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声の神に顔はいらない  作者: 上松
352/403

352 ギリギリから走り出す

「すみませんでした!!」


 自分はそう言っていろいろな人達に頭を下げて回ってる。それはこの業界の偉い人たちばかりにだ。アニメに関わる人達、本に関わる人達、それに宣伝や……それこそいろいろな方面の人達にずっと謝っていた。なぜかって? それは勿論、自分がこれまでの決まりを崩して独断で武雄スタジオでアニメを一つ作ることにしたからだ。それが発表……は世間にはされてないが、その噂は業界内ではまたたく間に広まって、出版社とかに問い合わせが沢山きたらしい。なので、今はそのお礼参りというわけだ。

 今回は例外的にこんな事をしてしまいましたが、これからも何卒お願いします――という狙い。いつもは持ち上げられる事が多い自分だが、ここ数日いや数週間はずっと謝ってばかりである。お偉い人たちはすぐに言って「ごめんなさい」で許してくれるものではない。なにせこっちが下手に出ないとだめなんだ。向こうが下手に出る時はそれこそ、色々と持ってきたり、お高い店に招待したり、夜のお姉さんがいるところにいったり……だ。そんな事を仕掛けてくる。


 だからこそ、こっちが下手に出るとなったら同じ様な事が必要だ。だから一人ひとりに取る時間が多くなる。一日で一人の許しをあ乞うなんてのは当たり前。半日で住めばいい方。それにお偉い人たちにだって、お偉い中でも序列な様なものがあるらしい。まずはこの人から侘びて、次はこの人……この人は後でもいい……とかそんなんだ。そしてスケジュールは向こうに合わせる。こっちが侘びに行くんだから当然だ。はっきり言って一ヶ月以上掛かりそうだ。


 そしてその間にも勿論アニメの現場は動いてる。酒井武雄がそのスタジオの命運をかけてアニメを作ってるはずだ。まあ今は本格的に現場を動かす前段階だが。どの枠で、どれだけやるか……一応既に候補の枠はある。武雄スタジオがギリギリ存続間に合うのは一年中だ。だから今年の秋クールくらいに飽きが出てるらしい。そこにねじ込むしかない。でもそうなるとクオリティがヤバい。だからこそ、巻でやらないといけない。


 監督は勿論酒井武雄だ。脚本には何人か入ってもらう予定。一応原作に変化をつけつつ、アニメのクールで丁度いいところまでやれる様に話し合ってる。どっちも忙しいからPCでリモートでやり取りしてるが、なんか酒井武雄は画面越しでは不安なんだよな。

 よく打ち合わせにも遅れるし……しかもなんか酔っ払ってるし。それを隠そうとして隠しきれてない。既に結構不安はある。でも野村さんはとても優秀で真面目だから、現場は回ってる。でもどれだけきちんとアニメの道筋ができてるかで、次に動ける部分が決まってくる訳で……自分と酒井武雄は実際そこまで相性が良くない……と思ってきてる。だからこそ……ちゃんと面と向かっての話し合いが必要だ。 

 確かに最初に沢山語り合った。だけど、現場は生き物でアニメも生き物た。こうした方がいいってのは常にどっちでもある。そして突然そういうのを入れるのが酒井武雄だ。でもそれだけだと暴走した代物。それではとう押せない。だからこっちとの話し合いが必要なのに……リモートでは拉致があかない。

 

 だから自分は武雄スタジオに突撃することにした。

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