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声の神に顔はいらない  作者: 上松
67/403

67 普段との違いをわかってる分、自分のが一歩進んでるから

『バッシュ・バレル』


 バルクさんから彼を紹介されたとき、自分はどんな反応をしただろうか? 普通の日本人なら、バッシュ・バレルの見た目に多分近づかないだろう。それくらい、バッシュ・バレルは外人で、日本人が思う怖い外人的な外見をしてる。大きな背に堀が深い顔。体にはタトゥーがあり、鼻とかにもピアスがある。口を開けると、舌にもある。


 よくその恰好でここにきたなって服装だし……唯我独感がめっちゃある。


「へえーあんたがあの脚本を書いたのか」


 此花さんがそう訳してくれた。いや、此花さんはもっと丁寧に訳してる。けど、こいつの顔の圧が強くてそう聞こえるんだ。てか眼光が強い。外人はなんでそんな綺麗な目でめっちゃ睨んでくるの? 自分の目が滅茶苦茶突き刺してくるって理解してほしい。


「脚本?」


 確か自分が書いてたのは普通に小説だったはずだが? 脚本はしらない。自分が知らないことは大体此花さんが知ってる。だから彼女に目を向け……ようとしてやっぱりそらす。何故かって? それは彼女が美人だからだ。いや、前々から美人だとは思ってた。けど普段の此花さんはスーツできっちりと決めたキャリアウーマンなのだ。


 いやらしさよりも仕事できます――感が真っ先にくるタイプなんだ。だからそのイメージが強かったわけだが……今やそれを塗り替えつつあるのが、今のドレスバージョン此花さんだ。


(自分はとんでもないものを生み出してしまったのかもしれない……)


 そんな思いが沸いてくる。それほどに今の此花さん魅力的だ。このバッシュ・バレルもそうだが最初は此花さんにめっちゃ声かけてたしな。此花さんは相手にせず、バッシュ・バレルもバルクさんにたしなめられたからようやく、こっちに意識を向けて来てるんだ。


「映画にするにあたって小説のままというわけにはいかないので脚本の形に脚本家さんに依頼したんです」

「そういう事ですか」


 確かにあの小説は先に映画の話をいただいて書いたから、自分的には映画の尺、所謂二時間前後に収まる様に書いたつもりではいた。セリフも多くしてたし、自分で通して音読してストップウォッチで測ったり……けどそれは結局、素人の足掻きでしかなかったわけだ。ちょっと残念。


「すみません先生。けど、殆ど内容は変わってません。そういうことはやはり先生の意見が必要なので。形式を小説から脚本に変えただけ……流石です」


 そう言ってニコッと笑ってくれる此花さん。いつも自分の作品のことを話す時は此花さんの顔が綻ぶ。それは知ってる。大好きがあふれてるのがわかる。


 けど今のその恰好、姿でやるのは反則だ。自分だけじゃない、目の前のバルクさんもバッシュ・バレルもその微笑みに見惚れてた。

次回は20時に予約等してます。

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