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声の神に顔はいらない  作者: 上松
307/403

307 人は見かけによらない

『今週も期待の新人を紹介するクアンテッド放送局~始まり始まり~!』


 効果音がパッパラーと入る。そして新人さん達の喋る番。二人は案外堂々と喋ってる。凄くキャピキャピ感? みたいな物を感じる。ちょっとした気持ち悪さがあるね。寧ろ過剰じゃない? 浅野芽依を最初に見た時の、気持ち悪さだね。うわぁって感じ。絶対に最初わかり会えないっていう感覚がした。でも案外あの子とは上手くやってるんだよね。

 いや、今でもわかり合えないところはいっぱいある。でも、案外上手くやってる。だからこの子達も第一印象だけではわからない。まあ第一印象ではないけどね。廊下とか他の所で会ってもこの子達は影川さんと言ってくるし。でも仕事は別だ。


 別に性格がどれだけ最悪でも、仕事で実力を発揮して、誠実ならいい。勿論仕事として通用するレベルの実力があるのは最低条件だけど。きっとこの人達もクアンテッド系列の声優養成所とかから上がってきたんだろうし、それなりに安定感はあるね。


 問題は最後の一人。今日招待された三人の内の三人目。一番地味目な子だ。


「あっ……えっと……私は……」

「んんー? 緊張してるね。大丈夫だよ。まずは私はを見て。さあ私だけに言ってみる気で言っちゃうおう!」


 私はその子をフォローするために言葉を紡ぐ。多分この子は本当に初めてなんだろう。養成所とか通ってた? 声優の専門は? もしかして飛び込んで来た系なのかな? この不慣れ差はそれを思わせる。でも、飛び込みそうにない子だよ? 見た目だけでは。


 不思議に思いつつも、私のフォローでなんとか彼女は挨拶できた。パリピな二人も「頑張れ~」とか仲よさげというか、仲間おもいな声をいれていた。教わってるのかな? でも二人の目は明らかに彼女の事を見下してるというか……まあけど、今の所は減点要素はない。なにせ普通に二人は上手い。とりあえず挨拶も終わったし、三人それぞれの声優になりたい動機を聞く。


 これも完全新人が来るときはいつも通りだね。そういう流れだ。二人は用意してたであろうお手本のような返しをしてくる。ちょっとしたオリジナリティーはあるけど、どこかで聞いた事があるような経緯。そして最後に例のあの子だ。


「わた……私は……お金……です。それに私に出来そうなのってこれくらいで……バイトも直ぐにクビになるから……私にはこれしかないんです!!」

「なるほど、凄いね! いろんな意味で!!」


 ラジオで沈黙は放送事故だ。ぽかーんとしてる二人と違って、私までそんな反応をするわけにはいかない。だから言葉を紡ぐ。とりあえずなんか掘り下げれそうな話しだし、とにかく私は彼女と話す事にした。

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