表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
声の神に顔はいらない  作者: 上松
291/403

291 才能って奴は自分で判断できないから厄介だ

 このままでは持たない。なにせまだ先生からのGOサインがないからだ。色々と戦線が満足出来る様に改善案は出してる。だが……向こうが求める物はレベルが高い。でもそれに応えられる様なプランは出してる。でもその全ては突き返されてる。


 なぜなら、言うだけなら誰にでも出来るからだ。そしてそれは事実だった。プランは実はちょっとは盛ってる。これだけの物が自分達では作れる――それを示すとき、盛らない奴がいるだろうか? いや、いないと断言できる。


 でもそれをどうやら見抜かれてるようだ。これが本当に現実的なのか……とはっきり言って、向こうが求めるクオリティーのアニメを作るとなると、俺の会社では三年は必要だろう。それこそ劇場クラスの期間が必要だ。だが、それは無理だ。そんな時間はない。


 いや手厚く資金をくれるのなら……という願望はある。それにまだこの作品はアニメ化とかの予定がなかったのなら、もしかしたらもっと後でアニメ化をする予定だったのかもしれない。三年先にいち早く予約出来るなら、作品同士でぶつかるなんて事も無いだろう。


 でも問題はそんなに長くなるなら、自分達じゃなくても向こうはいいと言う事だ。それこそ、もっと大手のアニメ会社に大きな予算を与えてそれこそじっくりと作らせた方が良い物になる可能性は高い。高いだけでそうなるかはわからない。

 俺的には自分以外に上手くアニメを作れるなんておもっちゃいない。だが、向こうの立場からすれば俺のようなうさんくさい奴の話よりも、もっとちゃんとした所に作品を持って行こうと思うだろう。


「どうしたら良いんだ!」


 会社の一室で俺はそんな事を言って机を叩く。様々な紙が散乱した部屋はお世辞にも綺麗じゃないし、この散らかり具合だけじゃなく、建物自体も結構ガタが来てる。蛍光灯なんて二つはめる所に一本しかなくて薄暗いし、壁にはひび割れ……ガラスは修繕できなくて段ボール代わりに張ってる。そんなボロボロで見る人が見たら廃墟? と思われそうなビルがここ『酒井アニメーション』である。


 スタッフは二十人も既にいない。前はもっと居たが、沢山ここを止めて別の場所に移っていった。はっきりいって下請けだ。しかも下請けの下請けみたいな……スタッフ達はここでの給料だけじゃ食べられないから、独自に仕事を取ってやってる。それを俺もとがめるなんて事は出来ない。事実仕事がないのは本当で、下請けの下請けなんて雀の涙だからだ。


 元請けとして先生の仕事が受けられれば、それは酒井アニメーション最大の仕事になる。そしてそれから一発逆転、駆け上がっていくビジョンがある! だが渾身の絵コンテを送っても、自分の才能に惚れさせる事は出来なかったらしい。


 こうなったら自分の才能って奴を疑ってくるが……それでもまだ齧り付く気だ。だが、既に策はない。先生は惚れ込んだクリエイターには利益とか色々な周囲の意見とか無視してでもそいつを起用するって話しがあった。自分なら、それを勝ち取れると思ってたんだがな……


「貴方しかいない」


 そんな言葉は幻だったようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ