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声の神に顔はいらない  作者: 上松
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54 想像と妄想って何が違うの?

 何とか大型犬から逃れて家の中へときた。とてもお洒落な内装で、全ての物がゆったりと配置されて、そのスペースの使い方の贅沢さが垣間見える。ここのオーナーはさっき玄関にいたおじさん……お爺さん? で、どんだけ金持ってる富豪なんだって感じだ。


 大金持ちともなると、体からお金の匂いがするんだね。いや、実際お金の匂いなんてしないが、もう周りが絶対ヤバイ金額使ってるだろうし、犬も服も高級そうで、もう金金金って感じだ。勿論成金みたいに金ぴかなわけじゃない。


 寧ろ上品だ。上品な金のにおいする。


「先生、この方は『バルク・サンドストーン』さんです。今回の映画の最大出資者の方ですね」

「監督とかじゃないんだ」


 実はそうかと思ってたんだが……出資者のかたらしい。そういう人とこういう風にあう物なの? いや、日本なら、テレビ局とか、製作委員会とか会う事もあるけどさ……てかこの人、個人で最大出資してるの? どんな大富豪だよ。


 だってハリウッド映画とか予算が日本のそれとは格が違うのは周知の事実だ。数億ドルなんてあたりまえ。大作なんて数十、いや数百億ドルとか使って作ったりしてるだろう。まあそれを全部出資してる訳じゃないだろうが、確実に数億ドルくらいは出してる訳だよね? 


 いや、自分の作品がどのくらいの規模かなんて知らないが……とりあえずここはあれか? サンキューとか言っといた方がいいの? まあお金出してくれてるんだしな。そう思ってると向こうからぺらぺらと英語をしゃべりだした。


 ネイティブは本当に止め止めなく喋るから聞き取ること自体が難しい。翻訳機……の出番はない。なぜなら、此花さんが通訳してくれてるからだ。本当に優秀で助かる。


「先生の作品はとても素晴らしく、必ず世界でヒットすると信じてる。その為の手助けを出来るのなら、私は何も惜しみませんよ」


 なんだかべた褒めである。気恥ずかしい。それからバルトさんはテーブルに並べられてる本を見せてくれた。此花さんが説明してくれるとそれが全部自分の作品だとわかった。どうやら本当にファンらしい。こんな途方もないお金持ちがこんな自分の数ドル? 数十ドルで買えるくらいの本を持っててくれるなんて、なんか不思議な感じだ。


 別に卑下してる訳じゃない。けどこんなどれもかしこも高級そうな物の中で本なんてめっちゃ格安じゃん。自分が格安みたいな? そんな感じでちょっと恥ずかしいというか。


 それからもバルクさんはとても多く、自分の作品の事を語る。よくもまあ作者を前に……と思うが、この人はとても作品を分析してた。ハッキリ言ってこっちが忘れてる様な設定とか掘り起こして考察してる。ヤバイなこの人……ガチ勢じゃん。


 それに出資者という事で、まだ監督とかにしか渡してない様なシナリオとか持ってた。まあこれ読んでシナリオ知らないと、出資しようかどうかとか、行けるかどうかの評価なんてできないしな。そもそも自分はハリウッドでは無名だ。


 もっと有名な人なら名前だけで出資者が集まったりするんだろうが……自分は日本の中ではヒット作家だが、世界ではそうじゃない。井の中の蛙大海を知らずとは自分の事だ。まあ自分はいきってる訳じゃないが。それは確かに動画配信サービスとかでもドラマ作ってもらってそれなりに評価されてるが、その程度のかかわりしか海外にない。


 だからこそ此花さんはこれを足掛かりにして自分の名前をもっと売り出したいんだろう。


「君の想像をハリウッドの技術力を持ってして完全再現して見せよう。その資金は惜しまないさ。君と話してみてその想いは固まったよ。そうだ、ちょっとアイディアがあるんだがどうだろう?」


 この人、自分のアイディアを採用して欲しいんでは? 確かにまだ修正できる所ではあると思う。だって撮影とかが始まったわけでもないし。けどこっちもクリエイターだ。物語の破綻は許せない。だから出資者だからって下手なアイディアなんていらない。


 作品に関しては譲れないのがクリエイターだ。勿論妥協点は探すけどさ。まだそんな段階でもないだろう。なにせこの人はいくらでも出資してくれるらしいし。自分とこの人バルク・サンドストーンさんはとても熱くこれから動き出す映画の内容を語り合った。

次回は明日あげますね。

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