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声の神に顔はいらない  作者: 上松
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378 運命の日 13

「それでは行ってきますわ!!」


 そういって隣の部屋へと続いてそうな扉へと向かうのは静川秋華に懐柔されたお嬢様である『本郷 雅』さんだ。彼女はどうやら新人って訳でもないけど、なかなか素があのキャラだからだろうか? ちょこちょことオーディションに受かるけど、端役しかなかったとかいってた。

 だから彼女もあの有名な先生の作品のアニメに賭けてここにいると言うことだった。私達の中で一番始めに呼ばれた雅さんは最初はとても緊張してた。


 勿論、彼女はお嬢様らしく高飛車で、呼ばれた時は『オーホッホ、ようやく私の出番ですわね!』とか行ってた。でも彼女が緊張してるのは丸わかりだった。だって口元にもっていった手がガタガタしてたしね。


 それに気づいた静川秋華が背中に手を置いて、「息を静かにして」そう言って、ゆっくりと背中をなでてた。すると次第に雅ちゃんは落ち着いてきたみたい。


「なんで」

「別に……だって負けるないもの。それに後で緊張してたから、なんて言われたくないからね」

「ふん、片腹痛いですわ!!」


 それから冒頭のセリフだ。彼女は堂々と扉の向こうに消えていった。静川秋華はあんな事を言ってけど……別に彼女の背中を押したわけではないんじゃ……とか私は思ってる。位置とゔいい顔色々としてる奴だけど、あれはただ単に……


(お菓子のお礼かな)


 だって彼女は、バックに高級なお菓子いっぱいだった。それを遠慮なく、パクパク静川秋華は食べてる。私達は流石に遠慮してるだけど……てか一個数千円のお菓子って普通の感覚ではバクバクと食べられない。普通に食べられるのがおかしいだろう。

 それをパクパクと……だからそれの代わりに励まして上げただけだろう。私達庶民は普通に用意されてたお菓子を食べてる。私達が最初に手をつけたから、続いて、他の声優たちも各々お菓子とお茶を味わってた。私と静川秋華と宮ちゃんは一塊の感じになってる。


 浅野芽依は? ってことだけど、あいつは色んなグループを回ってる。あいつはやたら顔広いからね。あっちに行ったりこっちに行ったり……色々とやってる。疲れないのだろうか? これからオーディションだっていうのに……私はiPadでセリフを追って最終確認。でも実際、既に台本のセリフは一字一句覚えてる。なにせ今回のオーディションには賭けてるのだ。そのくらいは出来て当然。

 だからふと浅野芽依をみてしまう。


(別に……羨ましいわけではないけど……)


 今までも私は自分にストイックにやってきた。オーディション会場で仲良し同士、集まってキャッキャしてる奴らなんてオーディションをなんだと……とか下に見てたと暴露しよう。でもどっちが正しいかなんてない。出来る事は既に私はやってる。それなのに、前のめりにだけに成ってると、どこかで足を躓くかもしれない。


(気分転換か……)


 もしかしたら浅野芽依の奴もそんな意図が……有るわけ無いか。浅野芽依を見てそう思った。けど、いつもと違う事をしてもいいのかも……と思った。この場所を見回して……どこかに知ってる人でも居ないかな……なんて探してみる。するとみつけた。

 ちょっと前にソシャゲのオーディションで一緒のグループだった人だ。あの人なら……私は自分をちょっとだけ変える為に踏み出した。

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