表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
声の神に顔はいらない  作者: 上松
66/403

66 誰だって監督になれるんだって

「貴方は? 私に名乗らせておいてそっちは名乗らない訳?」


 私は尊大にそんな風にいってやる。日本人は奥ゆかしさを美的にしてるようだが、こっちではそんなの舐められるだけだ。だから男相手だからって強気にいく。


 まあ相手は勿論みる。私の勘が言ってる。こいつは女らしさを武器にしてはダメだ――と。見た目的にも直感的にもこいつは、肉食系だ。だからある意味、女の武器が通用する相手だろう。でも、それは自分を獲物として差し出すのと一緒だ。


 こいつに餌と思われたら、食われるだろう。それこそ物理的に。絶対に強引そうだし、やった後デリカシー無いこと言いそう感が凄い。まあ私の場合は大体相手の方がへばるんだけど、こいつはやけに筋肉がある。きっとモテる為に鍛えてるんだろう。


 いるいるそう言うやつ。確かに私も筋肉好きだけど……そういうのはちょっと暑苦しくてね。だからって筋肉が純粋に好きな奴はもっとヤなんだけどね。だってここの筋肉が……とかうるさいし。そしてやけにこっちにも筋トレを進めてくるっいうね。いや、今は関係ないか。


「はは、流石我が強い。嫌いじゃないぜそういう女」


 うーん、なんか目をつけられた感じがする。でもこれはちょっとしょうがない。私クラスの美女になると、男なら誰でも抱きたいと思うものだ。だから実際、強気に出ても、女を見せてても同じだったと思う。いや、そう思う事にする。


 今更こいつに対する態度を変える訳にもいかないし、こいつが先生の作品の監督じゃないことを祈ろう。けどそれは数秒後に砕け散る。


「俺は『バッシュ・バレル』だ。監督をやってる」

「バッシュ・バレル……あんたが」


 こいつは確かまともな映画って作ったことないんじゃない? けど別段この業界にさほど詳しくない私でもその名を知ってるのは、こいつの作品がネット上でバズってからだ。こいつは大体、五分とう十分の短めの動画を投稿してたやつだ。


 本当ならただの投稿者だ。監督なんて今でもおこがましい肩書ではないだろうか? だが、こいつは確か最初から自分の事を監督と名乗って、自分のあげた投稿動画は全て作品だとのたまってた。まあネット上にはそんな自意識過剰な奴は五万と溢れてるだろう。


 普通なら小さなコミュニティで細々と続いてくか、やっぱりここは俺の居場所じゃないとかのたまって消えてくか……だったはずだ。けど、こいつの動画は話題になった。今や毎日数多ある動画が投稿され続けてるこの時代に、突出して主張したんだ。


 なんでも最初はどっかの定額制の動画サービスにいきなりこいつの動画が流れたとか? なんか新作の予告かと思われてアクセス伸びてそれがきっかけになったとかなんとか記事で読んだ。まさかこいつが初めて撮る長編作品が先生の作品になる……の? 


 それは……ちょっと……いや、かなりの冒険じゃない? 私ははっきりと反対したいね。

次回は明日あげますね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ