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推しキャラの為に世界を壊そうと思います ~推しと世界を天秤にかけたら、推しが大事に決まってるでしょ?~  作者: 空 朱鳥
第二部

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52話:タンザナイトとアカガネ②

「……と言うわけでよぉ、武器もそうだがお前の所のアイツを貸しちゃくれねぇか?」

「アカガネ、か……。そりゃお前さんの頼みを聞いてやりたいのは山々だが……さっきも言った通りこの島にも魔物が出てな」

 家に入ると俺をさらいやがった海賊と知らない老いた人間が話をしているところだった。

 入ってきた俺たちに気がつくと、老いた人間が「ちょうど、お前さんの話をしていたんだ」とアカガネを自分が座っていた横に座る事を促した。

 アカガネが座ると、髭をたくわえた一番偉そうな海賊がニヤニヤと笑いながら話しかけた。

「よぉ、アカガネ。久しぶりじゃねぇか……」

 アカガネは何も言い返さない。

 それどころか、目を閉じたままで視線すら合わせようとしない。完全に目の前の海賊を無視している。

「全く相変わらずつれねぇな。俺様がわざわざ会いに来てやったっていうのによぉ?」

「手間なら来てもらわなくて一向にかまわない」

「アカガネ。そんなに邪険にするんじゃない、こんな連中でも"一応"この島の恩人なんだから」

 キッパリと言いきったアカガネを諭す様に老いた人間がたしなめる。

 どうやら海賊含めて、ここにいる人間は何かただならぬ関係があるようだが、そんなこと俺の知ったことではない。

 小さな部屋をぐるりと見たが、海賊が他に三人いるだけだ。あの占い師の姿がどこにもいない。

「オイッ、海賊! あの占い師はどこに行ったんだ!」

「ぁあ……?」

「ヒィッ!」

 ぎょろり動いた目玉が俺を睨み付け思わず悲鳴が漏れそうになった。

 ──いッ、いや! たかが人間に何を恐れる事がある!?

「ひゃ、あっ、あの……あの占い師はどっ、どこにいるんだ! 貴様らと一緒じゃないのか!!」

「……あぁ。そういやぁいねーな? まぁ大方、あのにぃちゃんとどうやったら島を脱出できるか探してんじゃねーか?」

 どうやら占い師も同じことを考えていたらしい。

 ──人間の中の底辺クズオブクズに遅れなど取ってたまるか! 神子様からのお褒めの言葉を頂くのはこの俺だッ!

「いいのか? あの占い師ゴミクズが逃げてしまうぞ」

 あえて挑発的に言った。

 愚かな海賊が挑発に乗って占い師を探すと踏んでだ。

 しかし、海賊は「逃げられやしねーよ。この島から出るにはタイミングがあんだよ」と言い切った。

 逃げられない事を確信しているような口振りだ。

 いやそれよりも。

「貴様は、この島からの脱出方法を知っているのか!!」

「そりゃ、知ってるに決まってんだろ」

 しれっとなんでもないかのように言い返した。

「だったら方法を教えろッ! 今すぐにッ!!」

「簡単に教える訳ねーだろ、バカか?」

「バカ!? 六星夜で最も優れたエルフに向かって……貴様ッ、その口、二度と叩けぬようにしてやるッ!」

 魔術を使えないが、この俺がたかが人間に負ける訳がない。

「島を出たければ、新月まで待て」

 そう言ったのはアカガネだった。

「新月だと……?」

「あーあ。簡単にバラしちまいやがって」

「隠す事でもない」

 海賊の反応からしてアカガネが嘘をついているとは思えない。おそらく、真実なのだろう。

 ──だが何故、新月……? 海と……闇。

「……なるほど。この島の周りの渦は、闇の精霊様のお力によるものなのか」

 海は闇の精霊様の領域だ。

 もしも、あの渦が闇の精霊様のお力によるものだとしたら、新月という真の闇において何かしらの作用が及ぼされるのかもしれない。

「そうだ。島を出たければ新月の夜に船を出す他ない」

「新月まで数日あるじゃないか。俺は急いでいるんだ! そんなに待ってられるか! やはり、占い師(ゴミクズ)を捕まえて、魔術を使えるようにさせなければ……」

 忌々しい手枷を睨んだ。

 ──これさえなければッ!!

「あ〜……そういや、それを着けたままだったな」

 ニヤニヤと笑いながら海賊がその手にしていたのは鍵だった。

「ま……まさか!? それは手枷(これ)の鍵か!!」

 ──占い師が持っていると思っていたが、まさかこの海賊が持っていたなんて……。

「寄越せ!!」

「簡単に渡すわけねーだろ」

 海賊に飛びかかった瞬間、側に待機していたもう一人の海賊が俺を殴り飛ばし扉に激突した。

「かはッ……!」

「家で暴れるのはよしてくれないか。あぁ……戸に穴が」

「俺様のせいじゃねーよ。コランダム、やりすぎだとよ」

「軽く小突いただけでアレがぶっ飛んだだけですよ」

「クッソ……小突いただけだと!?」

 ──クソッ! たかが人間の攻撃に無様に倒れてしまった。しかし、思い切りぶん殴ったクセに小突いただけだとは太々しい色黒海賊め……。魔力が戻った暁には何十倍にして返してやるぞ!

「いい加減にしたらどうだ。その子供からお前たちにさらわれたと聞いた。私に何をさせたいが知らないが、その子供を解放しない限り私はお前たちに協力する気はない」

「こッ……こどッ!?」

 ──アカガネのやつ、俺を子供だとッ!? 百年も生きられないような人間がエルフである俺を子供だと言ったのかッ!?

 本当ならこの場で殺してやりたいような無礼極まりない発言だが、話からしてアカガネは海賊に手枷を外すように言っているようだ。

 ──……しばらく様子を見守ろう。殺すのは手枷が外れてからだ!

「まあ俺様としては、そんな奴いらねぇんだけどなぁ……。でも海賊がタダで逃がすってのもおかしな話だろ?」

 ──おかしくないッ! まず、さらった事がおかしいだろッッ!!!!

 心の中で叫んだ。

「さらうこと自体がおかしいだろ」

 俺の心を代弁するかの様にアカガネが反論した。

 ──よし、もっと言ってやれッ!

「この島の連中が海賊に説教できる立場かよ……でも、そうだなぁ。その手枷、外してやらない事もないぜ? ただし、条件があるがな」

「条件……だと?」

 アカガネは嫌そうに眉をしかめた。






読んで頂きありがとうございます。


今回もタンザナイトの話です。

あともう一話だけ続きますのでお付き合いください。

そういえば今回の話でコランダムがタンザナイトをぶっ飛ばしましたが、あれはガチで小突いただけです。

ただし、タンザナイトが弱い訳じゃなく、単純にコランダムがバカ力なだけです。

ガチで殴ったら、タンザナイト今頃どうなっていたか……。

((( ;゜Д゜)))

次回もよろしければご覧ください。



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お待ちしています。


24.5.17修正


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