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声の神に顔はいらない  作者: 上松
248/403

248 嘘はいつか帰って来る……かも?

「あれ? 先輩台本は?」


 ドキーン!! マジで心臓が飛び出るかと思った。いやホント。なにせ私は今さっきこのオーデションに行けと言われて来た声優だ。当然事前の台本なんて物はない!! いやいや、どうするのこれ? もう何も考えられないよ。誰かマイク持ってきて欲しい。マイク有れば緊張しないから。いや、違うな。緊張はする。けどちゃんと喋れるし、キャラになれる。


(でも待てよ、今はそのキャラがないんだ。強いて言うなら私……というキャラになる……とか?)


 なんか意味なさそうだなそれ。なにせ私が私になってもね……


「えーと……えーと……わ、わわわ」


 忘れた……それしか思い浮かばない。でもそれってどういう気持ちで仕事に来てるんだって……プロ意識を疑われることじゃないだろうか? というか、私が反対の立場なら思う。確実に。グループという事は、こいつ足手まといじゃね? とか思われるのは避けたい。だってそういうの、学生時代によく有ってイヤな思い出しかないし。でもじゃあ他に何かいい案があるかと言われれば、私のそんな優秀ではない脳細胞ではこれ以上の案なんてないのが現実だ。


「急遽このオーデションに参加する事に成ったんだよね? マネージャーとかも慌てて、色々と混乱してたんじゃないのかな? だから台本とかそもそも受け取ってないとか?」

「えっと……そうです」


 全然違うけど、とりあえず乗っかることにした。そう解釈してくれるのなら助かるし……ちなみにそう言ったのはこのグループで一番しっかりしてそうな馬渡 佳子さんだ。彼女はとても垢抜けてるというか、とてもカッコいいタイプだ。肩に触れない程度の髪は軽くカールしてて、随所に女性らしさはあるのに、そのスタイルとか、座ってる姿勢とか、めっちゃ絵になる。てか足長い。女性声優って可愛い系が多いから、こういう格好良い系はそれだけで希少で存在価値あっていいと思ってしまう。

 化粧もなんかめっちゃ映えてる。派手じゃないけど、自然すぎてもない。まさに大人な化粧って感じ? 私が目指そうとして全く出来ない系の化粧の仕方してる。


「でもオーデションなら、真っ先に台本を要求しませんか?」


 緑山朝日ちゃんはなんかちょっと抜けてるように見えて、確信を突く子のようだ。そういう天然、私的には大嫌いだ。別にこの子を嫌いなわけじゃないけど、そういう無駄な勘の良さは大嫌い。いやホント、女なんてポヤポヤーっとしてれば良いんだよ? ある程度顔が良ければ……だけどね。私がただポヤポヤしてたら、ただの痛い奴か、それこそ気持ち悪がられてハブられる対象になるだけだ。


「えっと、私のマネージャー……ちょっと抜けてて」

「ああーそういう人もいますよね」

 

 ごめんマネージャー。私は心の中でマネージャーに手を合わせて謝った。

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