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推しキャラの為に世界を壊そうと思います ~推しと世界を天秤にかけたら、推しが大事に決まってるでしょ?~  作者: 空 朱鳥
第二部

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19話:姫琉とアルカナの家

 霧と暗闇で視界の悪い森をランプとアルカナの光を頼りに進む。

 私には前なんて全くわからないのに、アルカナは迷う事なく目的の建物までたどり着いたのだった。


【アルカナ(お母さん)の家】

 幻惑の森の奥深くにひっそり(?)建つ、目に痛い鮮やかなピンクの屋敷。

 中には幽霊などが入れないように結界が張られいたり、不思議な道具があったり、本がたくさんある。

 アルカナのお母さんが住んでいたらしい。


 見覚えのある趣味の悪いド派手なピンクの建物を開けると、一斉にランプに灯が付いた。

 その様子を見たウッドマンさんが「す、素晴らしいのである!」と叫んだ後に解説を始めたが、誰も気に留める事はなかった。


「ウッドマンさん、置いて行っちゃいますよ?」


 一言声をかけたが返事はなく、無言になったウッドマンさんのところだけ冷たい風が過ぎ去った。


 アルカナを先頭にして地下にある、あの研究施設のような部屋へと辿り着いた。

「本当にあんのかよ……」

 赤黒く光る転移魔法陣を見て隊長は心底嫌そうな表情を浮かべながらボヤいた。

「だからあるって言ってんじゃん! え……隊長、私を疑ってたんですか……」

「んな聞いたこともない魔法陣信じろって方が難しいだろうが。でも、本当にこれが使えるんなら……欲しいな」

「正直か!」

 実際これがもっとあれば、旅の移動が断然便利になると私も思うが……。

「で、ヒメルちゃん。これはどうやって動かすんじゃ? このままこの魔法陣に乗ればいいのかの」

「……そのまま乗ったら多分、森の入口まで出ちゃうかな…………あれ? 行き先ってどうやって変えるんだろう」

「オイお前ェ……」

 そう言って私を睨みつける隊長の手がわなわなと震えていた。

 やばい! これは顔面鷲掴みにされるヤツかッ!?

 思わず顔を掴まれないように腕でガードしつつ抗議した。

「だ、だって1回しか使った事ないのにわっかんないよ!? アルカナ! アルカナは使い方わかる!?」

 藁をもすがる勢いでアルカナに助けを求めると

「ん〜ん〜。確かこの辺をいじれば行き先変えられる……はず?」

 アルカナには珍しく、曖昧な返事が返ってきた。

 そこにはごちゃごちゃとした機材や大量の羊皮紙が置かれて、ザ・研究者の作業台! と言いたくなるような状態だった。ひとつだけわかるのは、適当に私がいじったら絶対に壊すだろうということだけだった。

「ここに置いてあるものはみんなエルフ語で書かれているのであるな……。ふむ、なかなか興味深いのである」

 ウッドマンさんは置かれていた羊皮紙を1枚手に取るとひとりで何かをブツブツと言いながらそれを読んでいた。

「もしかしてウッドマンさん、それ……読めるの?」

「もちろんなのである。古代エルフ語は読み解く資料が少なく難しいのであるが、それ以外の精霊関連の書物や資料はほとんどがエルフ語で書かれているので、これくらいなら読めるのである」

 その言葉を聞いて思わずウッドマンさんの両手を思い切り握りしめた。


「適・材・適・所!!!!」


 大きな声で叫ぶと鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしたウッドマンさん。

 つかさず彼をごちゃごちゃとわからない機械の前に座らせた。

「じゃあ、あとよろしくお願いします!!」

「まっ、待って欲しいのである!! 流石に吾輩もこんな機械は初めて見るのであるし、そもそもあの魔法陣の仕組みも……」

「大丈夫! ウッドマンさんならできるって!! あっ、そういえば私ここで服借りてたんだった。戻してくるから後よろしくねー」

「ヒ、ヒメル殿ぉお!?」

 それだけ告げると逃げるように部屋を後にした。


 ピンクのロリータ部屋ことアルカナお母さんの部屋。

 中は以前借りた時そのままだった。私はクローゼットを開けて借りていたブラウスとフリルのスカートをそっとそこへ戻した。

「長らくお借りしてました。どうもありがとうございました」

 誰が居るわけでもないけど、クローゼットに向かってお礼を述べた。

「ん? なんだろこれ」

 クローゼットの下に一冊の本を見つけた。

 ピンクばかりのこの部屋に似つかわしくない黒い本。

 パラパラと中をめくってみると、中は手書きでエルフ語で書かれていた。もちろん私にこの文章を読むことはできなかったが一箇所だけ気になるところがあった。

 そのページには文字と一緒に図案が描かれていたのだが……。


「これって……セーブポイント? でも、なんで……」


 誰も知らなかったセーブポイント。

 もしかしたら、魔物化の原因かもしれないそれがどうしてここに載ってるのだろう。

「……似てるだけの別物、かな?」

 文字が読めない私にはそれ以上のことはわからなかった。

「……後でウッドマンさんに聞こう!」

 黒い本を鞄につめると再び転移魔法陣のある部屋へと戻った。


「──であるから! ここのレバーを引くと中に入っている魔法陣のプレートが入れ替わって、光の当たる部分が変わることによって、この部分の魔法陣が書き変わるのである。この部分が行き先の情報部分になるので、このレバーを操作すれば行き先を変えることができるのである!! なので、ここをこの様に火の国への座標情報の魔法陣の指令を書けばこれで火の国にまで行けるのである!!」


 扉を開けると、ウッドマンさんが丁度機械の使い方を理解したところだった。


「さすがウッドマンさん! 仕事が早い」

「ヒメル殿、ひどいのである丸投げにして何処かに行ってしまうのであるから」

「ウッドマンさんなら出来るって信じてたんで!! それに私が触ったら壊しかねないしね」

「なかなか興味深い仕組みではあったであるが……」

 少し疲れた顔をしていたが、それ以上に得たものがあったのか満足げな様子のウッドマンさん。

「そうだ。ウッドマンさんに……」

 先程見つけた黒い本を聞こうとしたら

「準備、出来タナら早ク行コウ。神子様、待ッテる」

「よし! じゃあ早く火の国に向かってレッツゴー!!」

 アマゾナイトのその言葉に、我先にと魔法陣へと飛び込んだ。





読んでくださりありがとうございます。

次回いよいよ火の国に到着です。


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24.5.12修正

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