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ムーンゲーム・リインカーネーション  作者: 剣葉
第零章 己ノ夢ハ何ガ為
19/50

呼吸スル厄災ノ透徹シタ眼-1

血月の使徒側。

第三者視点です。


※ アルゲントゥム→アマルガムへと変更しました。









 【ガイア】の世界の片隅に彼女はいた。



 厄災だと大勢から呼称された白の悪夢、カムイが。




 白い長髪を靡かせながら、空中に浮かぶ巨大な時計に腰掛けていた。

 頬には禍々しい刺青。その両眼は何を写しているのか分からない。全てを見通したかのような泰然とした様子。



 時計は黒を基調にした装飾が施されており、邪気を放っていた。

 その時計を愛おしそうに、しかし無表情に撫でるカムイ。




 そこへやって来る二つの人影。







「久しぶりね。カムイ」

「ごめんなさいね〜遅れて、こっちで会うのは久しぶり?」





「………プレティナ、イキュル」







 ───《血月の使徒》序列二位【闇創姫】プレティナ

 ───《血月の使徒》序列三位【魔統姫】イキュル






 透き通ったような髪と眼の色をした女性と豊満な肉体を持ち悪魔の羽根が生えた黒髪黒目の女性。二人とも頬にカムイと同じ刺青が入れてあった。




 ここに、《忌月の三日月》と呼ばれる邪悪な存在が揃っていた。





「二人とも久しぶり。仕込みは終わった?」

「ええ。上々だわ」

「ふふふ。ちゃんと終わらせてるわよ」





 この世界で暗躍し続ける存在が彼女達。世界を混沌の渦へと巻き込む仕掛けを数多に用意していた。





「そういえば、あなた達、【神災(ゴッズハザード)】は何個持ってる?私は二つしかなかったんだけど」

「私も二つ」

「……私は八つ」





 プレティナとイキュルがカムイに目を向ける。




「あなたねぇ……私は二つ名二つに対して【神災(ゴッズハザード)】が二つだったんだけど⁉︎」

「私は一つに二つ。カムイがぶっ壊れているのよねぇ……二つ名六つに【神災(ゴッズハザード)】八つって」

「文句なら運営に言って」

「逆にカムイが八回も出て来ることにプレイヤー達が可哀想なんだけど」

「同感」




 二人が呆れたようにカムイを見る。




「にしてもカムイ、あなたそんなに無口だったっけ?」

「こっちに集中していただけ」

「これ絶対何か隠しているわね………」

「ああ、白雪姫のことでしょう?フェルーム達から聞いたわよ」

「なんだ……もう話されてたのね」

「え?ちょっと待ってどういうこと?」

「白雪姫、ニーヴィスが《Valkyries》に入りたがってるらしいんだけどね……」

「ああ、あの子……実力的は問題無いんじゃない?まだまだ成長しそうだし」

「一番の問題が、彼女の本名、白桐吹雪」

「………よりにもよって、ね」

「白桐……あの二人の娘ということね……」




 最近カムイがやけに無口な理由は、これが理由だった。カムイには白桐という名に関する過去がある。二人はその過去について知っているため、カムイの心情について理解していた。




「多分それもあるだろうけど、カムイ、本音は?」

「だって、最近お姉様が忙しくて会ってくれないんだもん……」

「素直でよろしい」

「カムイはそのお姉様の前では幼児化するんだよね。」

「というか、ここで頑張ればそのお姉様が会いに来てくれるんじゃない?」

「!…………///♪」

「(………チョロくない?)」

「(うん、チョロい。そのお姉様のこと凄く慕っているから、このことになると盲目になるんだよね)」




 カムイがあっさりと二人によって立ち直る。因みに彼女達はリアルで大学生である。




「まあ、こっちでプレイヤー達を楽しませる仕込みを続けるよ。とりあえず、アマルガムにあと三国くらい呑み込んで良いよって言っといて」




 少し饒舌になったカムイが指示を出すが、苦笑していた二人の顔が強張る。




「ちょっと待って、もうあの国の周辺に中小国は残ってないわよ⁉︎」





 アマルガムが根城にしているシルヴェス帝国はクーデターを起こした直後、周辺の中小国を全て吸収し、大帝国となっていた。しかし、イキュルが言っていたのは国境を接しているのが既にイベリア半島とアトラス山脈周辺のリードガル盾帝国とアラビア半島とエジプト周辺のゴコーナス砂帝国しか残っていない。いずれも七大国と呼ばれる国の一つだ。





「え?だから大国に攻め込めって言ってるんだけど?」

「なっ…………⁉︎」

「えっ⁉︎」





 黒い笑みを浮かべて嗤うカムイ。プレティナとイキュルは呆然としている。



「あと、メローラの仕込みも成功。ヨーロッパ中央部に兵器を完成っと」



 一人浮遊盤を操作してサクサクと作業を進めていくカムイ。



「ローズ達も潜入成功ね………ん?」



 突然響く通知音。それと同時にカムイは頭を抱える。




「ど、どうしたの?」

「これ、見て……」




 プレティナが目を向けると、そこには二通のメールが写し出されていた。件名は二つとも『お姉様ほめてほめて』。本文も一言一句同じだった。しかし、送信者は別。エクアとメローラという二人の名前が表示されていた。




「あの子達って仲良いの?」

「どうなんだろう……喧嘩する程仲が良いとは言うけど」

「いつもあなたがいなくなれば、猫被るのをやめてあなたの取り合いで喧嘩し出すわよ」

「えぇ……」




 二人の妹の現状を知って頭を押さえるカムイ。




「今度ちょっと叱っとこ。えーと……ん?ああ、例の子が来た」

「ん?どれどれ……?キャラメイキング中か」

「結構闇深いね彼女。というか、カムイも影響しているでしょ」

「多分……そうでしょうね」

「………」

「あ、また無口になった」




 彼女達にとっては、世界神のいる神界を盗み見ることも容易い。ちょうどニーヴィスがログインし、キャラメイキングをしていたのを発見した。




「お、世界神に気に入られた」

「エクアの言った通り、学校では猫被ってるみたいね」

「クール系?こっちが素なのかな?」




 プライパシーなど知らないと言わんばかりの会話を続ける厄災達。




「チュートリアルみたいだね」

「ウルフ15体……」

「前作の私達より遥かにマシじゃない?」

「レイドボス出して来る運営が他にいるか?」

「カムイの相手なんてあれラスボスだったでしょ」

「雑魚だった………」





 その目の前でウルフを蹂躙するニーヴィス。





「うーん……世界ランキング二桁か一桁行くかな?って感じだね」

「ソロモン辺りにはまだ勝てないでしょ」

「アイツの話は出さないで」

「あ、ごめん、カムイ」





 ニーヴィスの戦闘力を測る厄災達。あの強さで、まだランキングに一桁行くか分からないという所なのだ。因みに現在の個人の世界ランキング一位、《HERO SWORD》のソロモンでも《Valkyries》の下位に勝率二割行くか?というレベルである。尚、カムイはソロモンが嫌いである。いつも出会った時には本気で潰している。





「へぇ……配信始めるみたいね」

「彼女まだVRに慣れていないんじゃないかな?」

「もう少ししたら化けるでしょうね……。私達の上位にも入れるんじゃない?」

「………」




 ニーヴィスを配信と同時に直接見てその姿を捉える三人。




「お、そっち行った?」

「そっち誰も行ってなかったんだよね」

「前に一回、《Pionieristico》が全滅してるから」

「彼らももうちょっと粘れたらワールドアナウンスに名前載ったのにね」

「敵の能力を見誤ったのが間違い」




 イタリアの《Pionieristico》というチームが天啓の森に一度挑んだが、影鱗の大蛇、ヤルストミの奇襲によりになす術もなく倒され、入ろうとする者が現れなかったのだ。




「流石ね」

「もう少しもう少し」

「………」




 今ちょうどニーヴィスがフロストスパイダーを相手に無双していた。




「ダンジョンにも気付いたわね」

「にしても、神楽さんもオープンフィールドにボスを出すなんて凄いことするわね」

「テストプレイ時も大惨事になってた」

「うわぁ……」




 テストプレイ時に一緒に居たカムイは、その惨状を目にしていた。一気にスタンピードが発生し、一気に国が滅んで治安などが崩壊していたのだ。神楽は爆笑していたが。




「え?でもそれ逆に私がいるから酷くなるんじゃない?」

「……その可能性も否めない」




 イキュルがそうカムイに聞く。イキュルの二つ名は【魔統姫】。簡単に言えば魔物を操る能力である。詳しく説明すれば吐き気を催すレベルの能力が中にもある。その能力を使えば、その惨状を上回る天災になる可能性がある。いや、絶対になる。




「別に使っても良いよ……。それを伝える為に呼んだんだし」

「ええ……あれを使うの?前作で強制ログアウト何人出したっけ?」

「プレティナもあれが【神災(ゴッズハザード)】にあるんでしょ?」

「まあ、流石にあの能力は【神災(ゴッズハザード)】になるからね」

「皆、スキルでできることの中で一番ぶっ壊れている事が【神災(ゴッズハザード)】になってるらしいね」

「と、なると……ミカミが一番多いかな?尚、カムイ除く」

「そうみたいね」




 後ろの浮遊盤でニーヴィスが四つ巴の激戦を繰り広げている所で話を続ける三人。




「あ、いつの間にか一体倒してる」

「オフェリアちゃんが起きたみたいよ」

「準備……始める」

「あの子、緊張して声出てないんだけど」

「はぁ……サービスだよ」




 光迅翼の怪鳥を討伐し、霜絲の冰蜘蛛をニーヴィスが討伐した所で金髪のエルフが出て来た。緊張して声が出せなかったニーヴィスをカムイが少し操って会話を成立させる。そして、会話が《血月の使徒》の所まで進んだところでカムイが詠唱を行う。








「さて……絶望に抗い続けなさい。【終焉誘刻】」





 ずっとカムイが座っていた瘴気を発する巨大な時計の針がギギギと音を立てて動き始める。







「楽しませてね。白雪姫さん」





 



 妖艶に微笑みながら白い悪夢はそう呟いた。















 お姉様の名前を意地でも出さないスタイル。まあ、でも流石に分かるよね?

 カムイはそのお姉様に対してデレデレです。

 まあ、あんな設定あったら惚れるよね…………by作者


 本音を言うとカムイが無口な理由は、余計なことを喋ってネタバレしてしまいそうだからですw



 次回は運営側です。



 面白い、毎秒投稿しろ、さっさと話進めろ、という方は、評価、感想、ブックマーク、レビュー等、是非お願いします……!(懇願)

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