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声の神に顔はいらない  作者: 上松
295/403

295 失敗を取り返すのは自分しか出来ない

「あった……この野郎……」


 紙の山からスマホを救出することは出来た。だがその画面に表示されてる名前を見て、俺は渋い顔をする。表示されてる名前は昨日一緒にいた奴の名だ。なんか嫌な予感がする。なかなかに手が進まないが、こいつなら何があったのか知ってる筈だ。俺は恐る恐る通話を会話する。


「もしもし……」

『おう、昨日は有意義だったな。まあお前は憶えてないだろうが』


 ここで憶えてない……と言ってしまっていいのか? 同意したらこの野郎の思いのままでは? 


「はは……何言ってんだ。アレだろアレ」


 曖昧な言い回しで、何か情報を引き出そうと試みる。このまま失態だけを積み重ねる訳にはいかないからな。だが……


『ああそうだアレだよ。アレ。このまま進めてしまってもいいだろう?』

(え……この野郎……)


 俺の知ったかぶりを逆手に取ってきやがったな。このまま知ったからぶりを為たままだと、何もわからないままに、何かが進んでいってしまう。それは……流石にダメだ。アレが何か……知っとかないと、この会社が終わるかもしれない。

 この部屋に散らばってる資料を見るに、こいつが俺達が先生の作品を狙ってる事を知ってるのは明白だ。そしてそれを見逃す程に良い奴ではこいつはない。どっちかという狡猾な奴だ。俺は覚悟を決める。このままじゃダメなんだ……俺が酔って犯した失敗だ。その尻拭いは自分で為ないといけない。


「アレって……なんだっけ?」

『ん? なんだぁ? すまないちょっと電波が悪くてな』


 この野郎! 絶対に聞こえてるだろう。電波めっちゃいいわ!! めっちゃ明瞭に声聞こえてるからな。ただもう一度、ちゃんと言わせたいだけだろう。でもそう言われたら、こっちはもう一度いうしかない。なにせ向こうの電波の状態はわからないからな。絶対に聞こえただろうが、俺にはその選択肢しかない。


「あ、アレってなんだ? 本当は昨日のことは全然憶えてない」

『はははははは! 知ってたよ。まあだが、お前を成長したじゃないか。前のお前なら認めもせずに、取り返しの付かない事になってただろうかな』

「取り返しの付かない事だと?」


 このやろう、やっぱり俺達から仕事を奪う気!? あの時の様に!! 


『ああ、こっちも先生の仕事は欲しいからな。それが目の前に転がってるなら、動かないわけ無いだろう? それに交渉材料は既にある』

「俺のせいか……」

『そうなるかはお前次第だな』


 なんだそれはどういう事だ? こいつなら、とっとと俺から全てを奪って仕事かっさらうだろうに……まだ……まだ取り返す事が出来るのか? 俺は今までにない位に頭を回転させる。二日酔いで痛いが、そんな事を言ってる場合ではない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 興味深い作品ですね! また読ませてください!
2020/09/05 08:00 退会済み
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