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推しキャラの為に世界を壊そうと思います ~推しと世界を天秤にかけたら、推しが大事に決まってるでしょ?~  作者: 空 朱鳥
第二部

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5話:エレメンタルオブファンタジー⑤

 エメラルドに言われるがまま王宮へと入った俺たちだったが……まさか、こんな事になるなんて想像できただろうか?

 いやっ! 俺にはできなかった!!

 エメラルドと共に謁見の間に通されると、そこにはエメラルドの父親……つまり、グランディディエ国王が玉座に鎮座されていた。

 彼の長い翠色の髪と瞳の色がエメラルドとそっくりだ。

 俺たちは、教会で起こったことの証人としてこの場に同席することになり、エメラルドの少し後ろに片膝をついた。

 とはいえ、俺たちがすることはない。

 エメラルドが教会で起こった出来事、街の様子を報告してくれる。俺たちは国王様から聞かれたことに「はい、その通りです」と「間違いございません」と答えるだけでいいらしい。むしろ『それ以外は答えないでほしい』と言われてしまった。

 正直、いなくても良いんじゃないか? と思うが、だがらと言って今、退席するのはあまりにタイミングが悪い。

「では、儀式の最中に突然として精霊達が魔物へと変貌したと言うのだな」

「はい。間違いございません。(わたくし)のこの目でしかと見ました」

 彼女は迷うことなく断言した。

 ルーメン教の神子様は精霊が見える“精霊の愛し子”。

 いくら俺でもそれぐらいは知っている。

 普通の人間には目にすることのできない“精霊”。

 風が吹き、川には水が流れ、大地に植物が芽吹き、空には太陽が輝く。

 この世界の営みは精霊が起こしていると言われている。しかし、普通の人間が精霊を認識することはできない。それが勝手に起こる事なのか、それとも精霊が起こす事なのかわからない。


 でも彼女は違う。


 それが自然的な事なのか、それとも精霊によるものなのか“見る”ことができる。

 その彼女が言うのだから精霊が魔物へと姿を変えたのは間違いない。

「そうか。やはり、精霊の魔物化……か……」

 つぶやくように国王様が言った。

「ですが、精霊が魔物化するのは魔力不足が原因と聞いております。しかし、この国の魔力はこんな大規模な精霊の魔物化が起きるほど枯渇してはおりませんでした。何故このような精霊が暴走したような事が起きたのか……わかりません」

「精霊の暴走……実に的を得た表現だ。ならば今回の件を精霊暴走と命名しよう」

 そういうと彼はゆっくりと玉座から立ち上がった。

「この精霊暴走だが、被害はこの王都だけではない。水の国と風の国から同じような報告が先程あった」

「そ、それは……本当ですか? 被害は……」

「お前が来る少し前に国家連絡用の水伝鏡(スイデンキョウ)に連絡があった。風の国は大精霊を祀っている場所に複数の魔物と巨大な鳥形の魔物が、水の国では小型の魔物が複数現れたそうだが、今のところ深刻な被害は出ていないようだよ」

 それを聞くとエメラルドは少し安心したように息をはいた。

「それで、エメラルド。予定通り行けるかい?」

「……はい、もちろん。それに、護衛も見つけましたわ」

 二人がなんのことを言っているのかわからなかった。──が、振り返ったエメラルドが満面の笑みを浮かべてきたので思わず身構えた。

「カルセドニーの代わりに、其方らが我が娘の巡礼の旅の護衛として一緒に旅に出てくれるのかい?」

 ──巡礼の旅……? 護衛……?

 国王様の問いかけは寝耳に水だった。

 思わず、隣にいるネフライトに目を向けると「はい、その通りです」と国王様に答えていた。


 ──うぇえええッ&%☆#ーーーー!!!!??


 声にできない悲鳴を心の中であげてから気がついた。

 俺たちはエメラルドから『国王様に聞かれた事に「はい、その通りです」と「問題ございません」以外答えないで欲しい』と頼まれていた。

 この冗談の通じないクソ真面目なネフライトは本当にそれしか答えないつもりだ!

 ──冗談じゃない!?

 俺が反論を口にしようとしたその時だった、入り口の扉が開かれたのは。

「ああ、なんだ。取り込み中だったか」

 振り返ると、剣を腰に携えた短髪黒髪の恰幅のいい壮年の男性がバツの悪そうな顔をしていた。

 このお偉いさんばかりいる中で軽口を叩くこの男を俺は知っていた。

「構わない。入れ、“オブシディアン”」


 彼こそ憧れの英雄オブシディアンだった。



※水伝鏡→水鏡を使った通信魔道具。常に綺麗な水が必要なので一般的にあまり普及していない。

各国の連絡手段としてあるが、水の貴重な火の国はよく水を切らして連絡が取れない。


いつも読んでいただきありがとうございます。

次回でヒスイのお話は一旦終わる(予定)。


21,12,17 段落修正、誤字修正

25.5.29一部修正

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