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声の神に顔はいらない  作者: 上松
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218 新たな戦いが始まる

 朝の冷え込みで私は布団の中で目を覚ました。モゾモゾとして、手を布団の外に出す。布団の中さえちょっと寒いのに、布団の外に出した手は刺された様な冷気に差らされるのは当然だった。


「ううーーん」


 思わず布団の中に手を戻す。そして布団の中の温度を上げるために、私はモゾモゾとする。


「いっ!? はあ……もう朝か」


 一瞬頭に刺さった鋭い痛み。それはまだ頭に存在感を放ってるコブだ。昨日も布団に入ってから、このコブが定期的にズキッと来てなかなか寝付けなかった。まあそれでもいつの間にか寝てたらしいが、思い出した様にこの痛みを感じてしまった。

 起きたのももしかしたら寒さじゃなかったのかも……この痛みを感じてしまって起きたのかもしれない。


「はあ……」


 私は布団の中に枕を持っていき抱きしめる。昨日はとんだ災難だった。なんで私まで巻き込まれたのか……寝て起きるとよくわからない。完全にあの場の雰囲気に流されてたとしか言えない。


「そう言えば一千万……」


 昨日はあの破れた小切手はマネージャーに預けたままだった。実際寝て起きると、実は一千万の所だけは夢だったんじゃないかとちょっと思う。だって一千万だよ? 夢と思った方が納得できるんだよね。既に紙もないし……実感できる物がないのも大きい。私は本当に一千万貰ったんだろうか? 


「そうだスマホ……」


 私は枕元にあるであろうスマホに手を伸ばす。冷たくなったスマホは握るのだってイヤだったけど、そんなのは一瞬と思って布団の中に招き入れた。暗かった布団の中がスマホの画面の明かりで明るくなる。けど流石に行き成り画面を見るのは目が痛い。とりあえず私はスマホを使って小切手のことを検索する。すると――


「え? 使えるじゃん!」


 検索した結果二等分くらいの分割具合では問題ないらしいと言うことが分かった。これは早速マネージャーに連絡して小切手を回収しなければ! そう思って私はマネージャーにLINEを……


(待ってよ……一千万どうすれば良いの?)


 なんか一周くらい回って同じ事で悩んでないかな? 昨日も同じ事を思ってたよ。私は……布団の中でうーんうーんと唸る。なんか小切手が使えると分かったら実感がね。そしてそうすると再び困るのだ。


「とりあえず使いたいことを羅列してみようか――ん? んん?」


 なんか喉に違和感を感じた。喉がざらっとした感じ……これは――


(大変!!)


 ――私は寒さなんて忘れてバッと布団を吹き飛ばした。既に喉を思って声を出すことを止めた。私はキッチンに向かい、お湯を沸かす。コップに蜂蜜とショウガを混ぜて、お湯が沸くのを待つ。とりあえず待ってる間にでもうがいをしておいた。そして湧いたお湯で生姜湯をつくって喉に流し込む。私は自分の体を理解しようとしてきた。そしてこれがどんな初期症状なのか、分かってる。


 せっかく仕事が少しずつでも得れるようになってきたんだ。だからこそ……こんな所で躓いて成る物か! 私は自分を特別だと思ってる。けど、声優の代わりなんてのは幾らでも居る。それも分かってる。だから私はここでこのこの病気を絶対に押さえ込む!

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