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声の神に顔はいらない  作者: 上松
395/403

395 運命の日 30


空気が変わった。それを感じて声優を見つめる面々は息を飲んだ。普段はアホな場面ばかり見せてる静川秋華。だが、そこにいるのは紛れもなく今の声優界の頂点に君臨する女の雰囲気をまとってる。

 これまでも光る物を感じる声優は何人もいた。自分もこれまでで、既に両手で数えるには足りない程に印をつけてる。


 静川秋華……彼女が来るのはわかってた。なにせ彼女は自分に執着してる。でも今までは彼女には役を与えては来なかった。あまり自分は原作者としての立場を使うのは好きじゃない。なぜなら、原作者だからってそんな横暴は……ね。あんまり嫌われる様な事はしたくないし。でも今までは運もよく、自分の意見は通ってた。

 それば静川秋華を外しても利益が得られるとわかったり、静川秋華が頂点だからこそ、そのイメージが固定されてる事が大きい。声優は有名になるほどに、そのイメージが固定化されてるいくイメージがある。

 あの声優だから、こういう役をやってるとか、あの声優が声を宛ててるからあれは敵側だな……とか思われたり……だ。声優によってどういう役かを推察されたり最近はする。そういうのを嫌う人達も多い。


 静川秋華は王道だ。王道のヒロインタイプで、あとはちょっとロリによってるかも? 最近は意図的に年齢層高めにしてる節もあるけど……


(今回の役もそうだな)


 今までなら、静川秋華はこの作品の女性キャラで一番出番が多いであろう役を狙ってたはずだ。まあそうなると、ロリっ子か、JKか……静川秋華なら今でならJKで行ってただろう。そう思ってた。

 けど彼女は、主人公の前世の恋人役を選んでる。まあ確かに会社視点では彼女と接することば多くなる、話数が進むほどにその仲は進展していく事になる。それにこの役は難しい。

 なにせ彼女は婚約までした恋人をなくしてる。でも主人公はその恋人そのもの。もちろん彼女はそれを知ることはないが、でもだから再び惹かれていく設定だ。でも彼女はそれを悪いことだと思ってる。

 なにせ最近結婚間近で恋人をなくしたんだ。それなのに、すぐに他の男になびく……そんな自分が嫌になってしまう。


 そんな複雑な感情を表現しないといけない。それをお気楽に生きてそうな静川秋華が……というかこいつ恋愛とかしたことあるのかな? とかおもってた。だって静川秋華は選び放題だと思う。自分も今の立場なら、ある意味選び放題だが、それは今の立場があるからだ。

 昔はただの陰キャだった。でも静川秋華は違う。こいつは産まれながれに持ってるやつだ。でも目の前の静川秋華はその場を飲み込んでる。


「私は……もう忘れたっていうの……」


 そんなセリフが胸をえぐってくる。こいつ……案外真面目だったんだなって思って自分は静川秋華に○をつけた。


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