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声の神に顔はいらない  作者: 上松
55/403

55 LAって言いたくならない? なるよね?

 バルク・サンドストーンさんの家にお世話になって既に三日が過ぎた。何ていうか、本物の富豪の生活を垣間見てる気がする。なんか是非には家に泊まっていってくれ……いや泊まってください――と言われたら断りづらい。だってめっちゃ富豪で、自分よりも年上の人が土下座してくるんだよ。


「ジャパニーズセップクセップク!」


 とか言ってくるし。使い方間違ってますよ。でもそれだけの覚悟があるって事が言いたいんだろう。モーニングコールはこの家に来てるお手伝いさん? 何て言うのか知らないが、五十代くらいのやせ型の女の人が起こしてくれる。まあ日本の漫画とかに影響されてる自分は、メイドとかいるのかと思ったがそんなの堅苦しいのはバルクさんは嫌いらしい。


 だからこの女の人はとてもサバサバしてる。富豪が雇ってるにしてはとてもガサツというか……なんとかいうかなんだが、やる仕事は完璧だから多分彼女はプロフェッショナルだ。毎日ベッドは完璧ににメイクしてあるし、部屋に埃もない。


 入れてくれるコーヒーはお店クラスだし、知識もヤバイ。てか何気に日本語話せるし……此花さんが居なくても不便がないのはこの人のおかげだ。名前はガーラーさんだ。普通にガーラーさんと言えば――


「またかい全く、いい大人なんだからなんでもかんでも聞くんじゃないよ。で、なんだい?」


 とか日本のおばちゃんか、と思うような流暢な日本語で返してくれる。まあこれじゃあ全然英語力がつかないんだが、そもそもが最初から技術に頼ってた自分はそんなのは目指してない。そもそも一週間程度でしゃべれるようになったら苦労して英語の勉強なんてしないんだ。


 だから今回はそこら辺は諦めてる。ガーラーさんは軽食も作ってくれる。けど、ガーラーさんが作る機会はあんまりない。何故ならバルクさんが自分を連れ出してLAの高級レストラン巡りをしてるからだ。てか毎夜毎夜、この街のお偉いさんや凄い人たちに会ってる。

 このバルクさんの顔の広さがヤバイ。ハリウッドだからか、ハリウッド映画に出てる様な俳優や女優も呼んでくれる。皆さん、本当に背が高くて綺麗でイケメンで……まさにスターって感じだった。ハッキリ言って自分の場違い感が半端ないんだよね。


 どうやらバルクさんは次に作る自分の作品の作品を紹介してて、ハリウッドの俳優たちは、それを聞いて、いや聞く前からかなりぎらぎらしてるんだ。多分、バルクさんは有名なんだろう。だからか、彼らは大スターなのに、結構媚売ってる。


 こんな大スター達を見られるのは貴重ではないだろうか? とかちょっと思う。だって来日してテレビとかで見る姿とは違うからね。まあ男性たちはなるべくフレンドリーを心がけてるみたいだけど、女優達はあからさまに誘ってると思う。


 だってドレスがエロいもん。胸元がドバーンなんて当たり前。背中もバンバン空いてるし、なんなら尻まで行っちゃうよ? 的なドレスで来る人もいた。まあ皆さん本当にお綺麗でスタイルも抜群だからヤバかった。しかもバルクさん、自分の事を彼らに紹介するんだよね。


 確かに作者だから、それは彼に取って礼儀とか義理の部分なのかもしれない。けど、自分は極力目立ちたくないというか……名前だけ売れれば別にいいんだ。本当にまだ男性たちはいい。まあいきなりハグしてくるのは慣れないが、皆さん、最初は自分の事視界にも入れてなかったのに、バルクさんが紹介すると獲物を見つけた目で見てくるんだ。

 

 きっと日本人って押しに弱いって思われてるんだろうな。だからめっちゃグイグイくる。女性達は女の武器を使う事に躊躇いないから、自制をするのがきつい。バルクさんなんて――


「若いうちはいくらでもしてれはいいさ。はっはっは」


 とか言うが、そんなアメリカ式なオープンセックスなんてしらない。誰彼構わず……なんて……なので我慢だ。大ヒットスター達のオーラを交わすのは至難の業だ。まあだけど、やっぱり嬉しくない訳じゃないだ。この三日間でかなりハリウッドスターのサイン色紙もたまったしな。ウハウハである。


「先生、今日は私も一日同行しますね」


 そういって現れたのは此花さんだ。実は最初の日以来である。彼女はとても忙しくアメリカを飛び回ってる。ほんと自分の為にご苦労様です。そういいたいが、言う度に此花さんはこういうんだ。


「私は先生の作品を世界に届ける使命があるんです。ですから今はそれを成し遂げてる道中。この仕事は天職だと思ってますよ。だから私は幸せです」


 そんな風に彼女はいう。自分はきっと周囲に恵まれてるんだろうと思う。

次回は正午に予約投稿してます。


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