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声の神に顔はいらない  作者: 上松
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276 ズルズルと蕎麦を啜る

 自分は此花さんが教えてくれた店に先に到着してた。そこは蕎麦屋だった。でも個室もあるちょっと高級な感じの蕎麦屋だ。とりあえず既に予約とかは此花さんが電話でしてくれてる。本当に優秀でありがたい。名前を伝えると、快く置くの部屋へと通してくれた。


 襖を開いて靴を脱いで中に入る。個室は和室だ。日本を意識してる感じなんだろうし。今回の個室は一つのテーブルを囲む感じの所だから、四人くらい様なのかな? とりあえず奥で良いのだろうか? 


「いや、ここは遠慮するべきではないよな」


 なにせ要求を聞くのはこっちな訳で、今から来る人達は自分にお願いをする立場。なら自分の方が立場的には上だろう。上座の方に座っておくべき方がきっといい。それにしても蕎麦とはなかなかに此花さんのチョイスの絶妙さに感服するしかないな。


 蕎麦はファミレスほど軽くはないが、高級すぎる部類でもない。まさに丁度良い。あの人達も蕎麦ならそこまで緊張することもないだろう。とりあえず先に上座の方に座っておく。


「こう言うときってもう注文してていいのかな?」


 はっきり言ってちょっとお腹減ってるんだよね。どのくらいで相手方がつくかわからないし、とりあえず軽く食べれそうなざるそばでも頼んでた。




「ずずずー」

「済みません、お待たせしてしま――」


 ようやくきた彼等の動きが止まる。いやいや、そば屋だし、蕎麦を食ってても不思議じゃないよね? なかなか上手くて、これが二皿目とか一目見ただけではわからないはず……とりあえず口に含んでる蕎麦を飲み込んで、自分は座るように促した。


「いえいえ、どうぞお座りください」

「ええ、では失礼します」

「失礼します」


 今回もやっぱり二人一緒にいるんだな~と思った。まあ同じ会社の運命共同体みたいな物なんだろうし、別段一緒に行動しててもおかしくはないけど。確か『酒井武夫』ともう一人が『野村 恵』さんだったかな。一応名刺はもらってたからね。かなり疲れてる様に見える二人である。


 野村さんはのほうはなかなか礼儀作法があるのかちゃんとしてる。けど酒井武雄の方は自分では気をつけてるつもりなんだろうが、粗暴な面がみえるというか……「よっこらせ」とか言ってるし、既に足を崩してる。こう言う場では最初は正座と化するのでは? 野村さんは普通に正座してるし。

 これは……時分が足を崩してください――というのをどこで言えばいいのかわからなくなった。だって二人の内、一人は既に足を崩してしまってるんだ。


「先生、この度は本当にありがとう!!」


 自分か小さな事で悩んでると、すぐさま酒井武雄がそう言って頭を下げてきた。まあ彼もなんとか礼をつくそうとはしてるんだよな。熱意だけは伝わってたし、そこにはちゃんと礼儀もあったのは確か。それさえ無かったら、やっぱりこんな場は設けなかったしね。


 何か食べながら……まあ蕎麦だけどさ。そう思ってたが、酒井武雄の目は真剣だった。余計な事に気を取られながらやる話しではないと伝わってくる。とりあえず自分も箸を置いた。

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