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声の神に顔はいらない  作者: 上松
189/403

189 歪だけど、完璧な物なんてないから

 こんな面倒な相手とはさっさと離れたいところだ。なにせこっちを持ち上げてる様に感じさせておいて、どれだけ私をこき使えるか……それを考えてるんだもん。そりゃあアニメのプロデューサーや、出資者方々はお金を回収するのが大切だろう。


 そしてそれを成すために簡単なのが私を使う事だ。なにせ私は大人気声優である。いや事実上、No.1声優だ。大人気声優はそれなりにいるけど、No.1はオンリーワン。私しかいない。そんな私がイベントに出るとなると私についてるファンが動く。


 そのアニメに興味が無い奴でも動く。まあこのアニメはかなり評判良いし、そこまで私が前に出る必要なんて内容に思うけどね。


「これって綺麗に終わるんですか?」


 そんな事を大御所声優さんが言うよ。既にワンクールやって、今は2クール目だ。一応それでこのアニメは終わりになってる。まだ最後までの脚本は私達声優も貰ってはない。まあそんな順調なスケジュールって訳ではないんだろうと思う。

 そもそもこの時期に最後までの脚本なんてのはないのが普通だし、監督も迷ってるのかも? 


「私はそうしたいんですけどね」

「はは、期待を持たせるのは大切ではないですか?」

「いやーまずは綺麗に終わるのが物語として正解かと僕は思ってますよ。それがファンに認められれば、自然と続編の声は上がるんじゃないでしょうか?」


 出資者の方々の監督さんが静かな火花を散らしてる。なるほど……これが生まれアニメの宿命か。原作があれば、そもそもが原作に沿った物語なのか、大胆にオリジナルを入れてアニメ内で完結するのか……そんなののは最初に打ち合わせで大体決めるだろうからここら辺で最後をどうするかなんてもめないだろう。


 いや、声優って立場上そこまで制作現場の事情を知ってるわけじゃない。そもそもが声優なんてのはアニメ制作における端の端である。それなのにアニメの顔みたいなかおしてるんだから、この業界のいびつさがあると思う。


 映画やドラマの俳優とかがその顔をしてるのは、その身をさらして演技してるんだから違和感はない。でも私達は声を当ててるだけだ。その作品というか、アニメと実写では比重が違うと思う。演者に掛かる比重って奴ね。


 だからそれで私達声優が作品の顔してるってのは、常々おかしいと思うわけだけど、もうそういう風になってしまってる以上、どうすることもできない。そもそも私はそんな声優業界だからこそ、ここまでこれた部分が大きい。


 最初は声を当てるなんてヘタだったしね。今も自分をそこまで上手いとは思わない。特に匙川さんとかとやってるとそう思う。そう考えて「そう言えは――」と思って私はこの場に視線を惑わせる。匙川さんはどこかなって。


 あの人、私が声かけないと、なめくじが良そうな暗くてジメジメしてそうな所に自然と行くからね。そんな事を思ってると、何やら人だかりが……まさかだけど、なんか匙川さんはその中心に居るようだ。

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