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声の神に顔はいらない  作者: 上松
178/403

178 天使の一撃

「匙川さん、浅野さん、明けましておめでとうございます」


 そう言って丁寧に頭を下げてくれるのは『篠塚 宮』ちゃんである。現役女子高生声優でとても愛くるしい容姿で大注目の声優だ。まさにアイドル声優になるべく居るよう存在だ。ほんとうなら私や浅野芽衣には敵の様な存在だし、目の敵にしてもおかしくないが、宮ちゃんはとても良い子である。そう、とても良い子なのだ。大事な事なので二回言った。


 それにこんな私をとても慕ってくれてる。こんな可愛い子が私の事をしたってくれるなんてのは奇跡で、それだけで蔑ろに出来る訳がない。普段なら打算的な事を狙ってるんじゃないかとか、心の内側ではバカにしてるんだろうなっていう思いを巡らせる私だけど、宮ちゃんに限ってはそんな事はあり得ない。だから安心だ。


「へえーああーアナタって先輩と仲良かったんだ」

「はい、匙川さんにはとてもお世話になってます」

「なら、私もかわいがってあげようかな? なにせ私、先輩の一番の後輩だし、事務射からも押されてるし、あんたよりも『上』の声優だしね」

「そういうの……よくない……よ」


 とりあえずマウントとろうとする浅野芽衣をちょっと小突いておく。こいつは上か下かでしか他人との関係を築けないのだろうか? いや、前は私もそうだったけどね。大抵の人は自分よりも上で、世界で一番自分が下なんだって思ってた時期は確かにあった。

 私は自分を卑下し続けてたけど、浅野芽衣は逆なんだよね。いや、ある意味で必死に自分の事を守ろうとしてるのかも? 自分が下に行かないために、誰かを落とそうとしてるとか……まあどっち道、褒められた行為ではない。それも高校生にやって良い事じゃない。まあ浅野芽衣ってまだ二十歳くらいだろうし、そこまで宮ちゃんと年の差はないだろうけどさ……それでも高校生の時って大人がとても大人に見える時期じゃん。

 宮ちゃんは私に対してもそれを感じるんだよね。こんな私にたいしてもだよ!? そんな子に残念な大人を見せないでほしい。私だって宮ちゃんの前ではなるべく頑張ってるつもりなんだからね。


 実際、浅野芽衣には宮ちゃんを紹介なんてしたくなかった。だって絶対に宮ちゃんみたいな純粋なタイプ嫌いでしょこいつ。でも初詣に行くっていうから……そこに丁度宮ちゃんからも連絡あったんだよね。前から初詣出来たらいいねっては言ってた。けど具体的な話はしてなかった。そういう気遣いかとおもってたんだけど、まさかこのタイミングとは……私は二人を合わせたくなかったから本当は断りたかった。でも宮ちゃんの事を突っぱねるとか無理。


 なのでこうやって浅野芽衣と共に始発で電車を乗り継ぎ、都内の神社まできたのだ。


「はい。若輩者ですが、お願いします」

「うっ……わかればいいのよ。敬いなさい」

「はい! 年上の人は敬えと教えられて来ました」

「とし……うえ……」


 何気に浅野芽衣の心を抉ってる宮ちゃん。純真とは汚れた心には清らかすぎるんだよね。うんうん、わかる。けどよくやった。宮ちゃんはこのまま汚れなく育ってほしい。

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