表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
声の神に顔はいらない  作者: 上松
232/403

232 直球でズレてる二人

「秋華ちゃん、どうしたんですかそれ?」


 早い! カナンの奴早いよ! いや、これこそカナンだけどさ、それにしても、一回クッション挟むとかしなさいよ。


 そういう所だよ、デリカシーないって言われるの。てか、明らかに後ろのお付きの人がなんか厳しい顔しだした。

 やっぱりだけど、あの人は静川秋華のお世話係ってだけじゃない。きっとお目付役でもある。


「これですか? そんなに珍しいものでもないと思うけど?」

(((そんなわけあるか!?)))


 なんかこの場にいる声優たちの心の声が重なった気がした。多分間違ってない。皆絶対に同じ事思ったよ今。

 だってなんか所々で視線がぶつかってる人達いるし。そして「あはは」みたいなやりとりがある。


「いや、珍しいっていうか、面白いから」

(((面白い!?)))


 またまた私達の思考が重なった。イヤだって面白いはなくない? 下手したら切れられるぞ。

 私は恐る恐る静川秋華の顔色をうかがう。


(あれ?)

「面白い……か」


 何やら思案顔の静川秋華。いいの? 面白いで? 静川秋華ってそういう奴だったの? あんたそういう奴じゃないでしょ。一応正統派じゃん。


「どういう感じで?」

「なんか気になる。秋華ちゃん綺麗だから、そこが目立つんだよね。今までの印象は完璧って感じだったけど、油断というか、隙が見える感じ」

「それは……無しなの? ありなの?」

「ありよりの…………あり」


 どういう会話だ!? ヤバい、二人の会話のテンポに着いていけなくてなんかすっころびそうに成る。そんな吉本じゃないんだから流石に、そんな事はしないけど、周囲の皆もきっと同じだっただろう。ちょっと体揺れてたし。静川秋華のお付きの人なんて二人の会話のテンポが独特だからか、どこで割り込んで良いのかタイミングつかめてない。


「ありかぁ……」

「アリですね。そんなどんな姿でもアリの秋華ちゃんは何があったのかな?」

「これは私がドアをぶち破っ――うぐ!?」


 んん!? 今なんかとても不穏なワードが飛び出さなかった? なんか『ドアをぶち破った』とかなんとか……ぶち破ったの? あの細腕で? そりゃあ折れるよね。納得出来る。でも……そんな状況が想像できない。てかそんな激しい事をするイメージがそもそも静川秋華にないじゃん。でも――


「今の無し、ちょっと転んだときに打ち所悪くてね」

「いや、私もドアぶち破って折ったことあるよ」

(((マジで!?)))


 もうあいつらが分からない。いやそりゃあね。女の子はギャップが大事だよ。分かる分かる。でも、そっちじゃない。てかあのお付きの人のあの行動……どう考えても静川秋華はさっき隠しておきたいことを言ったことは確実。ドアをぶち破ったとか信じられないが、多分真実でそれが静川秋華の怪我の原因。これは大スクープでは? 


「済みません。静川はオーディションなので失礼します」


 幾らトップ声優でも呼ばれてから行く物だけど……空気を読んでくれたのかスタッフの人が本当に来た。一応お付きの人が下手な演技で「そんな冗談笑えないですよ~」とか言ってたけど、効果があったとは思えない。てか既にオーディションが終わってる声優とかが、スマホ片手に歩いて行ってたし……既に拡散済みなのは確定だろう。何があったのか……興味があるけど私的にはこの影響で静川秋華がどうなるかの方が大切だ。

 原因は二の次。私は静川秋華が落ちたときの穴に入る準備をしておかないとね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ