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声の神に顔はいらない  作者: 上松
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284 トップは背中で語る

(皆、気合いが凄い……)


 なんでこんな事に成ってしまったのか……いや、1クール目のクライマックスも今まで一番の現場だとは思ってた。皆意識高くて、評判も良くて、そしてそれに更に答えようと、どんどんと熱は入っていってた。悪い事じゃない。寧ろ良い傾向だと思う。

 今の時代、作品の評判は嫌でも目に入ってくる。それは良い物から、悪い物まで……だ。作ってる方はどんな作品だって一生懸命だ。だからこそ、ぼろくそに言われればテンションはどうしたって下がる。盛り返せれば良いけど、どんどんと下がっていく現場の方が多い。

 そうなると熱も下がって、こんな事にはなり得ようがない。逆に評判が良ければ、どんどんと現場の熱だって上がっていく。誰だって褒められたい物だ。声優はそれこそファンが直接着いてる人達も沢山居るから、そういう声だって届きやすいが、アニメの製作で声優は本当に一部でしかない。

 声優以外の人達は、直接声を届けられる事は無いわけで、でも今の時代ネットで作品への声や熱は現されてる。だからやっぱり私達以外にも色々な立場の人達も影響される。そうなると現場全体が盛り上がる訳で……かなり大ヒットしてるアニメの現場というのはこう言うのなのかもしれない。


 皆が皆……最高の物を求めてる。


「ちょっと貴方、今の所はもう少し声を張った方が良くて?」

「もう一度お願いします!!」


 誰もが一発で終わらせない。それに声優自身が互いにダメな所、譲れない所をぶつけてるから、更にそこに監督さんとかの意見が入って、もっと違う感じになっていく……とかカオスな事になっていく。更に向こうが『オーケー』をだしても、納得いかなかったら、何回でも取り直しを求めてる。普通はそんなのは売れっ子とか大御所とかじゃないと、恐れ多くて言えないが、今やそんなの関係なくなってる。

 そんなに売れて無くても、今回のアニメが初参加の声優だとしても……もうここは言っとけ見たいな? 本当なら、大御所とか売れっ子とかの声優さん達はそんなに固定なんて出来ない。何故なら、次の仕事かあるし、詰まってるからだ。でも……今日は誰も帰らない。昼をもう過ぎてるんだけど……皆お腹が空いたら各々持ってきた軽食を食べてる。誰もがスタジオから出ようとはしない。出るのは精々、トイレくらいだ。

 一応、みんな一度マイクの前に立つと長いから、外に出る時間はある。でも、皆ずっと他の人達の声を聞いてたり、台本を見返したり……いつもとは気合いが違う。


 そしてそれを引っ張ってるのはやっぱり静川秋華だ。


(ずっとマイクの前に居るけど……大丈夫?)


 そうなのだ。静川秋華はこのアニメの主役。そして今回はクライマックスの収録。静川秋華はずっと出ずっぱりだ。だから数時間、彼女はずっと中央のマイクに張り付いてる。そして片時も後ろや横を見たりしない。ただずっとモニターと自分の声に意識をむけてる。


 私はここまでやる静川秋華を初めてみた。その背中に皆が引っ張られてる。それは確かに今の声優界の頂点の背中だった。

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