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声の神に顔はいらない  作者: 上松
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297 魂は燃えてるか?

『これなら、なんとか任せてもいいと思いますが、最終判断は先生がお願いします。私は感性と言う物は人よりないですから』


 そんな事を言って謙遜する此花さん。今、自分達は『異世界行き拒否家族(仮)』のアニメ化企画の草案を二人で確かめてた。実際これはまだ自分と此花さんの段階で止まってる。出版社とかにもいってない。なにせ出版社は自分の作品のメディアミックスを全て掌握したい感じがあるからね。

 それが悪いとはいわない。そのおかげで円滑にメディアミックスは進められてる。こっちの意見だって当然だけど聞いて貰ってるし、良くして貰ってると思ってる。それに色々と問題が起きないようにしてくれた結果が今なんだろうし。


 本当に前は自分の所にもしょっちゅうメディアミックスの兼で色々と連絡きてたから鬱陶しい時期はあったんだ。それを出版社が管理すると、そういう風に宣言したから個人的な方にはそういう連絡がなくなったのだ。でも今やってるのは、そんな決まりから外れた事だ。これを推し進めるって事は、自分と出版社との信頼関係とかにちょっとしたヒビが入るだろう。

 それを覚悟した上で進めるのか……どうか……そこの判断は此花さんは自分に任せてる。てか此花さんも出版社の人なんだけどね。でも完全に自分についてくれるっていう確信がある。それだけ此花さんへの信頼は厚い。実際、自分はこの話は無茶だと思ってた。確かに最初に酒井武夫から話しを聞いた時はちょっと興奮したが、それから時間が経つにつれて無理では? っていう思いが募ってる。


 別に酒井武夫が悪い訳じゃないが、彼の会社の規模ではこちらが求めるクオリティーを維持してアニメを完成させるのはとても無茶みたいだからだ。自分だって、せっかくアニメ化させるなら、最高のクオリティーを求める。それは原作者として当然だろう。

 でも彼の所では厳しい。それは色々と此花さんが出した課題というか、資料で紛れもなく証明されてる。それでも酒井武夫にしかできない何か……が有るのならもっとテンションが上がって絶対にこの人に作って欲しい……という事になったかもしれない。その時は少しくらい作画が崩れたとしても、目をつぶるくらいの度量はあるつもりだ。


 でも今の所そんな事はなかったからな。このままやっぱりこの話はなしに……ってなると思ってた。彼の会社の経営状態が不味いのはわかってるが、だからって自分の作品を生け贄に差し出すなんて事はできない。だからここまで……この話は……だったのに、なんか逆転劇でも起きたらしい。


「もう一度、酒井武夫さんに会ってみるよ。そしてそこで判断する」

「お任せします」


 此花さんがいけると判断したのなら、アニメ製作では一定のクオリティーが保証されてる筈だ。なら後は、本当にあの人に任せていいのか……今度はそれを見極める為に、真剣勝負と行こうじゃないか。

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