表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
声の神に顔はいらない  作者: 上松
206/403

206 裸体が迫ってくる

「うん……う……」


 瞳を開けると知らない天井があった。私は上半身を起こして、周囲を見る。どこだろうか? なんか質の良さそうなベッドがちょっと間隔を開けて二つある。その一つを私が使ってるみたい。


「ホテル?」


 そんな気がした。隣のベッドはシワひとつなくベッドメイクされてるし、生活感のない家具が配置されてる。まさにホテルじゃん。モノトーンで統一されたなんかちょっとお高いホテルの様だ。


「でも……いつの間に?」


 チェックインした覚えはない。でもこんな広々とした場所が私の家な訳ない。うーん前後の記憶がない。一体なにが? そう思ってるとガチャっと扉が開いた。私は体を固めて毛布を抱き寄せた。一体誰が? とか思ってると、先生が顔を出した。


「良かった、目が覚めたみたいだね」

「せんせ−−っつ!?」


 私はその瞬間、脳内に裸体の先生がフラッシュバックして来た。私はあまりの恥ずかしさに、布団に潜り込む。


「ええ!? どうしたんだい!? まだどこか痛むとか?」

「ちっ……違うんです。そうじゃなくて……先生、服着てますか?」

「自分は変態じゃないよ」

「でもでも−−」


 私はどうしても先生の裸体が頭から離れないのだ。先生の普通の姿を想像しても、なぜか裸体が出て来しまう。チラッと先生を布団から顔を出してみる。


「やっぱり着てないじゃないですかあああああ!」

「着てるよ!?」


 そんなこと言っても、私には着てない様に見えるんだ。多分先生はちゃんと着てるんだと思う。けど私の脳がそれを着てないように見せてるんだ。私の脳どうしちゃったの!? きっと裸体のあまりの衝撃におかしくなったんだと思う。


「ごめん……自分のせいで」


 先生は優しい。別に先生は悪くないのに謝ってくれる。けどそれが心苦しいよ。それに私は「いいえ……」と言うしかできない。それに私は布団を被って向かい合うことが出来ない。だってどうしても先生を見ると、先生の裸体がフラッシュバックしてくるんだ。


 先生は何故かずっとベッドの側に居る。出て行ってくれると助かるんだけど……何で? 


「せんせーい、匙川さんどうですかー?」


 そういってパタパタと静川秋華が歩いてくる音がきこえた。


「せんせーい、匙川さんが起きないんなら二人で楽しみましょー」


 なんてことをめっちゃお気楽に言う奴だ。恥じらいという物が静川秋華にはないのか? そう思ってると、ダダッと先生が駆け出した。そしてガチャっと言う音。


「せんせーい――ん? ちょ!? 何で鍵掛けるんですか!? どういうつもりですか!!」


 何故かこの部屋は今この瞬間から密室になった。


(どういう事!?)


 私はベッドの中で震えるしかない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ