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推しキャラの為に世界を壊そうと思います ~推しと世界を天秤にかけたら、推しが大事に決まってるでしょ?~  作者: 空 朱鳥
第二部

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59話:姫琉と最高傑作

 ビジュアル系お兄さんは、自分の事を「命を司る大精霊」だと名乗った。


 ──いやいやいやッ、それはないでしょ!?


 このゲームに存在する精霊は地水火風そして光と闇これで全部だ。

「命を司る大精霊なんて聞いた事ないんですが! 公式に載ってない精霊とかありえないでしょ!?」

 ゲームの攻略本はなんとなく全部目を通している。覚えてないことの方が多いが、登場する主要キャラクターくらいは流石に間違えない。

「全く……。自分の無知さ加減を棚に上げて“ありえない”なんて言わないで欲しいな」

「無知じゃないですー! "公式"の攻略本の情報ですぅー! 命を司るっていうなら証拠見せてよ、証拠!」

 我ながらとんだ言いがかりだとは思うが、見た目的には普通のビジュアル系お兄さんにしか見えないんだから、証拠が欲しいと思うのは致し方ない。

 横で小声でタンザナイトが「不敬だ」なんだと言っているが、気にしてはいけない。


 ビジュアル系お兄さんこと、自称・命を司る大精霊は「やれやれ」とめんどくさそうに言うと、腕や首を軽く動かしてた。運動する前にするような動きだ。

 軽く運動が終わると、体を前に倒して自分の影を軽く掴んだ。

 そう影をつかんだのだ。掴めるはずのない影を“むぎゅ”っと!? いったい、どうなってんの!?


「これでボクが、イケてるだけのお兄さんじゃないってわかってもらえるかな☆」

 そう言って影を天井に向かって真っ直ぐ放り投げた。

 上に投げた影について出てきたのは柱だ。だが、普通の柱ではない。雄叫びを上げる幽霊の顔がみっしりとついた幽霊柱だ。

「………………え、気持ち悪い」

 思わず思った事を口に出してしまった。

 例えるなら悪趣味なトーテムポールだ。

「確かに。やっぱり、君たちが壊してしまった“罪科(ざいか)懺悔(ざんげ)の織りなす遊戯(ゆうぎ)”には到底及ばないさ」

「ちょっと、あいつ何言ってるかわかんないっすね」

 多分、ユウゴウの事を言ってるんだろうけど、そんな大層な名前がついていたなんて……。ちなみに影から出した悪趣味な柱は気に入らなかったのか、早々に影にしまっていた。

「じゃあ、ここにいた幽霊の寄せ集めみたいなのもアナタが作ったの? 命を司る大精霊って、アンデットを作る精霊ってこと?」

「アンデット……? なるほど、キミは冥界の者をそう呼ぶのか。なかなかセンスがあるじゃないか! けれど惜しいな。アンデットを造るというよりは、命を作り替える、と言った方が正しいね」

「何が違うのかさっぱりなんだけど……」

 結局はアンデッドを作ってるんだから同じだと思う。というか、タンザナイトがアンデッドは精霊が魔物化した訳じゃない的な事言ってたが、つまりコイツが原因って訳だ。

「スケルトンとかゴーストとか、あんたが造ってるって事っすかね」

「全部じゃないさ。センスがいいやつだけさ」

 自信満々に答えたが、アンデッドのセンスがいいやつって、なんだって感じだ。

「センスのいいアンデットってなんっすかね……?」

 ギン兄も同意見だったらしい。

「人間にはボクの美的感覚は理解し難いようだね。そうだな、罪科と懺悔の織り成す遊戯も良くできた作品だったけど……今までの最高傑作ならキミだ! シライシヒメル!!」

「へ? 何が?」

「何がって……キミ、一度死んだじゃないか。それを元通り造り上げたのはこのボクさ!」

 ドヤ顔で意味のわからない事を言い出した。

「…………ええぇぇええ〜〜ーーッ! いやいやいやッ!! ない!!!! それはないでしょッ!!!?」

 一度死んだ……。確かに瑠璃ちゃんを庇って鉄板が直撃した時に多分死んだ。

 だけど、気がついた時には幻惑の森にいた。この人に造られた記憶なんて全くない!

「そうか、それすら覚えていないのか」

「お、覚えてないも何も初対面ですがッ! それに冥界なんて場所知らないし、何処よって感じだし、そもそも造られた記憶なんてないし」 

 もしも万が一、この自称・命を司る大精霊が私を造ったんだとしたら、アンデットの仲間入りしているということじゃん!?

 でも、身体は透けてもいないし、肉体もある。それに腐ってたり、足がなかったりなんてない。完璧なごくごく普通の人間だ。

 自分が生きていると再確認するように思わず自分の体をペタペタと触ってしまう。

 自分だけじゃ自信がなくなってきて、横にいたギン兄に思わず「私って生きてるよね?」なんて不思議な質問を投げかけてしまう。ギン兄は間髪入れずに「もちろんっすね!」って返してくれた。

「もちろん生きてるに決まってるじゃないか。キミは、最高傑作なんだ、完全なる死者蘇生と言っていい。ボクと“神子”との最後にして最高の共同作品! それがキミさ!」

「「「神子(セレナイト)様!?」」」

 タンザナイト、ギン兄、そして私が声を上げたのは、ほぼ同時だった。


読んでいただきありがとうございます。


新キャラクターの命を司る大精霊ですが、最近気に入って観ている「新しいカギ」というバラエティー番組の「ビジュアル系の日常」というコーナー(?)みたいに喋らせたかったんですが……難易度高すぎる!

と、挫折しました。

新しいカギ、めっちゃ楽しいんでオススメです。

ビジュアル系の日常もいいですが、イチオシは人間カーリングです。

機会があったら観てみてくださいww


感想、評価、ブックマーク、いいねお待ちしています!!


24.5.18 加筆修正

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