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推しキャラの為に世界を壊そうと思います ~推しと世界を天秤にかけたら、推しが大事に決まってるでしょ?~  作者: 空 朱鳥
第二部

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38話:誘拐と捜索

「なるほどな。幽霊船を動かすなら、当然あのちんちくりんは必要だろうな」

「ってことは、ギンのやつは運悪く巻き込まれただけってことで……なんてタイミングの悪い」

「そ、そういえば海賊の一人が『お土産』とか言ってたである……」

「ほう……オレの可愛い弟を、一体なんの手土産にする気なんですかね?」

「ひ、ひいッ!!」

 キン殿の顔が笑っているはずなのに、今まで誰よりも恐ろしい顔をしていた。

 今夜、夢に出てきそうなレベルである!!

「う〜ん、お主らが一体なんの話をしとるのかサッパリじゃわい」

 どうやらランショウは幽霊船の存在を知らないらしく、腕を組んで首を傾げていた。

 そもそも、なんでここにランショウがいるのか今だに謎である。

 再会した後で聞いてみたが

『ヒメルちゃんについてったらなんか面白そうじゃったからな!』

 と理由になってないような説明を受けただけである。

 実際にそれ以外理由はないのかもしれないのである。……昔から“面白いか”、“面白くないか”でしか物事を考えないヤツだったのである。

「説明するのが面倒なんで要点だけ話すと、あの海賊にはこの国から逃れる手段がある。って話だよ」

「なるほど。……って色々端折りすぎじゃろペル坊!!」

「次、その呼び方したらナラクカズラに突っ込むからな」

 ランショウは気にせずにケラケラと笑っていたが、隊長殿の目が冗談ではないと物語っていた。

「ちょい待って! 船も港もしっかり警備させても海賊(あいつ)らにこの国を超える手段があるって言うんか!?」

「残念ながら……それに普通の兵士じゃあの船を止められないですぜ」

「なんでそんな言い切れるんや! アンタらこの国の兵士舐めてんとちゃうか、たかだか数人の海賊相手に国を背負って立つ何百という兵士が負けるとでも!?」

「恐らく無理ですぜ。まぁ、その兵士の中に聖魔術が使える人間が何十人といれば別ですがね?」

 キン殿の発言に王女殿下は理解できないと言わんばかりに眉を寄せていた。

 ーー教会に属していない人間で聖魔術を使える人間なんてそうそういないのである。


「ちんちくりんは良いとしても、ギンのやつは助けにいかねーとな」

「ペル坊はヒメルちゃんに随分冷たいの〜。あ、あれかの好きな子をいじめたくなる……ってッ!?」

 無言の隊長殿に投げられ、ナラクカズラに頭から突っ込まれたのは言うまでもないのである。

「とにかくだ!! 出航は止められなくても、どうにかあのおっさんが何処に行ったのか探し出さねーと」

「とは言え、手がかりがないですぜ? 前の時とは違ってアルカナもいなんじゃ居場所なんてわからないですぜ」

「お前ら双子なんだから相手の場所とかわかんねーのかよ」

「……隊長は双子を超能力者か何かとお思いで?」

「そういえば! ヒメル殿とギン殿の他に蒼い髪をしたエルフが一緒に攫われてたのである。もしかしたら、精霊の神子殿に頼めばどうにかならないであるか?」

「……あんまり期待はできないが、自分のとこの仲間が攫われたなら協力してくれる……か?」

「わかりませんが、他にアテもないんで行くだけ行ってみましょうぜ」



 神子殿を含めてエルフたちは王宮で一等豪華な客室をあてがわれていた。

 運よく一箇所に全員が揃っていたため、その場で先ほど会った出来事を説明したのである。

「ーーで、あんたのとこのエルフを探すついでにウチの仲間を探すことは出来ないか?」

 話を聞いた神子殿は、額に手をあて俯いたまま深くため息をついた。

「あははは! タンザーのやつ人間に捕まっちゃったの!? ホントに? 何それ最高に面白いんですけど! あははははッ!!」

「黙れ、オルゴナイト・ビビット。笑い事ではないぞ」

「そうですよ! 第一なんでシャルウィが海賊になんて捕まってしまったんですか!?」

「大方、邪魔な占い師を始末しようとして返り討ちにあい、そこを運悪く海賊に捕らえられでもしたんだろう。全く面倒なことだ……」

「人間ノ子ドモに負けル……アイツ鍛錬が足りナイ」

 他のエルフたちがそれぞれ意見を述べてた。

 ーーなんだか、ヒメル殿が倒したみたいになっているのであるが……怖くて訂正できないのである。申し訳ないのであるヒメル殿。

 その様子を見て神子殿はもう一度深いため息をついた。

「……このまま放置しておく訳にもいくまい。アマゾナイト、ジェットと空から海賊どもを探すことはできないか?」

「……ヤッテみる。デモ夜のウチは、あまりジェット見えナイ」

「構わない、頼む」

 すぐさまバルコニーに出たココ殿が、空に向かって口笛を鳴らすとオオハリツバメが現れた。バルコニーから飛び降りた彼女を背中に乗せるとすぐさま、まだ暗い空へと飛び去った。

「私も魔力がまだ完全に回復していないが、出来る限りで探してみよう」

「……そのような事、わざわざ神子様がなさらなくても」

「そう嫌そうな顔をするな、セラフィナイト。タンザナイトには期待しているんだ。こんな事で失うにはあまりに惜しい」

「……アイツには勿体ないお言葉。止めはしませんとも。ただ、無理は決してされないように」

「あぁ、わかっている。商人、こちらの仲間を探すついでに占い師と弟も探してやろう」

「それは、ありがとうございます」

 そのやりとりを聞きほっと胸を撫で下ろした。

「すぐ見つかればいいのであるが……」

 危ないからと一緒について行って、こんなことになってしまった。罪悪感からか心の底から無事に見つかって欲しいと願いつつ、遠くにうつる砂漠を見つめた。


 

 


読んでいただきありがとうございます。


今回も主人公が不在でしたが、次回は出ます。


ところで、この小説のキャラクターはほとんど鉱物の名前をつけてるんですが。

タンザナイトの髪の色は宝石のタンザナイトと同じ色味をイメージしてます。

この間、鉱物の即売会で現物を見たんですが美しい以外の言葉が浮かばないほど美しかった…。

そこそこお高いので買えませんが。

見たことない方はぜひ機会があれば見てみてください。


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