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声の神に顔はいらない  作者: 上松
314/403

314 こんなお姫様は嫌だ

「わ……私は確かに不逞の女の娘かもしれません。ですが……私が姫の中では継承権一位です。それにこんな事おかしくないですか?」

「は……え?」

「私、御姫様ですよ? 確かにそっちは義理でもなんでも母と言う立場ですけど、それでもなんでも思い通りに行くなんて思わないでください。私知ってます。貴女が沢山の侍女を買収してる事。それに沢山の男と関係を持ってることを。あれ? よく考えたら、私の方がカード多くないですか? あ・な・た・を破滅させるカードです。誰に報告しましょうか?」

「誰も貴女の言う事なんて真面目に聞きはしないわよ? だってその通り、もうこの城に私の手が入ってない物などいないもの」

「哀れですね。貴女は王家の血を引いてるけど王家じゃない。私は不逞の女の娘ですけど、こうやってお城にいる御姫様です。認知もされてます。わがままは御姫様の特権で貴女の物じゃない。私がやる事、取らないでください」

「なに……言ってるのよこの子は……」

「なにって、ワガママですよ。御姫様らしいわがまま……ふふ、ふふふ」


 ゾクッとした。色々なことに……ね。私はブースの人に合図を送ってカットの音声を入れて貰う。カツンって奴ね。「ふう」……と私はそれで息を吐いた。


「何、落ち着いてるんです? まだお話し、終わってないですよ。今までの非礼、どうしましょう」


 なんか彼女がおかしい。おかしいというか……これは……


(役が落ちてない)

「ちょっと、どうしちゃっのた?」

「うんうん」

「なんですか侍女の分際でその口の利き方は?」

「「ひっ!!」」


 彼女は持ってたペンを先を一番手近なパリピギャルの目先に突き立てた。鼻先とかじゃないよ。目だよ? めっちゃヤバい。そしてそんな事をしてるのに……彼女は笑ってる。どうやら私はヤバいスイッチをいれたらしい。


「ちょ!? 何やってん――」


 怯えてるギャルの間に入ろうとするギャルを私は制した。ラジオでは声優としてキャラを作ってたが、思わず素が出ちゃってたし、このままじゃ本当に放送事故である。なんとかしないと……これは私の責任だ。私は彼女を見る。こうなったら演技の続きをして……キリの良いところで終わらせないといけないと思う。まあ彼女がどこで納得するのか……それはわからないんだけど……


「やめなさい。そして下がりなさい」


 私はそう言って二人のパリピギャルを無関係な位置にやる。まあ物理的には距離は開けたわけじゃない。でも今ので彼女にはその光景が見えたんだろう。こっちに意識を戻してくれる。


「御母様、止めなくていいのに。いつも、貴女がやってた事じゃないですか? 気に入らない侍女をいたぶる事。私、それを見ていったいどんな気持ちだったのかなっ……そう思ってたんですよ。ふふ」


 本当に……本当にさっきまでビクビクしてた女の子なのだろうか? 私が言うのもなんだけど……別人に見えてしまう。容姿は何も代わってない。けど……彼女は今、とてもヤバい御姫様へとなってる。

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