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声の神に顔はいらない  作者: 上松
242/403

242 影を追い求める

 自分はそれなりにアニメ業界に繋がりがあると思ってる。何せ今まででアニメ化した作品は三つくらいはある。それぞれ別の作品ってくくりでだけど。一応二期とかに繋がってる作品もあるし、完全に終了してる作品はこの中にはない。

 だからこそ繋がりがあるスタッフとかいるからそっち経由で色々と調べることが出来る。業界の輪というのはあるものだ。それに自分が繋がってるのは結構お偉い人達である。監督さんから、プロデューサーや更に上の人達とかだ。下と言ったら、制作デスクの人とかか? 現場を統括してる人とかにも知り合いがいるのは大きいはず。そんな人脈を駆使していく。普段は自分から連絡なんてしないからな。


 結構緊張した。というか、どういう風にそれを聞き出すのか、全くのプランがなかった。なので、最初の数人なんて、ちょっとした世間話とアメリカでのことをちょっと喋って終わった。後は景気の話しとかだった。よくよく考えたら、自分はそんなに話術が上手い方ではない。普通を自称してるが、上と下でいうと、下の方の普通だからな。何も考え無しに電話を掛けるのは無謀だった。


 自分の考えたように人を誘導する……小説の中ではよくやってるんだけどな……リアルになると激ムズである。リアルで本当に他者の考えを誘導してる人がいるとしたら、それは間違いなく天才だろう。小説の人物は結局の所、思考を全て把握できるからな。だからこそ、自分の考えてる流れに持って行けるわけで、リアルで誰の思考も分からない状態でそれをやるとなると大変だ。こうなったら多少強引にでも、話題を切り出す方が良いんだろう。

 多分電話をした時点で、相手も何かがある――とはきっと思ってる。でも前の数人はただ世間話で終わってしまった。きっと向こうも「何だったんだ?」と思ってる可能性が高い。まずは軽く挨拶と共に世間話を……とか思ったのが間違いなんだ。


「電話した目的……勿論直接的には言えないが……それはきっとさっさと切り出した方が相手にも良いのかもしれないな」


 自分はまともな社会経験って奴がない。だからこんな事にも躓くんだろう。だが、めげはしない。そこには自分の中の好奇心って奴があるからだ。確かめずにはいられないっていうか……そんな感じのだ。


 自分は再びスマホから電話を掛ける。何回か成るプルルルと言う音。そしてガチャッ――


「あの突然で済みませんけど、『ドキドキ声優ラジオ』って知ってます?」

「え?」


 ――長い……用に思える沈黙が流れる。しまった……そのことだけ考えてたせいで、真っ先に本題から入ってしまった。普通そこはまず挨拶は社会人として必要だろう。向こうは戸惑ってる。こっちが仕切り直さないといけない。


「こっ、コホン」


 そんな咳払いをして、今度はちゃんと相手方に安心を届けて、要件をきいた。電話を切った後、なんかどっと疲れた。だが、有意義な情報はなかった。でも一人目でそんな上手くはいかないだろう。今のは確かに失敗した。でも、失敗を糧に自分は出来る筈だ。そう言い聞かせて、次々と電話を掛けていく。

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