表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
声の神に顔はいらない  作者: 上松
240/403

240 日本人だから無意識下でも魚を食べられる

「ふう……」


 そんな重い息を吐いて自分はパソコンの前から立ち上がって伸びをする。


「んんーーー!」


 木漏れ日を見つけてカーテンを開ければ、眩しすぎる朝日が入ってきて目を細める。とりあえずすっきりするためにシャワーを浴びて、腹に何か入れようか冷蔵庫を見てみた。


「何もないな……」


 冷蔵庫は空っぽだった。そういえばここ数日、集中してて何も口に入れてなかったような……いや、水とかは飲んでたが、それだけだ。だが、まだ余裕ある気がする。スマホを見てみると、此花さんからの連絡が定期的に入っている。そういえば、なんか一時帰国した此花さんに言われて何やら……その時チャイムの音が鳴った。同時にスマホも振動した。壁にあるモニターで確認すると、何やら持った男の人が……自転車にでも乗ってきたような格好だな? なんだあれ?


『なんですか?』

「出前っす!」


 ピコーンとその時此花さんとの会話を思い出した。


『先生、辛いのは分かります。でも先生の作品を待ってる人達が沢山いるんです。そのファンの人達の思いでは力になりませんか? 私は最大限先生をサポートします。先生は私の入れる連絡だけに意識を向けてくれれば良いですので。食事とか諸々をこちらで手配しておきますね』


 とか言ってた。さっき振動したスマホを確認すると、此花さんから『朝食です』のメッセージが届いてる。なるほど、これで自分に食事を取らせていたのか。なんかここずっと部屋の整理とかやってなかった筈だが……やけに綺麗なのも……多分いつの間にか此花さんが手配したクリーニング屋なのか、お手伝いさんなのかわからないが、その人を招いていたんだろう。本当に集中してたから、作品と此花さん以外の連絡に意識をむけてなかったらしい。

 しかも此花さんの連絡に意識を向けてた記憶は無いから、無意識の中で此花さんには従わないとっていう刷り込みがあるのかも知れない。なんかいつの間にか操れてないか? 


「あっ、分かりました」


 とりあえずこちらが注文してる訳だし、出前を持ってきてくれた人をマンションの中へ。


「毎度ありがとうございます!」


 なんか受け取る時にそんな事を言われた。そんなに毎日利用してたのだろうか? 記憶が無いからわからない。


「お金は?」

「ああ、得意様なんで良いっすよ。てか、なんか特別? 特急なお客なんで。てか今日は生きてますね! いつもは死んでるみたいだったすよ!」

「ああ、ちょっと一段落したからね」

「そっすか! じゃしゃーす!」


 なんだしゃーすって? お金は多分、此花さんが事前に払ってるんだろう。そういう物中どうなのか自分にはわからないが、そもそも無意識下の自分がまともにお金を勘定できるとも思えないしな。とりあえず作る必要は無くなったな。容器はプラスチックかなんかだが、内容物は日本の朝食セットみたいなのが入ってた。白米じゃなく玄米とか山菜の付け合わせとか、お味噌汁。それにメインは焼き魚。これでもかと、なんか食事に配慮が見えるな。

 手か無意識下で魚は不味いんでは? でも今もちゃんと生きてるからな。案外無意識下でも魚は食べれるのか……日本人だからだろうか? そんな事を考えてるとお腹がなったのでテーブルに持って行って「頂きます」を言った。


 そしてとりあえず食べ終わったら、此花さんに「ありがとう」とメッセージを返しておいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ