表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
声の神に顔はいらない  作者: 上松
289/403

289 デジタルがリアルにまで来た

 実際、LINEでのやりとりだけで仕事が決まるなんて事があるんだろうか? って事で一応マネージャーに連絡を取った。なにせお仕事になるなら、ちゃんと会社に通しておかないといけないだろう。闇営業とかになっちゃうし。

 私にスキャンダルが起きるなんて考えられないが……つい最近、結構大きなスキャンダルが起きかけたからね。油断はいけない。どうにかあの件に私が関わってたなんて事は周囲には漏れなかったし、静川秋華の怪我も治ってるから、その内皆あの話しはしなくなっていくだろう。


『わかった。こっちで確認してみる。そっちも働きかけててくれ』

「わかりました――と」


 私はマネージャーにそう返して、今度はお仕事くれたその子へ返信するためにLINEを流す。


「えっと、こちらはマネージャーに連絡して、会社に通して貰いました。出来れば、そちらも、会社の方から正式にオファーくださると助かります――と、流石に堅いかな?」


 一応歳ではこちらが上だ。でも……社会人として、仕事のこととなるとこのくらいは必要だろう。そう思い直して、私はその文章を送る。


「あっ……」


 私はその子にダイレクトでおくったと思ってた。でも私のメッセージはどうやらあの現場で結成したグループLINEに流れたみたい。しかも内容が内容だし、普段は返信しかしない私の言葉だ。変に注目される。秒で既読が着いて、なんか文字じゃなく、皆ビックリしたようなスタンプを一斉に流してくる。


(しまった!?)


 取り消したい所だけど、既読が着いてるんだから、この文字列を消したとしても意味は無い。だって皆がもう観てる。LINEの文字は消せても、皆の記憶まで消すことは出来ない。なんでその機能がないのか……あったらヤバいけどさ……その機能が今は欲しい。


 私はとりあえず今度はちゃんとダイレクトでその子に「ごめんなさい!」と送った。その間にも、スタンプからちゃんとした文字で「どういう事?」とか「抜け駆けズルーい」とか文字が流れてる。荒れてる訳ではないようだけど……私はどうしたら良いのかわからない。なにせこんな次々に文字が流れていく場所に投稿なんて為たことない。私はいつだって、一画面で自分と相手が見える程度のやりとりしかしないもん。

 それか一対一でのやりとりだけだ。こんな次々に多数の人に質問攻めに遭うみたいな状況になったことない。てかこれって、リアルと同じ感覚だ。リアルでもこんな風にされたら私は完全にテンパる。でも画面越しでも同じくテンパってる。


 どうやらデジタルは今やリアルまで浸食してるみたい。時代がここまで来てちょっと怖い。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ