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声の神に顔はいらない  作者: 上松
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57 姫とヒーローの願望

「結構です」


 それを強い口調で言う此花さん。なんと自分たちのサプライズは速攻でばれた。いや、ばれない方がおかしいよな。なにせいきなり、どんな服が良いか聞いたし、強引に試着とかさせたし、バルクさんなんかそもそもサプライズの気があるのか、とりあえず気に入った服の色違い全部くれとか、言うし……それを此花さんにやるのなら自分はどうしたらいいのか? 


 それ全部でいくら? 既に服なんていらないじゃん……まあ此花さんは「結構です」とは言ってるが、実は英語である。


「ちょ、バルクさんどういうつもりですか?」


 自分は翻訳機を駆使してバルクさんにそういうよ。するとバルクさんはいつもの様に「はっは」と笑う。


「私はなんでも贈れるんだよ。そうなんでもだ」

 

 だからやめてほしいんだが? この人がその気になれば、きっと店ごと意中の相手に送れるよね!? 流石にそれは自分はには難しい。てかそんなサプライズは超えられない。


「だが、私にも送れない物がある。それは君からのプレゼントだよ。なあに私が女性に贈り物をするのは病気みたいな物だ。気にする必要はない。彼女だって私がこんな事をやる分にはいつもの事だと思ってるさ」


 この爺さん、病気と言い切る程に女性にプレゼント送ってるのかよ。まだまだきっと現役なんだろうな。てか、速攻でバレたと思ってたサプライズだったが、もしかしてまだいけるのか? バルクさんが言うには、彼は贈り物をするのが日常らしく、そしてそれは此花さんも知ってるから、別段これが特別な事だとは思ってないらしい。


「大切なのは何を贈るかよりも誰が贈るかなのだよ。それを私は長い経験の中で悟ったよ。だからよく見ておくんだ。彼女の視線の動きや表情の変化をね。興味無さそうにしてるが、女性は誰しもがお姫様になりたい願望がある物だよ」


 なんだろう、歳を重ねた大富豪が言うとなんか説得力がある感じがする。それにアホな事をやって妨害してると思ったら、案外アシストの気持ちだったらしい。けどなかなかに難易度が高い事を要求してくる。だってじっと此花さんを見てる訳にはいかないし、ちらちらと見てる中で、此花さんがチラッと見せる変化を見極めろって事だろう? 

 難しい。それに最後の部分はどうなの? 自分は服を物色してる此花さんをみる。女子高生みたいにキャピキャピして服を見てないが……


「此花さんにはお姫様願望はないようにみえるんだけど……」

「そうかい? 私には見えるよ。彼女の中にある承認欲求が。それに大なり小なりは誰にもがそんな物を持ってる。君だってヒーローになりたい気持ちが全く持ってないと言えるのかい?」

「それは……言えないけど……」


 寧ろ作家名何てのはリアルで実現できない事をアウトプットしてる様なものだ。それは自分の中にある願望といっても差し支えない。確かに誰しもが大きさは違えど、そんな感情を持ってる事を否定なんてできない。それが例え此花さんだったとしてもだ。


「まあ頑張りたまえ、ミスター・ジョウシキ』


 そういって此花さんへと近づいてくバルクさん。なかなかに洒落た事をいう。これがジェントルマンという奴か。本場は違う……いや、本場はイギリスだっけ? まあいいや。さっきバルクさんがいった名前は、自分の作品に出てくるキャラだ。その作品は探偵もので、ジョウシキという主人公が活躍してる。


 ようは自分にもそのジョウシキの様に此花さんの好みを見破ってみたまえって事だろう。バルクさんが言うには誰に贈られるかが重要ともいってだが、そこは大丈夫なのか? まあ彼女は自分の大ファンだしそこはクリアしてるって事なんだろう。


 でもだからって全然その人をわかって無いようなプレゼントはダメだってのは自分でもわかってる。ちゃんと此花さんが喜んで着てくれるドレスを選びたい。やってやろうじゃないか。

次回は明日あげますね。

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