世界ヲ終焉ヘト誘ウ刻限-3
本日二話目です。
杞憂であって欲しかった考えが真実であったことを知り、絶望します。まさか、掲示板やチャットも閲覧できる⁉︎ 掲示板はヘルプに《血月の使徒》が閲覧不可とありましたが、ルールを捻じ曲げるスキルがある以上、気を付けるべきですね……。出て来る条件さえも捻じ曲げられてしまうかもしれません……。
思わず弱音が出て来そうになりますが、グッと堪えます。
「ルナリア様の方には、管理者から何かあったんですか……?」
「ええ、ニーヴィスちゃんがオフェリアちゃんに出会ったことにより、原因が解明されたらしいわ。各国の要人にも通達しておいたわ」
きちんとNPCにも連絡が行ったのか。一安心。
「オフェリアちゃん。《血月の使徒》について話して貰える?まだ何も情報がないから対策が取れないの」
「伝えても構わないのじゃが……対策が取れるかとなると微妙じゃぞ。あやつらの存在は理論値を超えておる」
「それでも構わないです。管理者もデバフをかけるようですし……教えて下さいませんか?」
「……分かった。では、説明するぞ?」
一息吐いて話し始めるオフェリア様。一応録音しておきますかね。
「《血月の使徒》とは、若い女子三十名の異邦人……この世界で言うなれば救世主と酷似した存在じゃな。それらで構成された、邪神ヘルヘイムに忠誠、隷属を誓った狂人の集団じゃ」
プレイヤーがNPCの配下に就くことは、行動が制限されたりする代わりに普段は入れない場所まで入れるようになるというメリットとデメリットを兼ね備えています。コメントでも、《血月の使徒》はロールプレイガチ勢だという話が出てましたね。
「異邦人、救世主の特徴をそのまま引き継いでおり、厄介なのが何度でも蘇るという点じゃ」
今作では、【神災】で全て負けてしまえば出番終了だそうですが、前作の世界では悪夢だったでしょうね……。それもちゃんと機能するのか分かりませんが。
「《血月の使徒》では序列を設けており、十六位以下が『下弦の猟月』、十五位以上が『上弦の惨月』、そして三位より上が『忌月の三日月』と呼ばれておった。当然序列が高い程強くなる」
なんか厨二っぽい設定が出て来た。
「そして、全員が何らかの二つ名を持っておった。恐らく邪神が名付けたのだろう。それぞれの能力を表しておるから、二つ名を知れば何のスキルを持っているかは判断できる。妾はその二つ名の数が管理者の言う【神災】の数だと考えておる。ただ、複数の二つ名を持つ者もおったからの……」
二つ名の数イコール【神災】の数っていうことだよね。
うーん……これ、確かカムイが序列一位でしょ?それ以外ってどうなってるの?
「あの……《血月の使徒》に所属している者の情報は……?」
「すまぬが、当時は情報が交錯しておってな……我が国は三人しか名前を把握しておらんかった。しかも、内二人は侵攻された際に名乗ったのを聞いただけだ」
デマ情報が流れていたんですね……。
知っているだけでも聞かせてもらいましょうか。
「それは誰ですか……?」
「一人は序列一位の【死神姫】カムイ。その他の二つ名は【零刻姫】【弄理姫】があったが……これで全てではないじゃろうな。姿は病人のように白い肌と髪、赤と青の眼じゃったな」
カムイ、完全リアル準拠でアバター作りましたね?【死神姫】のスキルはよく分かりませんが、【零刻姫】は『刻』という字が入っているので時間に関係するものでしょうか?【弄理姫】は……そのまま『理』を『弄』る。所謂ルール改変です。本当にありがとうございました。
「残りの二人が、序列八位の【漆黒姫】プリメイロ、序列十位【新月姫】ミングアンチェ、じゃ………!」
その二人がランペルス森王国を滅ぼした存在ですか。【漆黒姫】……『黒』……闇魔法ですかね?【新月姫】は、『月』……?吸血鬼か何かですかね?
「姿は【漆黒姫】が真っ黒のドレスと髪に赤い眼。【新月姫】が白い髪と水色、橙色の眼じゃったな」
掲示板の方での情報収集も難航していますね……。
何で覚えていた人がいない。
そうだ、既に発動されている【神災】については……。
浮遊盤君を呼び出すと、『ブラッディクエスト』の欄が増えている。
そこに触れると、先程ワールドアナウンスで流れたブラッディクエストの名前が表示されていた。
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『世界ヲ終焉ヘト誘ウ刻限』
神災:『終焉誘刻』
発動者:序列一位【零刻姫】カムイ
座標:全世界
進度:1 焉月時計の針を進めよ
禍々しい月光を表した時計。
その時計の針は世界の終焉迄の猶予を示す。
針が時を刻む音は永遠に止まらない。
儚き少女はその邪な縁で眠る。
その針が回帰した時、全ての謎が暴かれるだろう。
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………このクエストの真意が読めない。
この時計は、タイムリミットを表しているのでしょうか?
謎って何………?ダメだ、情報が少なすぎる。
浮遊盤君を仕舞う。
「とりあえず、こちらの世界の住人と救世主の方とで協力して迎え撃つしかないですね……」
「こちらでも情報を集めておきますね」
「助かります。そうなるなら、十二宮議を一度開いておく必要がありそうですね……あ、オフェリアちゃん、訃報です。《巨蟹宮》のネルベストが殺されました」
「な⁉︎ ネルベストが⁉︎ どのように殺られたのじゃ⁉︎」
「娘に反乱を起こされたそうです。現在ソルクカルメイ王国はシルヴェス帝国となっています。彼の娘が女帝として独裁を敷いているそうなのですが……あの砂漠が雪原化しているのです」
「多分《血月の使徒》が介入したのじゃろうな……。万物を凍らせるような女がいたとの情報もあった気がするのだが……」
まあ、そうでしょうね……。その女帝も操られているのではないですかね?
本当に後手後手に回ってますね……。
……只今リアルの時間で12時。
「あ、すみません。もう時間のようです。戻らなければいけません……」
もうログアウトしなければいけない時間でした。
その言葉を言った瞬間こっちを向く二人。
「ええ、ここで帰っても構わないわよ。お疲れ様、ニーヴィスちゃん。(確か救世主は元の世界に戻る時、化身が暫く残るんでしたね!ふふふ……あんなことやこんなことを……)」
「ああ、そうか。では、またな」
ルナリア様の意味深な笑顔が怖い。まあ、うん。良いよ……。
私は浮遊盤君を再度呼び出し、ログアウトしました。
◇
私はヘッドギアを外し、ゆっくりとベッドから起き上がる。窓からゲームを始めた頃はまだ薄暗かったが、既に真っ暗になっている。カーテンを閉め、ベッドに再び寝転がって呟く。
「まさか、本当に《Valkyries》がいるとはね……」
私がこのゲームをプレイし出したのは、名前をここで売って少しでも良いチームに入りたかったから。私は本当にお金が無い。昔は結構なお金持ちだったけど、とある事件で一気に財産を失った。生活費はゲームの大会での賞金でなんとか繋いでいる。しかし、やっぱり生活が安定しない。
色んな所からスカウトが届いていたりするが、待遇が微妙すぎるのだ。大規模なチームでも意外と待遇は雑である。
《Valkyries》は謎に包まれてはいるが、バックアップしている企業が『Eyesley』の他にもあるうえに、組織が少数人で形成されているので、それなりに待遇が良さそうなのだ。しかし、スカウトなどを行っている所を誰も見たことがない。博打ではあるが、私はずっと前から憧れており、加入したいと思っていた。
そこで、プロゲーマー達が注目しそうなこのゲームを始めたのだけど、《Valkyries》がいた。今、私の心は昂っており、どうやって彼女達にアピールしようか躍起になっている。
………ダメだ。焦るな、私。
深呼吸をして心を落ち着かせる。
それは、ゆっくりと考えていけば良いんだ。
自分らしくプレイしていれば良い。
今日のあの戦いのように。
そう考えていると微睡んでいた。
………ああ、また憂鬱な一日が始まる。
この時ちょうど掲示板にカムイが出没していました。
その際にチャット ・掲示板は見ない、敗北の条件は守ると宣言しています。
この世界では、副職などの制限が緩かったりしています。
アマチュアの場合、出ることのできる大会がかなり限られるので、吹雪の生活は結構困窮しています。
吹雪はアマチュアが出ることができる大会は全て出てる。
第零章はこの後《血月の使徒》側、運営側、掲示板を書いて終了します。
面白い、毎秒投稿しろ、さっさと話進めろ、という方は、評価、感想、ブックマーク、レビュー等、是非お願いします……!(懇願)




