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推しキャラの為に世界を壊そうと思います ~推しと世界を天秤にかけたら、推しが大事に決まってるでしょ?~  作者: 空 朱鳥
第二部

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36話:姫琉とセリサイトと毒

 ──…………えぇ~……なにこの状況……。


 暗がりから突然現れたセリサイト。そして彼の足元には六星夜のタンザナイトが無惨にもうつ伏せで地面に倒れている。

 ……うん。何一つ理解できないぞっ!

 そもそもセリサイトはタンビュラ達と逃げたハズなのにここにいる理由がわからないし、タンザナイトに至っては何でこんな所にいるかも、何で倒れてるかも全くもってわからない。


 しばらく考えて、考えて、考えて、私は考えてる事を止めた。


「アンタは確か水伝鏡(すいでんきょう)の時にいたヤバそうな海賊ッ!」

「……そう言うそこの人は“僕の”タンビュラ船長を誘惑しようとした害虫じゃないですか……」

「とんだ濡れ衣っすねッ!!!!」

 ギン兄がタンビュラのおっさんと二人で牢屋に閉じ込められた時のことを言ってるんだろうが……セリサイトのギン兄に向けてる表情がヤバすぎる。

 今にも腰のナイフでグサリと刺すんじゃないかってくらい殺気だっていた。


 ──大丈夫だよッ! 誰もあんなおっさん誘惑しないよっ!!


 ……って言ってもセリサイトは信じないだろうな……。

 何故ならセリサイトは全てにおいて、タンビュラのおっさんより素晴らしい人間はいないと妄信してるので。

 私からして見たら、おっさんは馬鹿みたいに強いとは思うけど、強さ含めて全てにおいてセレナイト様の足元には及ばないと思ってます。口には出しませんが、お互いのために……。


 ──う~ん……なんて声をかけるべきか。

 おっさん絡みの発言は火に油を注ぐことになりかねないしなぁ。


「クソッ……こんな人間(ゴミ)に……クソッ、クソッ……」

 地面に這いつくばりながら悪態をつくタンザナイトが目に止まった。


 ──これしかないか……。


 できたら気にせずにいたかったが、他にちょうどいいネタもないので。

「ところでセリサイトの足元にいるのは一体……」

 そう聞くとセリサイトは頬を紅潮させながら一言。

「お土産です」

「お……お土産?」

「そうです。エルフは性別問わずに高く売れるから、きっとタンビュラ船長にお渡しすれば……いっ、いっぱい、ほっ褒めてもらえるんで……へへ」

 きっと褒められてる自分を想像したのかセリサイトの顔が緩んだ。

 ──あぁ……聞かなきゃよかった。

 ってかタンザナイトも六星夜(ボスクラス)のくせに、海賊(モブ)にやられてんのっ!!

 主人公に倒される前に海賊に売られそうになってるなんてボスとしての自覚を持ってよッ!!

 海賊に仲間を売られたからって理由でエルフと戦いが起こったら目も当てられませんからッ!?

「え~っと……セリサイトはそんなことの為に王宮にいたの?」

「ち、違いますよ? ヒメルさんを連れてこいって言われて……」

「え、私?」

「こ、こッこのエルフは、“たまたま”そこで見つけただけで……タンビュラ船長のお土産にいいな〜……なんて思っただけで……へへ」

「何言ってるっすね! なんでヒメルが海賊なんかに連れて行かれなきゃならないっすね!! なんっすか、タンビュラのおっさんに言われたんっすかッ!!」

「タンビュラ船長ですッ!」

 間髪入れずに訂正を入れたセリサイトが腰に携えたナイフに手を伸ばしていた。

 ヤバイヤバイッ!! は、話を逸らさないと本気でギン兄を刺しかねないぞ!

「えっと、え〜っと……私を連れてこいってタンビュラ船長が言ったの?」

「ち、違いますよ。コランダムさんです……けど」

「え゛……なんで」

「や、約束してたじゃないですか『魔物を倒したら海賊船(サンティック号)まで送り届ける』って」

 ……したっけ、そんな約束?

 昨日の夕飯から順によくよく思い返す。

「……あ〜〜……そういえばカソッタ村に着く前、コランダムをK.Oした時にそんな約束を……したような、しなかったような。記憶がちょっと曖昧……」

 いかんせん、ここ数日の出来事が怒涛すぎて細かいことまで覚えていられるわけがない。

「し、してましたよ」

「でも、転移魔法陣で火の国まで届けたし、タンビュラ……船長にも会えたんだから今更私が出る幕なくない?」

 確かおっさんが火の国にいるから『送る』的な約束だった気がする……たぶん。だったら、おっさんと合流できた時点でそんな約束は無効ではないだろうか。それにその約束自分から提案した話じゃなかった気がする、たぶん!

「ぼぼっ僕はタンビュラ船長さえいらっしゃればいいんですけど…………ところでヒメルさん苦しくはないんですか?」

「何が?」そう聞こうとしたら横に立っていたギン兄が苦しそうな声をあげてそのまま地面に倒れた。

「ギン兄!? どうし……ってあ、あれ?」

「ヒメルッ!?」

 駆け寄ろうと足を踏み出すと思うように体が動かず膝から崩れた。その様子を見たアルカナが噴水から飛び出して倒れそうだった私を後ろから引っ張った。そのおかげで倒れはしなかったが、体が痺れているみたいに動かない。

「か、体がなんか痺れてる? どどどうなんってんの、コレッ!?」

「ひ、ヒメルさんもしかして“毒”に耐性があります……? この毒は呼吸にも麻痺の影響が出るからそんな風に喋れるはずないんですけど」

「毒!?」

 そういえば気にもしてなかったが、倒れていたタンザナイトは縛られるわけでもなく、ただただ倒れていた。

 ──なるほど、毒で体が動かなかったのか……納得だわ。


「って納得してる場合じゃない! アルカナッ、風の精霊術で王宮まで飛ばせる!?」

 とにかくこのままじゃマズイ。一度王宮まで退いて助けを求めないと体が動かないこの状態で二人を助けられる自信がない。無理とは思わないが確実に二人を助けられる方法を取らなきゃ!!

「まっかせ、キャアッ……!!」

「アルカナ!? どうしたの?」

 アルカナの悲鳴が聞こえたが振り返りたくても体がピクリとも動かない。

 セリサイトは私の視界には入っている。

 ってことは……。

「じゃあ約束通り、船まで送ってもらおうか」

 首元を鷲掴みにされて無理やり立たされると、そこには案の定コランダムの姿があった。

☆祝一周年☆


読んでいただきありがとうございます!

今回はセリサイトが大活躍(?)でしたね。

セリサイトが毒使いって設定はあったんですけど、出す機会がなくってここで出せてよかったです。

ちなみに設定では彼は船医になってます(笑)。

戦うことには向かないけど、薬に詳しい……そうです。


ブックマーク、感想、評価お待ちしています。


22/2/21 名前間違えてました。訂正しました。

24.5.14修正

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