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【書籍化・コミカライズ】義妹に婚約者を奪われたので、好きに生きようと思います。  作者: ミズメ


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13/42

推しは尊い

少し短めです。


「……うっ、あああ眩しすぎて直視できないっ! 無理ぃぃぃ!」


 暫く顔を上げてウーヴァを見つめていたかと思うと、モモコは奇声を発しながらまた勢いよく顔を伏せてしまった。

 有り余った勢いで、ごつりという鈍い音が聞こえる。

 もしかしなくとも、テーブルに額を強かに打ちつけてしまったようだ。


「だ、大丈夫か!? メーラ、ペスカは何か悪い病気なのではないか? 顔色も悪いし、何やらおかしな事を言っていたが」


 血相を変えたウーヴァが私に問うけれど、私だってモモコの奇行にはまだ慣れていないのだ。聞かれても困る。


「……モモコ様は、『オシを直視するのは無理』と仰っているようです」


 耳を澄ませていたらしいリーベスが、モモコの呟きを私たちに丁寧に伝えてくれる。

 オシ。さっきも言っていたけれど、まるで分からない。


「……とまあ、こんな感じなの」


 とりあえず、彼女の様子が以前と違うことが伝わっただろうか。ざっくりと判断をウーヴァに委ねてみる。


「全く分からないが……これは、メーラたちがペスカのことを別の名前で呼ぶ事と関係があるのか?」

「ええ。彼女の中には、『モモコ』というペスカとは全く異なる人格があるようなの。だから……貴方にも知っていて欲しいと思ったの」

「そう、なのか……」


 困惑した表情のウーヴァは、痛ましいものを見る目で突っ伏したままのモモコを見つめた後、「紅茶のお代わりを入れよう。すっかり冷めてしまった」と言って席を立つ。


 彼のその様子をなんとなしに眺めていた私は、違和感を持った。

 彼が使っているのは、魔道具のポット。

 魔力を流せばお湯を沸かしてくれる優れもので、うちの父が発明し、大ヒットになった品だ。


 それはいいのだけど、不思議に思ったのは、ウーヴァが着ているシャツの袖口から、ちらりと魔石がついたバングルが見えたからだ。


 ――魔石を装飾品として身につけるのは、魔力がない人だけ。そう学んだ。

 魔力が込められた魔石を使う事で、魔力なしの者もようやく魔道具を使いこなせるようになるのだ。

 貴族であれば、魔力持ち。それもこの世界の常識だ。


 だから普通は、貴族が魔石を身につけている事なんて殆どない。


「ウーヴァ。貴方どこか身体の調子が悪いの? 魔力が使えないなんて」


 魔力持ちでも、体調を崩せば魔法が使えない事もある。そこに思い至った私は、そう問いかけていた。


 そうなんだ、と返ってくると思っていた私の予想は外れ、ぴたりと動きを止めたウーヴァは、ギギギ……と音が聞こえそうなくらいぎこちなくこちらを振り返った。


 そして唇を噛むような仕草を見せた後、真っ直ぐに私たちを見据える。


「――僕は、"魔力なし"の落ちこぼれなんだ。この事は、うちの家の者と君のお祖父さんしか知らないけどね」


 君や他の者にはバレないようにしていたから。

 そう言った彼の笑顔は、美しくも寂しくもあり、悲しくもあった。


お読みいただきありがとうございます!

ブクマ、感想、☆、とても嬉しいです*\(^o^)/*

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