91 不当な位置での突き上げってやる気の源になると思う?
あれから数日、宮ちゃんはなんとか仕事に復帰した。まぁ受けてる仕事は流石に降板出来ないし、もしも辞めることになってたとしても、今やってるお仕事を終わらせてってなってただろうけど……
まぁだけど、宮ちゃんはちゃんと戻ってきた。前よりも高いーーのかは正直わからないけど、目標をもって。
だからだろうか、宮ちゃんはやる気に満ち満ちている。前は良い子らしく自身では納得行ってない部分があったとしてもOKが出てればそれ以上食い下がることなんかしなかったらしいけど、今は違うと言うことだ。
まぁOK出されるてるなら無理に長くやる必要もない訳だからね。スタッフの皆さんの時間を取るわけになるしね。それは前の宮ちゃんでは難しかっただろう。
でも今はそういうこと積極的にやるし、監督とかに積極的にききに行ってると言うことだ。
(さ、流石……可愛い娘は違うよね)
コミュ症には難易度が高いことを事も無げにやる子だ。それで私にも当然してますよね? ーーの体で問いかけてくるからこっちも
「そうだね、私は納得行くまで粘るくらいだけどね」
と、返すしかないじゃん。まぁギリ嘘は言ってないからセーフだろう。私は聞きに行くとか出来ない。コミュ症ってのもあるけど、私なんかが話しかけたら失礼だろうなって思うんだ。
いままので人生、私は声を掛けて普通の反応を貰った試しがない。だから正直言うとそういう反応されるのが怖い。
だから聞きに行くとかはね……私はただ一個一個の台詞全てに魂を込めるだけ……とか格好つけて宮ちゃんに返したら納得された。
「流石ととのさんです。収録前の段階で既にキャラを掴んでないと声優失格って事ですね!」
こんな感じである。私は宮ちゃんとのラインのタイムラインん見て唸る。
(どうしてこうなった?)
ちょっとわかんない。なんか宮ちゃんの中の私のイメージが何処に飛んでいったのか謎だ。
こんなふうにされる程の事を私はしてないと思うし、私の声優としての位置って宮ちゃんよりも低いと思うんだ。
それなのに宮ちゃんからこんな慕われちゃったらさ……もうなんか、プレッシャーが凄い。
まさか宮ちゃん、私に発破掛けてる? でも彼女は、そういう子じゃないんだよね。
(天然か……天然で、笑顔で私を追い込んで来るなんて凄いよ宮ちゃん)
いや本人には全くその気なんてないだろうけど! 私の一人ずもうだけどさ!
「はぁ」
私は深く息を吐く。そして宮ちゃんが言ってたこと思い出す。
「困ってることあったら言って下さい! 私もととのさんの力になりたいです!」
その時は格好悪いし……とか思ってたけど、宮ちゃんはそんな事を思う子じゃない。だから私は宮ちゃんにも、相談してみる事にした。勿論打算込みでね。だって~向こうの社長さんも~なんか感謝してくれてたし~。うへへ。
次回は21時にあげます。