厳粛な空気に満ちている訳でもなく、幹部達の《WMO》の観賞会と化していた。

 モニターにはルナリア達と話すニーヴィスの姿が映っている。それを四人の女性が興味深そうに眺めていた。





「ふふふ。そうでしょう、そうでしょう」

「(何故か誇らしげね……)」

「ん? 弥里どうしたのー?」

「いえ。何でもないわ」





 空中に滞空している椅子に座した女社長、東雲神楽が手を合わせながらそう言う。

 ニーヴィスはNPCにはあまり存在が知れ渡っていないが、このゲームの中でも重要人物となっており、ストーリーに関わる人物とも親密な関係を築いている。

 そんな彼女を神楽達は注視していた。





「私も予想外だったよ〜、ルナリアちゃんの好感度を上げる為の条件はかなり厳しくしたんだけどね。あ、オフェリアちゃんも一緒。性別とか年齢とかの時点で既に弾かれる人も結構いたし」

「可愛い子を追い求める趣向は設定になかった気がするんだけど……」

「あ、私が入れたよ。というか、色々微調整してたらこうなった」

「えぇ……、一体どんな人をモデルにしたらこうなるの……」

「そのモデルに近付いたから結果オーライだよー」

「それにしてもこの上昇具合は凄いわね……。相性も良かったのかしら?」





 全てのNPCのプログラムを行ったどこかふわふわした話し方をする女性、出宮未来もニコニコとしている。

 茉莉乃が疑問を呈し、神楽がそれに答える。茉莉乃は軽く呆れているようだが。

 それを聞いてスーツを着こなした眼鏡をかけた女性、社長秘書の宝角弥里が呟く。




「あー、多分それもあるんじゃない?この辺りは天性だろうけど、普段から学校のアイドル的な立場らしいし」

「それを考えれば、神楽に似てるね〜」

「物凄い腹黒で使える物は何でも使う、合理主義の独裁生徒会長様とは全然違うね」

「言ってることが真逆……」

「誰のことだろうなー?」




 倉恒茉莉乃が毒舌にバッサリ言った言葉を、神楽は、あの時は楽しかったなと狂気的な笑顔を浮かべ、肯定としか思えないわざと拙くした誤魔化しを行う。




「正直、私も神楽のやることにはドン引きしたけどね」

「冠婚葬祭には制服があるのが財布に優しかったよー」

「笑顔で言うところが怖いよ……」

「うわぁ……」

「私でも引くよ〜?」




 弥里達は腐敗していた高校で出会った時の神楽を思い出すと、身震いしていた。





「思い出話はまた今度にして、この子を見ようよ」

「あ、オフェリアちゃんに装備頼んだ」

「世界神が作るのはまずかったけど、オフェリアなら良いんじゃないかしら?」

「多分、神器になってもいきなりは使いこなせないと思うけどねー。使い手選ぶから。純粋にレベルも足りてないよ」

「というか、この世界って神器何個あるっけ?」

「えーと、結構あるね。【エデン】からも何個か流れてきてる。プレイヤーに見覚えのあるやつもあると思うよ」

「かなりの数があるね。【エデン】よりも多いんじゃない?」




 そして暫く時間が経ち、ニーヴィスが料理をし始めていた。金色の米が魚介の間からちらつくパエリアと、二つの味が豪勢に盛り付けられた唐揚げ。

 その工程及び鑑定結果を見ながら神楽達が感想を溢していた。





「え?普通に上手くない?」

「晴世にも通用しそう……」

「一応コピーして食べることもできるよ」

「後で食べさせてもらおっと。まあ、この年で一人暮らし歴十年ぐらいあるみたいだからね」

「動きの模倣も得意で器用らしいよ」

「おいしい〜」

「あ!もう食べてる!」

「これでリアルのお腹が満たせないのが辛い」

「それを言うなら吹雪ちゃんの種族、食事不要だけどね」

「それを言ってしまったらおしまいだと思うけど」





 いつの間にか《SOMNIUM》を被り、感嘆の声を漏らしている未来がいた。茉莉乃は羨望の眼差しでそれを見つめ、自分も取って来ればいいという事実に気付いて急いで《SOMNIUM》を取りに行っていた。



 更に数刻時間が過ぎる。




「もうログアウトするんだ〜」

「と言っても日にち跨いでいるよ。若い子は早く寝るべき」

「小6なのに平日に半日ぶっ続けでログインした猛者(廃人)いるけど?」

「その子の将来が心配……あ、一応プロゲーマーなのかしら。……でも、ブラックな世の中になったものよね……」

「ちょっと待って、オフェリアちゃんが時間止めてまで本気で装備作ってるよ。え、オフェリアの時間魔法って数ヶ月に一回しか使えなかったよね……。何やったの?この子」

「ぶっちゃけ、色々とチート……。バランスブレイカーには……この程度ではならないかしら」

「丁度良いんじゃない?ソロモン達だけだと役者不足だし」

「あの子達を相手にするなら、サーバー分けるなんて論外ですしねぇ……」

「その為に世界広くして簡単に移動できるようにしたんだから」

「様子見で本数絞ったけど、これ、少な過ぎたね……」

「だからって、第二陣で増やし過ぎるのは慎重にね。それで失敗した先輩がいくらいたことか……」





 《WMO》では最前線ともいえる場所が常に移動し、それが大量にある為、サーバーを分けなくても十分成り立っているのだ。

 NPCの数も比較的少ない為、人で溢れ返る現象は殆ど起こっていなかった。

 そもそも、10億もの総人口を誇る欧州の地形をそのまま模倣しているのだ。

 更に中東、アフリカ大陸北部も解放されている。

 仮想世界のその地帯の人口は多く見積もっても4000万人。

 プレイヤー10万ちょっとが増えたって影響は少ないのだ。

 治安、物価等を全て度外視した、都市人口の受け入れの面についてのみだが。 






「さてと。そろそろブラッディクエストその他の調整をしないとね」

「おっけ〜」

「現在のプレイヤーの最高レベルと平均レベルはどう?」

「最高レベルは……50から60だね。流石廃人集団。吹雪ちゃんのレベルをあっという間に超えたよ」

「平均は20から30程度。これは……《血月の使徒》のステ弱体化は200レベ残せばいいでしょ。《十二星宮(ゾディアック)》が来る可能性あるし」

「そうだねー、それだけあれば大丈夫でしょ。PSの方は【神災(ゴッズハザード)】に頭の容量結構持っていく魔法とか選んでるからね」





 神楽達はホログラムを操作しながら議論を進めていく。





「流石神威ちゃん。暴れっぷりが凄いね」

「どこ陥したの?」

「【新月姫】が月、【紺陽姫】が太陽。まあ、後は【氷葬姫】……使ってる能力的には【残雪姫】がシルヴェス帝国を持ってるのと、【厄病姫】が北欧に疫病広げてて、【纏霊姫】がノーダ死哀国から瘴気撒き散らしてる」

「うわぁ……見つかるまでは弱体化くらわないからって、相変わらず容赦ないわね」

「太陽と月を二人が陥したから、多分一日中太陽と月が出てる状態にしてるね。これで二人には常にバフがかかるよ」

「白夜の範囲が南下してる〜、月については気付くか分からないけど」

「昼間の月って地味だもんね……上を向いて歩こう?」

「まあ、これをどうにかする為の方法は簡単に思いつくと思うんだけど……」

「【残雪姫】、【業雨姫】、【滅曇姫】、【邪雷姫】がいますが何か?」

「《NLAO》で《血月の使徒》に綺麗に天気系ユニークスキルが揃っちゃったんだよね……」

「忖度………するの? いや、してるの?これ」

「流石に手加減はしてるよ。何なら魔法一発で世界消せるし」

「それでもこれ、早々にサービス終了なるんじゃない?」

「神威ちゃんも相手がそれなりに努力するなら……って感じだよ。ただ、中途半端だったら即滅ぼすって」

「えぇ………ハードル高いやつだよね、それ。」

「まあ、最悪異世界が沢山あるしね。あっさり負けたのならプレイヤーをそっちに移すかな。

【アアル】【アヴァロン】【マグ・メル】【ヘスペリエス】【ニライカナイ】【エリュシオン】……『替え』は幾つでもあるんだよね」






 彼女達が片手間に作った世界の因果関係が空中に投影され、また消えていった。

 偶々この世界、【ガイア】がこのゲームに選ばれただけ。この世界が滅んでも彼女達は何個でも世界を作り出せる為、そこについては何も心配していなかった。ある意味余計に性質が悪いが。





「そういえば、今度出る予定の子は誰って?」

「ミングアンチェ。序列十位【新月姫】ね。目標は()()()()()()()()()

「この子ね……なら、戦闘の間に()()()()()()()()()()()()()()()()。数万人がカーメルに溢れ返りそうだったけど、何人がまともに戦えるか分からないからね」

「いきなりこの子か〜」

「早速篩にかけられるわね。やっぱり容赦ない……」

「ある意味トップバッターにはふさわしいんじゃない?ほら、ちゃんと勝ったら色々強くなるでしょ」

()()()()()()。はぁ………負けた人は大変よ。これ」

「未来、何人引退するか賭けない?」

「いいよ〜、私は四万」

「賭け金が?」

「いや? 人数だけど〜?」

「洒落にならなさそうなのが怖いのよね……」

「むしろ四万で済む?」





 物騒な内容の発言を繰り返す神楽達。弥里は思いっきり頭を抱えていた。





「ブラッディクエスト開始までの展開はどんな感じ?」

「カーメルでの依頼、天啓の森へ行かせる、そこで一回登場って感じだね。その次の日に侵攻開始らしいよ。ちゃんと準備時間は取ってあげてる」

「四日は……長いの〜?」

「彼女達の中じゃ、良心的な方らしいよ……」

「その準備時間の成果がひっくり返されるのが目に見えてるのよねぇ……。罠に気が付くことを祈りましょう」

「無駄な気がする……」

「あれ?もうその依頼って出されてるみたいだよ〜。もう受けている人いるし」

「え?本当?」

「その人のデータ出してー」

「おけ。出すよー」





 未来が空中にその依頼を受けたパーティーのメンバー、その装備やスキル、交友関係などを映し出す。






「あはははははははっ!やっぱり面白いなぁこの子!」

「へぇ………」

「わ〜お」

「……面白いことになりそうね」













 そこには、吹雪の友人、月原千弦、奏恵の双子の姉妹の顔写真が表示され、更に交友関係の欄に『ニーヴィス』の名前が静かに、しかしはっきりと存在感を示すように輝いていた。












 加筆:2021/01/12

 加筆:2021/03/12  サブタイトルも変更。



 神楽主人公の一話目を読み直してみたのですが……

 色 々 酷 す ぎ る(性格が)

 作者の性格をそのまま乗せたらこうなりました。何でだろう?(すっとぼけ



 次は吹雪視点に戻りますね。装備更新回です。

 一話にまとめるつもりの為、少々時間を頂きます。

 因みに明日テスト。頑張る。



 面白い、毎秒投稿しろ、『作者の性格って……(ドン引き)』、という方は、評価、感想、ブックマーク、レビュー等、是非お願いします……!(懇願) 

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