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推しキャラの為に世界を壊そうと思います ~推しと世界を天秤にかけたら、推しが大事に決まってるでしょ?~  作者: 空 朱鳥
第一部 

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82話:姫琉と最深部とセーブポイント

【ノームの洞窟最深部】


 大精霊の間


 ゲームでは、主人公が神子、そして仲間たちを連れて大精霊を精霊を鎮めるためにこの場所を訪れる。そこには、精霊暴走によって魔物と化した大精霊ノームがジャイアントロックタートルに変貌し、暴れていた。


 ◇◆◇◆◇◆


「魔物なんてどこにもおらんのぉー」

 ショートカットで最深部までサクッと降りたが、ジャイアントロックタートルは疎か、他の魔物の姿も見当たらなかった。

 ここはボス戦が行われるだけの場所なので、上の階の様に入り組んではいない。天井が高く、だだっ広い空間なのでランショウの間抜けな声が辺りに響いた。

「やっぱりジャイアントロックタートルは、鎮守祭の日にならないと出てこないのかな」

 鎮守祭の日。つまり、精霊暴走が起きるよりも前に魔物が発生している可能性もあるかも……とここまで来てみたが、特に何もなかった。

 あくまで、今日は下見のつもりだったからむしろ問題はない。


「コイツはスゲェな。通常の精霊石の何百倍もの大きさがあるじゃねぇか」

 コランダムは広間の奥にあった巨大な精霊石に近づくと、ペチペチと叩いた。

 通常の精霊石は大体、大人の拳くらいの大きさだが、コランダムが見つけたそれは、高さも横幅も彼の身長の倍はあった。おそらく、コレが地の大精霊の精霊石なのだ。

「たっ、叩いて割れちゃったらどうするの!!」

 先程、なんなく巨大な壁を蹴り壊したコランダムだ。軽く叩いただけでもヒビくらい入るかもしれない。

「ハン、さすがの俺でも、精霊石は壊せねーよ」

 コランダムは鼻で笑った。

 あんなにデカい壁をひと蹴りで壊すような怪力なのに、精霊石は壊せない、と言われて首を傾げた。

「それは……もったいない的な意味で?」


──壊せる力はあれど、経済的ではないという理由で壊さない、ということだろうか?


 疑問を投げかけると、コランダムの代わりに笑い出したランショウが答えた。

「確かに精霊石は高いからのー。もったいなくて壊せないとも言えなくもないが、精霊石の強度は世界一で一番硬いんじゃ。今まで破壊は疎か、加工する技術もないんじゃ。最初から小さい屑石なんかは、加工できるらしいが普通の精霊石は、魔力切れで壊れる以外に傷つける方法はないんじゃよ」

 ランショウの説明に思わず聞き入った。

「へー……そうなんだ。知らなかった」

「子供でも知ってる常識じゃと思うがの? 魔力も上手く使えない、精霊石も知識も足りない。ヒメルちゃんは一体どこの出身なのかのー」

「さぁーどこだろうねー」

 怪しんでいるランショウを適当にはぐらかした。


 ──それよりも、何かが引っかかるような……?


 考えてみるも、ランショウがウザい位に話しかけてくるので考えつかない。

「のぉのぉヒメルちゃん?」

「ああッー!! ランショウ邪魔ッ!! せっかく考え事してるのに何にも浮かばないじゃん!!」

「そりゃ、すまなかったのぉ。じゃが、ヒメルちゃんならアレが何かわかると思っての?」

 謝ってるわりに、ランショウはニタニタと笑っていた。

 作った右手の拳に力が入るが、ランショウが指さしたソレを目にして拳を解いた。

 そこは、光る魔法陣に浮かぶ、紫色に発光した透明な石。二メートルほどの長さがあり、その先端は両方少しだけ尖っていた。

「色も形を見ても精霊石ではないと思うんじゃが、なんか魔法陣が起動してるしの。危ないものかもしれないから迂闊に近寄れん……って、ヒメルちゃん!?」

 ランショウの話も聞かずに、私はその魔法陣にふらふらと近づいた。魔法陣のすぐ目の前で止まり、改めて舐めるようにソレを観察した

「コレって……やっぱり……」

 自分の中の想像が確信へと変わった時、ランショウに腕を引かれて魔法陣から距離を取らされた。

「まったく! 危ないかもしれんと言っとるのに、ふらふらと近づいて……」

「大丈夫、大丈夫。これ、セーブポイントだよ」

「せいぶぽいんと……? なんじゃそれは」

 聞いたことがないのか、おかしなアクセントで聞き返される。

「えッ、セーブポイントだよ!? こう物語を記録したりする……コランダムは海賊だから冒険するよね! セーブポイントってわかるよね!?」

「海賊だからって、どういう理由だよ。俺はそんな名前聞いたことねぇし、こんなもんも初めてみた」

「な……な、なん、だ、と……」

 た、確かにここがゲームの世界だとしてもゲームと同じなわけではない。

 現実には、セーブポイントもロードもリセットもないわけで……。

 でもここは、ゲームの世界なわけでセーブポイントがあっても…………。

 あー……でも、日常的にそんなものが使えてるなら、オパールだって幽霊になってないわけで…………。


 ………………。


 ……。


「で、これはどうやって使うものなんじゃ?」

「はッ!!」


 悶々と『セーブポイントってなんであるんだっけ……命って、人生って……』という思考に囚われていた私だったが、ランショウのその言葉でハッと我にかえる。


「これが本当に、私の知ってるセーブポイントなら、多分魔法陣の上に乗れば……」

 ゲームでは、キャラクターが魔法陣の上に乗るとメニュー画面が開いた。セーブはもちろん、ロードも出来た。

 恐る恐る魔法陣の上に乗ってみた。


「……………………何も、起きない」

「何も起きんのー」


 メニュー画面が開くどころか何も起きない。

「あっれ? おかしいな。あっ、じゃあこの石に触れたら」

 そっと両手で紫色の石に触れる。

 触れた瞬間、自分の中で何かが蠢くような感じがした。

 ──この感じ前にウッドマンさんに魔力の流れを教えてもらった時みたいな……。

 恐くなり、すぐに手を引っ込めた時だった。


 “ギ、ギィィィ……”


「おっ、なんか動き……ってアレ、おかしくないかの」


 先程まで紫色に光っていたそれは、錆びついた様な音を出しながら光を徐々に失った。そして、そのまま魔法陣が描かれた地面へとゆっくりと刺さった。

 気がつけば、魔法陣もその石も光を失っていた。


 地面に刺さったそれは、まるで墓標のように見えた。


「え、えーっと。コレって……」

 認めたくない! だけどもう二度と動きそうにないそれはもう……。

「あー壊れてしまったみたいじゃのぉ」

「……ご、ごめんなさい」


 まだこの世界に来てから会っていない、主人公に向かって心の底から謝罪した。

セーブポイントの石の形をなんて言うか調べた所。

ターミネーションと言うそうです。ただ、絶対ヒメルちゃんはそんな言葉知らないと思うので作中には出せませんでした。

いつも読んでくださりありがとうございます。

最近更新が遅くなり申し訳ございません。

花粉症が過ぎ去るまでは、多分今のペースです。

誰かよく効く鼻炎薬教えてください……。


24.5.9修正

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