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声の神に顔はいらない  作者: 上松
224/403

224 声優は遊びじゃない!

「静川秋華ね~、知ってるよ。なんか大けがしてるんだってね~」

「そうそれ! なんか知ってる?」


 私は向かいに座ってきた里奈に身を乗り出して聞いて見る。私は自分の情報網がかなりの物だとは自負してる。なにせ浅く広く、業界の人達にはなるべく愛想を振りまいてるからね。私に恋しちゃってる人達だってそれなりにいる。まああくまで声優のネットワークの中だけだけどね。勿論連絡先なんかは、聞ける人にはぐいぐい聞いてる。SNSでフォロー出来る人はしてる。でも積極的に関わっていくわけではない。なかなか声優じゃないと、関わるのが難しいからね。


「私よりも芽衣ちゃんの方がそういうの敏感じゃない~?」

「いや、里奈なら何か知ってるかなって」

「うーん、そうだね~。男関係じゃないかっては聞いてる」

「ええ!? それってマジ?」


 男関係……それは女性声優にとってはまさに致命的とも言えるスキャンダルだ。いや、まあそれも当然として、原因じゃ無いかって噂ではある。でも里奈は何かちょっと確信めいた感じに言った。それってつまり……何か具体的なソースがあるのでは? これが本当なら、静川秋華を撃ち落とすことが出来る。いや、私が何もしなくても、勝手に落ちる。こういう噂がファンの方に広がれば、勝手に妄想は肥大化していく物だ。隠そうとした事実は、疑いの目に変わる。後から、真実めいたことを発表したって誰も信じることはない。


 静川秋華の終わりの時かも知れない。いくら隠そうとしたって、今の時代両腕負傷してるのを隠せるわけ無い。なにせ静川秋華はイベントとかでファンの前に出る機会は多い。隠し通せるわけ無い。声優界に圧力掛けて箝口令をしいてもいずれはファンにバレる。イベントに出ないって選択肢もあるだろうけど、そうなるとファンはざわめくだろう。どうしてでないのかって成るのは必至。


「相手は分かってるの?」

「うーん声優じゃないよ~」


 わかってるの!? 里奈の奴の情報源がどこなのか気になる。くれないかなそれ? その情報源、教えて欲しい。けど、そう言うことは里奈はしない。それに自分から広めたりもしない。私の様に頭一つ出てきてる新人声優の過去の呟きを遡って、炎上しそうな奴を取り上げて潰すなんて事して無い。彼氏がいた事実を掘り起こしてファンに投下なんかもしてない。まったく、こっちが生き残るためにやれる事全部やってるって言うのにね。お気楽な立場だ。


 里奈は元々お嬢様だからね。声優なんて足かけに過ぎないんだろう。私は本気でここで生き残ってそして老後までこの仕事で喰っていく気だ。だから私は人気を確実なものにしなければいけない。声優は、遊びじゃないんだよ! 遊びじゃ! と私は、いつも心で思ってる。

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