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声の神に顔はいらない  作者: 上松
234/403

234 閻魔大王から呼び出された

「うわー」


 私は都内のビルが建ち並ぶ一角に来てた。その建物を見上げるだけで首が痛くなるほどの高さを誇るビルの一つ……そこに何故か私は呼び出されてたのだ。ビルの前にある看板にある文字は『クアンテッド』つまりは静川秋華の所属する事務所である。家の事務所とは違う……まさに大手……まさに業界ナンバーワン。そんな風格がある。


「こんな所に入って良いの?」


 思わず怖じ気づいてしまうほどだ。さっきから沢山の人たちが入ったり出たりしてるけど、皆さんデキる人って感じで……場違い感が半端ない。


「ううー」


 なかなか決心がつかずにビルの前でうろうろとする事三十分……そんな事してたら私は不審者と間違われた。


「ちょっとそこの君」

「話聞かせてもらえるかな?」

「あわわわわわ!」


 警備員さんが私に近付いて来た。そりゃあね! そりゃあ、三十分もうろうろしてたらヤバい奴と思われても仕方ない。私は逃げたかったが、用があるのも事実。私は半泣きになりながら警備員さんに連れて行かれた。黒歴史決定だよこんなの。


「それでビルの前でウロウロとしてたと……」

「はい……ごめんなさい。生きててごめんなさい」

「そこまで言ってないよ?」

「ほら、とりあえず暖かい物でも飲みなさい」

「ありがとうございます」


 なんかめっちゃ警備員さん達に優しくされた。事情を話したら、納得してくれたらしい。うう、こんなに優しくされたのは人生初めてかも知れない。


「それじゃあ、俺達が問い合わせてあげるから、アポは取ってるんだよね?」

「はい……呼び出されましたし。社長に……大室かなえ社長に匙川ととのが来たって言ってもらえれば……」

「社長!?」

「君、何者なんだい?」


 なんかめっちゃ驚かれた。いや、でもそうか……こんなブサイクが社長に呼び出されるなんて普通なさそうだもんね。まあけど、とりあえず警備員さん達が私の代わりに、受付に聞きに行ってくれた。わたしは「はふうー」とリラックスする。てかこんな風にリラックスできるなんて普通無いよ。何回も通ってるラジオ局でもようやくだからね。きっと優しさがあるからだろう。そんな風にリラックスして体を温めてると、ドタバタとした音が聞こえてきた。そしてガチャッと扉が開くと、さっきの警備員さん達がなんか血相変えて戻って来た。


「ああ、どうでし――」

「何をやってるのよ貴女は? なんでこんな場所で寛いでるわけ?」

「――あ」


 なんとこんな場所にクアンテッド社長である大室かなえさんが現れた。いやいや、なんで来るの!? 言ったら行くのに!! 社長なんだからどしーんとかまえてて欲しい。ほら、警備員さん達もめっちゃ慌ててるよ。


「まあ、丁度良いわね。失礼するわよ」


 なんかそんな事をいって大室かなえ社長が部屋に入って更にパイプ椅子に座る。おいおい、社長がパイプ椅子に座って良いの? 私も、そして警備員さん達もはわわっとしてた。

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