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声の神に顔はいらない  作者: 上松
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365 古臭いと言われても

「これは……拒絶されたんでは?」


 なんかちょっとショックを受けてスマホの画面を眺めてる。なるべく直接的には言わない様にとしたんだが……それか裏目に出たかもしれない。どうやら匙川さんは色々と気を使ったらしいことが文面でわかる。


 まあこっちもかなり気を使ってたわけだが……見返すと、色々と酷い文章だな……と思う。これが売れっ子小説家とはとんだ恥さらしだ。文章の魔法使いとは何だったのか……いやそれはかなり恥ずかしいキャッチコピーで自分では一度も使った事ないが……


「今から直接聞くってわけにも行かないよな……」


 なにせ仕事を押し出されてしまった。そうなると、下手に気を散らす様な事をしたくはない。自分的には羽ばたいてほしいと思ってるからな。彼女の様な声優は貴重だ。 

 絶滅危惧種と言っても良い。今や声優もビジュアルが必要だから、まず

そこで振るいに掛けられてしまう。多少上手い人がビジュアル関係なく、事務所に入れたとしても、今の現場で求められてるのが、ビジュアルがいい声優だからな。

 仕事に受からないのなら、そういう人たちは次々と辞めていくしかない。夢を追い続けるって語感は良いが、実際問題生きていくためにはどこかで諦めないと行けないときが来る。そしてそれはなるべく早い方が良かったりもする。だから彼女は貴重だし……いままで声優という枠に入れたのが奇跡みたいなものだと思う。

 

 でも奇跡だけど、ある意味で必然だった気もする。なにせ彼女の実力は群を抜いてる。この業界にもどこかにこのままで良いのかって疑問に持つ人達はいるから、そういう意思が働いて居たのかもしれない。

 それでも商業的に成功しやすい方に傾倒していく事はしょうがないから、誰を責めるなんて事も出来やしないが。言う慣れば、受け取る側……消費者達が原因かもしれない。


 ユーザーが求めるから、供給側もそういう風に動いてるわけだしな。今はまだ、昔の声優を知ってる世代がいるから、それでも声優に顔なんていらない派って奴が一定数いるが……そういう人たちが居なく成って、そのうちアイドル声優しか知らない世代にとかになったら、そういう声もいつの間にか消えて言ってしまうんだろうか?

 そうなると、本当に声優は声ではなく顔が第一に見られる時がくるかもしれない。そうなると、もうアイドルとかモデルとかと変わらなくなりそうだ。


だから思う。彼女匙川さんには古臭くったって、求めてしまう。それか茨の道だとわかっていても、本当の……本物の声優の姿を。彼女なら『これが本当の声優なんだ!』という姿を声で示せると、自分は思ってる。

 だからこそ、きっとこんなに彼女にこだわってる。なにせ自分にできる事は、彼女達が活躍できる世界を作り上げることしか出来ないからだ。そして誰よりもきっと思ってる。

 

 彼女の声をもっと色んな人に知ってほしいと。

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