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声の神に顔はいらない  作者: 上松
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74 恋バナから牽制は初心者にはレベル高いので勘弁してください

「好き……なんですか?」


 私は核心をまっすぐに突き刺した。だって……ね。私はそんなことにとんと縁がない女だが、別にそういう事に興味がないわけじゃない。いっぱいそういう本は読んでる。というか少女漫画とか八割方そういう話だ。だから恋愛に無関心でなんていられない。


 いつか……きっと……そろそろ……とか思って既に二十台も半ばを超え、直ぐに三十路も来ちゃうんだろう。友達もいなかったから、そんな話をする相手も、聞くこともできなかった。ずっと妄想の中の産物だと思ってた。


 私自身、恋――というものをした事もなかったんだ。私は自分の容姿をよくわかってる。だからそういう感情が出てきても、どうせ私なんて相手にされない……されるわけない――そう思ってあきらめてきた。


 けど、どうだろうか? 今私はかなり勝率が高い恋を見てるのだ。なにせ恋してるのはあの、静川秋華である。男なら、この女に惚れられてNOと言えるだろうか? いやない!! 私男じゃないからしらないけど。でも私なら静川秋華を振るなんて選択肢はないだろうと思う。

 だって……ここ数ヶ月、一緒に仕事してて思う。静川秋華はまっすぐだと。私の様にぐにゃぐにゃになってない。まっすぐな美女だ。だからこそ、静川秋華の周りには常に人が集まる。まぶしすぎる存在だ。


 ちゃんとかかわる前は、世間の評判で判断してた。傍若無人だとか……そんな所あんまりない。あんまりってのは、プロ意識があるから、妥協しない所があるって事だ。そこは私的には好感度が高かった。きっと心無い人が、適当な事をネットに呟いたりしたのが、歪んで広がったのだろう。


 静川秋華は確かに美女だけど、敵も多そうな性格してるしね。まっすぐに生きてる弊害かもしれない。


「好きっていうか……気になるだけだし。それに私に相応しいでしょ?」

「ふふ……」


 照れ隠しなのかなんなのか……百戦錬磨みたいな容姿してる癖になんかカワイイ。


「でも、静川さんに相応しいイケメンとかならもっといっぱいいるような気がしますけど?」


 先生は別段不細工じゃない。けどめっちゃカッコいいかというとそれほどでもない。でもそこら辺がある意味絶妙なのかも? ギリギリ静川秋華と並んでも大丈夫なラインにいる気はするしね。


「私はただ顔で選ぶわけじゃないから。先生はそこらのやりたいだけの男共とは違うの」


 もしかしたら静川秋華は男嫌いなのかな? とちょっと思った。私は静川秋華の様な容姿なら、人生順風満帆なんだろうなって漠然と思ってたが、ヤっぱり美女には美女の苦労だってあるよね。


 私はストーカーとか痴漢とか、会ったこともない。都市伝説だと思ってる。けど静川秋華はそういう被害によく会ってそうだ。というか、静川秋華のファンとか結構過激な奴らいるし……そいつらが静川秋華が先生の事を好きだとネットで流れた日には……ヤバイ、先生の命が危ない。


「あの……先生が好きな事とか誰にも言ってない? ……ですよね?」


 私は先生の身の安全の為にそれを聞いた。カラオケの曲だけが歌い手を求める様に流れてるが、もう二人ともカラオケには興味をしめしてない。てかそもそも、話す為にきたわけだしね。むしろ音が邪魔まである。


「当たり前じゃない。匙川さんにしか言ってません。あと、先生は私の気持ち知ってます」

「ええ……なぜ?」


 このなぜには、なんで私に言ったの? となぜに先生は静川秋華の気持ちを知ってるのって事だ。いや、後者は静川秋華が言ったんだろう。けど、まだアプローチを続ける感じだから、先生は承諾しなかったって事? 


(え……何で……)


 なんだろう。自分でもわからない感情が胸の奥にある気がする。

次回は22時に予約投稿します。

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