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声の神に顔はいらない  作者: 上松
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347 面の皮が厚いやつが羨ましい

 あれから数日、事務所総出のくじ引き大会が行われた。北大阪さんや登園さんの脅しが効いたのかはわからないが、事務所に所属してる声優の参加率は六割くらいだった。そして選ばれたのは私と浅野芽依だった。


「なんで……」


 結果を聞いて、私は思わずそんな声をこぼした。だって私はわかる。ズル……というか、正当な対価をもらっただけ――だからね! だって会社が潰れちゃったら、オーディションどころではないんだ。これはそう、正当な対価として納得した。だから私は当たり前だ。社長が約束を反故にする事はなかったと言うことだ。それはいい。さすがあの社長は信用できる。これらもついていこう。


 問題は浅野芽依だ。六割と言っても、30人くらい参加したはずだ。なのになんであいつが選ばれるの? 強運過ぎる。


「いや、絶対に何かしたでしょ」


 だってあいつ、クジになった時なんか連絡してた。何人か買収して、クジに浅野芽依って名前を書かせたんじゃない? 有り得そうで怖い。そのくらいは普通にするだろう。浅野芽依はそういうやつだ。まあけど、私的には誰であろうと自分がオーディションに行ければいい。というわけで、私は結果がでた後日、台本をもらいに事務所に来てた。実際、私が選ばれるのは確定だったんだから、先に台本をもらう事もできた。でも……そんな事をして誰かにバレたらまずい。だからちゃんと当選したから今日もらいにきたのだ。そういう演出が大事。


「先輩、おめでとうございます」

「うん……そっちもね」

「ええ、まさか私なんて! いえ、私なら当然ですけど〰、それいうなら先輩の方がびっくりですよね〰。なにか裏取引でもしたんじゃないですか?」

「なななな! それはあんたでしょ?」


 事務所で会った浅野芽依の言葉にドキリとして、これまででないくらいに早口になってしまった。辺に思われたかな? 


「なーんか先輩怪しくないですか? それに私は幸運な女ですよ?」


 こいつ、どんだけ面の皮が厚いんだ? 全く動揺してる顔見せない。これが普段から媚び撃ってる成果か。嘘なん吐き成れてるから罪悪感なんてないんだろうね。私はここに来るまでにもバレないかとヒヤヒヤだった。


「わ……私だって、たくさんおまじないしたし。一生分の……運を願ったし……」


 私は顔をそらしながら小さな声でそういう。


「まあ確かに先輩の一生分の運を使い果たした感じはありますよね〰。ご愁傷様です〰」


 こいつ……まじではっ倒したい。そんな風に二人で事務所の廊下を歩いてると、丁度前から歩いてくる二人が見えた。それはなんと……登園さんと北大路さんだ。はっきりいって、今会いたくないナンバーワン・ツーである。

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