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声の神に顔はいらない  作者: 上松
207/403

207 恐怖と恋のドキドキは似てるんだって

「ちょっと先生、開けて! 開けなさい!! 変なことする気なんでしょ!?」

(変な事!?)


 静川秋華が扉の向こうからドンドンと扉を叩きながらそんなことを言う。そのせいで変な想像が更に膨らんでいく。なにせここにはベッドがある。そして私たちは男女だ。まあ私を女と先生が認識してるかは微妙だけど……大体私は女扱いなんてされてこなかったしね。だからきっと大丈夫……大丈夫。


「匙川さん」

「ひゃい!?」


 裏返った声がでた。何々? ナニされるちゃうの? いやいやそんなバカな……私に欲情する男なんていない。その時、ギシッとベッドが軋んだ。


(ひょあああああああ!?」


 まさかベッドの上に乗って来たの? しかも私の寝てるベッドの上に!? ヤバい、どういう事なのかわからない。混乱してきた。


「せんせーい聞こえてますかぁ? せんせーい」


 なんか静川秋華の声が平坦になってきてる。抑揚がなくなってきててまるで機械音声の声の様……でもあいつはプロの声優である。意図的にそんな声を出してるんだ。どうして? って考えるまでもない。だってつまりはそういうこと。プレッシャーを掛けてきてるんだ。静川秋華の怒りが上がってるのが手に取るように声でわかる。絶対にヤバいよ……あっちもこっちもね。


「匙川さん……」


 もう一度……今度はもっと近くで聞こえた声。まさかとは思うけど……まさかまさか、布団越しに居ないよね? なんか声の感じからして、めっちゃ近くに良そうな感じだったんですけど……ものすごく早く心臓が動いてる。絶対に異常だ。もしかしたらこのままだと私の結界ははち切れるかも知れない。それくらい心音が体全体に響いてる。逃げたい……けど体は動かない。だってこの布団から出たら、先生がいるのは確実なんだ。そしてそれが私に上半身裸に見える呪いに掛かってしまった。耐えられる気がしない。でもこのままでも……私の体は耐えられないかも知れない。


 もしも……もしもこれから未知の体験をする事に成ったら……私は……


「このまま二人で秋華と居るのは危険なんだ、頼むから起きてくれないか!?」

「ひゃい!」


 ってえ? 私はちょっとだけだけど……本当にちょっとだけだけど、女の部分に期待してた自分がいた。だからなんかがっくりきてる。


「私は……今は……無理……です」


 色々と心の整理がね……つかないよ。確かに静川秋華は怖いけど、先生なら大丈夫でしょう。だからおもっいきりイチャイチャしてください! 寧ろ私は居ないと思ってくれて結構です――と言いたい。でも……何故かそんな言葉は喉元で詰まって出てこない。私はベッドの中で丸まってギュッとシーツを握った。

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